« 2007年9月2日 - 2007年9月8日 | トップページ | 2007年9月16日 - 2007年9月22日 »

箱2

2日で人生が変わる「箱」の法則 60分で人生を変えるスゴ本。人間関係のキモが理解できる。どんな場合でも、最初にコミュニケートする相手、すなわち自分が「見える」。

 あらゆる争いごとの根っこが「見える」。「あらゆる」なんて言っちゃうと、宗教や歴史といったセンシティブな話題まで振り幅が大きくなるが、無問題。夫婦喧嘩から中東問題まで、この原則で斬れる。

 前作と同様、素晴らしいのは、主人公(オヤジ)の理解 = 読み手の理解となるような、ストーリー仕立てであること。オヤジの「ものわかりの悪さ」のおかげで、読み手の様々な反論が吟味される。フツーの天邪鬼が思いつきそうなものは、あぶりだされ、淘汰される。だから、腹の底から「わかった」といえる。

 前作よりパワーアップしているのは、主人公( = 読み手)に限定されないこと。問題を抱え、それを自覚していないのは、このオヤジだけではない。息子も、妻も、セミナーに参加するみんながそうだ。出身国も、性別も、人種も、受けた教育も、今の環境も、ぜんぜんちがう参加者が、どうやって「変わって」いくかは、ちょっとした見もの。

 しかしながら、そのキモは、自分からの「気づき」に基づいている。オヤジと一緒に悶えていると、同じ「気づき」にたどり着く。巷に数多の Hack! のようなTipsではない。だから、箇条書きでまとめたところで、これっぽっちも伝えたことにならない。自問せず、流し読んでも理解できない(自分の問題であることに、ね)。

自分の小さな「箱」から脱出する方法 人生への影響力は絶大。人間関係で、困ったり、悩んだり、苦しんでいる人にとって、人生を一変させる一冊となる(断言)。前作の「箱」が未読なら、前作からどうぞ。一冊読むのに小一時間だから、120分で人生が変わる。わたしのレビューは[ここ][ここ]

 なぜなら、わたしが変わったから。まさにここに出てくるオヤジのやり方で、人生と対決してきた。わたしの人生を取り返しのつかないものにする前に、本書と出会えてよかった。ただ、自分の腹で理解するために、幾度となく読み返し、実践する必要があった。百冊の自己啓発本を読むよりも、本書を繰り返し「実行する」ことをオススメする。箱1は、「自分の小さな「箱」から脱出する方法」、箱2は、「2日で人生が変わる「箱」の法則」という書名で、アービンジャー・インスティチュートが書いている。1→2の順が吉、というか分かりが良いだろう。

 最後に。まなめさん、ありがとう。「箱」「箱2」に出会えたのは、まなめさんのおかげ。「まなめは俺の嫁」、もとい「まなめは俺の読め」ですな。

| | コメント (10) | トラックバック (4)

べたな感動を期待なさる方に不向き「バーチウッド」

バーチウッド 語り手に、「連れて行かれる」感覚がいい。たとえ、連れて行かれた先が、最初の場所だったとしても。

優雅な屋敷だったバーチウッドは、諍いを愛すゴドキン一族のせいで、狂気の館に様変わりした。一族の生き残りガブリエルは、今や荒廃した屋敷で一人、記憶の断片の中を彷徨う。冷酷な父、正気でない母、爆発した祖母との生活。そして、サーカス団と共に各地を巡り、生き別れた双子の妹を探した自らの旅路のことを。やがて彼の追想は一族の秘密に辿りつくが……

 面白いのは、語り手も全て分かっているわけではないらしく、最後まで主観ビジョンで話が進む。歯がゆい思いで想像力で埋めていくと―― 隠された秘密を見抜く。これも計算ずくならスゴいとしか言いようがないが、んなわけないか。

 小説技法。伏線をちりばめたり、ストーリーを折りたたんだり内包させたり、描写でイベントを予感させたり… 盛りだくさんなんだが、あざとさが目立つ。訳者の佐藤亜紀氏が誉めているけど、まさに彼女が書きそうな小説だからか。ちなみに、彼女が書いた「ミノタウロス」は素晴らしかった。レビューは[ここ]

 翻訳は素晴らしい(と思う)。原文は読んではいないものの、訳文がユニーク。体言止めならず、体言区切りが妙に斬新。つまり、句読点で区切られる直前が体言となっているため、読むリズムがボキボキ狂う。狙ってやっているのか。

 「べたな感動を期待なさる方にこの本は不向き」と佐藤氏は言う。まさにその通りなんだが、ひねくれた物言いで生きにくくなってはいやしないかと余計なコト考える。日経新聞書評だとこうある。

旅の果てに明らかにされるゴドキン家のおぞましい過去に戦慄(せんりつ)を覚えながらも読者は暗い宿命から逃れられない人間の悲しみに心を強く揺さぶられることだろう

 んー、わざわざこの小説を読もうとする人ならすぐ見破ると思うぞ。特に、正統なる小説を重んずる人が目の敵にしている「ライトノベル」に慣れた方だと。小説が成立するために、語り手だけでなく、成熟した読み手も要する。が、解説まで必要とするならば、その小説を殺すことになる。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2007年9月2日 - 2007年9月8日 | トップページ | 2007年9月16日 - 2007年9月22日 »