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それなんてラノベ?「わたしたちの田村くん」

わたしたちの田村くん ギャルゲがラノベに近づいているのか、ラノベがギャルゲ化しているのか――「フツーの男子が美少女に慕われる」話は、メディアを問わず愉しめる。わたしがそうでなかったから、ありえない過去を妄想モードで追憶するツールとして、「わたしたちの田村くん」は秀作ナリ。

 でもって、「フツーの男子が慕われる」なんてコト、ありえないからこそ想像力の出番だ。なお本書では、ライトノベルに珍しく剣も魔法も超能力者も出てこない。「なぜかモテる」のではなく、ちゃんと理由がある←それがメイントピックスであり、読むと顔がほころぶ体がカユイ。

 しかし、フラグ立ち以降の「少女の事情」に達すると、グッとこみ上げてくるものがある。「あたしには、学校という奴は、難しすぎるんだよ」なんてくだりは首をガクガクさせながら読んだ。やべぇ、こういうの弱いんだ… いわゆる、泣きゲ症候群の一種なのかもしれない。ヒロインの秘密が、あまりにも悲惨なことを知って。そして「田村くん」がどうしようもなく無力なことを思い知らされて

 だから、あれやこれや思い出すかも。ギャルゲを意識した台詞回しに、SNEG?(それなんてエロゲ?)よりもむしろ、「それなんてラノベ?」とツッコミたくなる――ラノベにな。

 でもって、全2巻読んだ方へ… もちろんわたしは、1巻目のラスト「相馬さんって、誰?」で、すうぅっと背筋が寒くなった一人だけれど、あえて1巻だけで止めておいて、あれこれ2巻を妄想するのってアリでしょうかね? 「わたしたちの田村くんが望む永遠」とやらを思い浮かべるだけでも、愉しいナリ。あえて「読まない」読み方をしてみるのも一興。

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冒険小説とはこれだ「ナヴァロンの要塞」

ナヴァロンの要塞 最近、内藤陳さんの[読まずに死ねるか!]を渉猟している。文字通り、生まれてきた以上、読まずに死んだらもったいない小説を、★★★★★の順に読み漁っている。

 このblogでは、面倒なので★による評価をしていない。しかし、もし5段階で判定するなら間違いなく★★★★★(パーフェクト)になる傑作を読んだ。今週は冒険小説のアタリどきだね。以下紹介文より。

エーゲ海にそびえ立つ難攻不落のナチスの要塞、ナヴァロン! その巨砲のために連合軍が払った犠牲は測り知れない。進退きわまった司令部は、遂にマロリー大尉ら精鋭五人に特命を下した――ナヴァロンの要塞を爆破せよ! 頭脳と体力の限りを尽して不可能に挑む男達の姿を重厚な筆致で描いた、冒険小説の金字塔

 宣伝文句に偽りなし。「金字塔」そのままあてはまる。むしろ、「この本を100とするならば、○○は──」とか、「あの『ナヴァロンの要塞』を超えた!?」といった、天井としての位置づけになる一冊。ナヴァロンの要塞より面白い冒険小説があったら、教えてほしい、絶対に読む読む読みますとも、ええ。

 ナチス・ドイツ軍相手の「ミッション・インポシブル」といえば分りやすいかもしれないが、ここでは超絶的な最新鋭兵器や運を天に任せたモーションは一切ない。切り立った断崖絶壁があれば、しがみついて登り、戦闘機+焼き討ち包囲網に追い込まれたときは、地道に逃げ回る。要するに荒唐無稽を超リアルに描いているワケ。気力・体力・知力と超人的な働きをする特攻野郎Aチームの面々。だが、言っていることにいちいち説得力がある。例えば、恐怖とのつき合いかたについては、次のセリフが光る。どこかで訊いたことがあるが、開高健のベトナム物だったか。

「アンドレアもこわかったんだ」大男のギリシャ人の声はあくまでもやさしかった。「アンドレアは今でもこわいんだ。アンドレアはいつもこわがっているんだ。だからこそ、俺はこんなに生きのびられたんだよ」彼はその大きな手に目をおとすと、「そして、多くの人が死んでいったんだ。そういう連中は、俺ほどこわがらなかったんだよ。普通の人ならこわがることを、何一つこわがらなかったんだ。怖れなければならないことを、つねに何か忘れていたんだな。しかし、アンドレアはあらゆることを恐れ、何一つ忘れなかったんだ。まあいってみれば、それだけのことなんだよ」

 頭カラッポにしてハマれる。夢中になって読める。そういや、グレゴリー・ペックが出ている映画もあったっけ… 観てぇ。

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