劇薬小説No.1「獣儀式」よい子は読んじゃダメ、ゼッタイ
このエントリはグロいので、苦手な人は避けるが吉。「これはひどい」がピッタリの逸品を、ご紹介。
「鬼たちが冥土から溢れてこの世界に出現して以来、はや一ヶ月になる」から始まる、読む地獄。人間なんて、糞袋。まさに劇物。まさに毒書。バカバカしさを暴力エロスでねじ伏せる、奇書というより狂書。
こんなにエロくてグロくて血みどろで、腐肉とウジ虫たっぷりの、酸っぱい胃液と激しい勃起に悩まされたやつは、初めて。オススメいただいたantipopさん、nananasuさん、ありがとうございます。
いろいろ読んできたつもりだけれど、これほど鬼畜劣情な小説は、ない。スプラッター小説なら、クライヴ・バーカー「血の本」シリーズや、綾辻行人「殺人鬼」でおなかいっぱいだよー、と思っていたが、本書はゆうゆうとK点を超えて臓腑に刺さる。
じゃぁどんな話なのかというと―― かいつまむより次を読んでくれ。あ、苦手な人は読まないほうが吉。
怪鳥めいた叫びが、口から洩れた。
だが洋子の耳には、自分の悲鳴も聞こえなかった。激痛に、意識が遠のいていた。
徒労にも全身を踏んばってしまう。そのせいで顔が上向いた。口と目が、大きく開いた。
腰が杭を飲み込む動きを見せた。猟鬼が両足首をひっぱり、その動きを加速する。洋子は反射的に括約筋を絞めていた。それがいっそうの激痛をもたらした。
括約筋もすぐに裂け、使い物にならなくなった。体重のせいで杭が突き入る自然な動きに、身をゆだねるのみ。杭の侵入に合わせて鈍痛が体内を揺する。
ブツン、ブツンという異様な震動がこみあげてくる。
「あは、あはは」
痙攣的な笑いだった。内臓の破れる反動で笑いの声質が微妙に変化する。杭を飲みこむようすを、洋子は全身でばかりなく、声でまで表現しているのだ。
ええと、何されてるのかというと、地面から突きでた、とがった杭の上に、洋子さんが肛門から串刺しにされているのだ。もちろん若い女の体重じゃちゃんと入らないから、鬼が、彼女の両足をつかんで引き下ろす。洋子さんは既に発狂しているので、「肛門ではなく膣口に刺して」と腰をグラインドさせるが叶わず、残念無念。
んで、うまい具合に、肛門→直腸→横隔膜→咽喉、と順々につき破って、最後は口から先端が出てくる。「ブツン、ブツン」は、横隔膜の破れる音なんだって(ちと古いが、映画「食人族」のアレね)。「食人族」と違うのは、一本に一人ではなく、先端が出てきたら、その上に次の人を肛門から… を繰り返しているところ。
さらに、さっきまで洋子さんとヤりまくっていた彼を通り抜けた杭の上に彼女がまたがっている。だから、彼の死に際は壮烈な眺めだよ。なんせ自分の口から突き出た杭に彼女の肛門が迫ってくるわけなんだから。そして、彼女の内臓液を口いっぱい頬張りながら絶命していくわけだから。もちろん彼の「下の人」もいるにはいるが、ずいぶん前なので、ぐじゃぐじゃのデロデロに腐った人塊てんこもりになっている。
うわーすごーい。こんなんで喜ぶ奴ぁ狂ってるね!と断言できるステキ度満開。
こ れ が 序 の 口 。
乱歩、澁澤、サド、筒井と、ジョージ・ロメロとダリオ・アルジェントの作品をこねくり回し・突き混ぜて、出てきた赤黒い何かを煮込んだものを飲み込む感覚。世界設定と不条理さは、筒井「死にかた」そっくり。しかし、本書のほうが読者を気分悪くさせようとするサービス精神(?)旺盛なので、よりオエッて気分を口一杯に味わえるよ!(筒井のような"サゲ"を求めるなかれ)
というわけで、劇薬小説No.1は「獣儀式」の「狂鬼降臨」にけってーい(voice:夢原のぞみ)。ランキングに変動あり、精神的にヤヴァいものから、胃の腑にグッとくるものまで揃ってきた。
- 狂鬼降臨(友成純一) 所収:「獣儀式」
- 児童性愛者(ヤコブ・ビリング)
- 隣の家の少女(ジャック・ケッチャム)
- 城の中のイギリス人(マンディアルグ)
- 骨餓身峠死人葛(野坂昭如)
- 獣舎のスキャット(皆川博子) 所収:「悦楽園」
- 暗い森の少女(ジョン・ソール)
- ぼくはお城の王様だ(スーザン・ヒル)
- 目玉の話(バタイユ)
- きみとぼくの壊れた世界(西尾維新)
「感動する」「爽やかな」「泣ける」小説なんて、クソくらえ。ヌルさに飽いたら、毒成分の高いやつを摂取しよう、ただし、ジコセキニンでね。このランキングは猛毒の類なので、避け本リストとして利用するのもいいかも。
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コメント
友成純一の『陵辱の魔界』はどうでしょうか?
幻冬舎アウトロー文庫版の大森望さんによる解説では、友成純一と竹本健治(『狂い壁 狂い窓』)、さらには綾辻行人(『殺人鬼』)との関係も語られています。
投稿: Red-pine | 2007.11.01 23:34
こいつは面白そうな本だぜぇぇ・・・。
amazonで注文しますた^^
投稿: | 2007.11.02 07:18
タイトルと表紙から既に瘴気が漂っているので、誤読による急性毒書中毒の心配はなさそうです。
投稿: jackal | 2007.11.02 19:24
>> Red-pine さん
「陵辱の魔界」ですか…
「狂鬼降臨」と比較すると、どんなんでしょうか… 友成作品はこれ一冊で見切ったつもりなので、亜流やコピーは避けたいです。
>> 名無しさん
注文したのですか… 何かのジョークのつもりで読めば、ショックはやわらぐかもしれません。ちゃんと自分で想像せずに、バカバカしい話として読めば、耐えられるかもしれません。
>> jackal さん
ああーたしかにそうなのですが、怖いもの見たさでうっかり読んじゃう人がいるかも
投稿: Dain | 2007.11.03 14:21
>>Dainさん
コメント有難うございます。
『凌辱の魔界』は、処女作『肉の儀式』に続く長編第二作なので、『獣儀式』の亜流やコピーではないはずです。
しかし、『獣儀式』と『凌辱の魔界』のどちらが Dainさんの提唱される「劇薬小説」のコンセプトに近いかと言えば、それはやはり『獣儀式』だろうと思います。
トビー・フーパーで例えるなら(なんでやねん!)、『獣儀式』が『悪魔のいけにえ』で、『凌辱の魔界』が『スペースバンパイア』ってなところではないでしょうか。
投稿: Red-pine | 2007.11.03 18:23
>>Red-pine さん
ちょwwww 「スペースバンパイア」ってwwww
じゃぁ全裸のお姉さまを期待して、読みます!
…とはいうものの、だいたい想像がつくので、「淫魔サキュバスに全精力を吸い尽くされる悪夢が見たい」夜に、ひも解いてみますね。
投稿: Dain | 2007.11.04 21:48
喜んで(?)頂けて、良かったです。『陵辱の魔界』もなかなかキてるので、一読の価値はあるかと思います。
さておき、Dainさんがテーマにしている劇薬小説、劇薬マンガは、身も蓋もなく言ってしまえば、「柳下毅一郎さんが書評で取り上げそうな本」ですな(笑)
実際、テレビブロスで数年前まで柳下さんが連載していたコラムで紹介していた本と、"劇薬"シリーズは、かなりカブっています。友成純一も早見純も、僕は初めて名前を見たのは、柳下さんの文章の中で、でした。
柳下さんなら、ものすごい劇薬小説/マンガを知っているのかもしれないですねー。
投稿: nananasu | 2007.11.07 03:58
>> nananasu さん
エグいのを教えていただき、大感謝です。
そして、柳下毅一郎というかたを教えていただき、ありがとうございます。
「特殊翻訳家」ですか…
キャサリン・ダン「異形の愛」を訳出されているようなので、目にとまったはずなのですが覚えていません。
ともあれ、この人をチェックしていると回り道しなくて「劇物」にたどり着けそうです、ありがとうございます。
投稿: Dain | 2007.11.07 06:32
Amazonで著作一覧を見ていたら高校生くらいの時に(何故か)実家に転がっていて何気なく読んだ『ジャック・ザ・リッパー』が有ったのでビックリしました。アレも当時の私には充分過激な内容でしたが…。
Dainさんの紹介されている劇薬小説の中では末席にある西尾維新氏の『きみとぼくの壊れた世界』で完全にやられてしまったので(笑)今は残りのレビューを読んで遠巻きに眺めているだけですが、まさか自分が友成 純一氏の本を読んでいたとは思いませんでした。
今後も一般人が立ち入れない領域へと果敢に踏み込んでレビューを書いて下さるDainさんに期待してますww
投稿: Chicken | 2007.12.19 16:00
>> Chicken さん
あ、ありがとうございます。
「読んだときの年頃」によって劇薬小説になったり、夢中小説になったりするみたいですね。
友成純一作品を高校生のときに読んだのなら、かなりのトラウマ小説になったかと。
投稿: Dain | 2007.12.19 23:10