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懐かしいスゴ本「鷲は舞い降りた」

Wasihamaiorita_ 「冒険小説の傑作」とのうたい文句で読む→噂に違わずスゴ本。ただ、最近のジェットコースター型エンターテイメントに慣れた舌には、懐かしい味付け。なんというか、「ジャッカルの日」のような… もうこれらも「古典」なのだろうか… 以下amazonレビューより。

鷲は舞い降りた!ヒトラーの密命を帯びて、イギリスの東部、ノーフォークの一寒村に降り立ったドイツ落下傘部隊の精鋭たち。歴戦の勇士シュタイナ中佐率いる部隊員たちの使命とは、ここで週末を過ごす予定のチャーチル首相の誘拐だった!イギリス兵になりすました部隊員たちは着々と計画を進行させていく…使命達成に命を賭ける男たちを描く傑作冒険小説


 もちろん読者は結末を知っている。この計画は失敗に終わる。これは「ジャッカルの日」がド・ゴール暗殺を描いたものであるのと一緒。オチは分かっている。ド・ゴールは殺害されなかったし、チャーチルは誘拐されなかった。

 しかし、それでも滅法に面白い。いや、「むしろ」というべきか。歴史上「なかった」ことへ向かって緻密な計画を立て、最も優秀な人員を配置し、確実に実行していく―― 破綻しようのない計画の進行に、読み手はいぶかるだろう…「このままで、どうやって歴史のレールに乗せられるのだろう?」ってね。

 Historical Fictionの面白さはこの部分に凝縮されており、「あったかもしれない」歴史を愉しむのがお作法。歴史のターニング・ポイントというべき場所と時刻に立ち会うような感覚が得られる。そして、いったん歴史の目撃者となった瞬間から、かかわったキャラクタは全面的に排除される仕掛けになっている…読み手と語り部を除いてね。「こうして、それを知るものはいなくなった」ってね。

 ところが、だ、本書がスゴいのは、歴史の軌道がフィクション→ノンフィクションに切り替わった後のほうが面白い。つまり、計画が失敗してからのほうが手に汗握る。ハラハラドキドキの追跡劇になり、戻るも死・進むも死の絶体絶命のセリフの応酬になる。「信頼」や「約束」といった見慣れた言葉が急にずっしり重たく感じられる場面になる。

 この「完全版」では、初版時に削除されていたエピソード ――彼・彼女らの「その後」が描かれている。生き延びた人、亡くなった人の半生が淡々と紹介されている。蛇足かと思いきや、ここでホロリとやられる。かつて「おれにとって、おまえと別れることがすでに充分な罰なのだ」で泣いた方は、ラストでもういっぺん泣ける。

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コメント

 こんばんは。小林円児です。
 『鷲は舞い降りた』は、名作中の名作ですね。懐かしいです。
 余談(予断かも)ですが、翻訳作業で、『鷲は土地を所有した』とされた、あるいは、されそうになったと聞いたことがあります。『THE EAGLE HAS LANDED』……。
 いま、出典が思い出せず、あやふやな記憶で書いておりますから、真偽のほどは、責任を負えませんが。
 済みません。

投稿: 小林円児 | 2007.06.06 01:31

>> 小林円児 さん

  > 鷲は土地を所有した

(゚д゚)ポカーン

ネタかと思いきや、内藤陳さんが言及しています(↓の末尾)
http://biomasa.5.pro.tok2.com/chin/chin2.htm

投稿: Dain | 2007.06.06 22:49

 度々、済みません。小林円児です。
 私の思い違いではなかったようですね。安心しました。昨日、書き込んだ後、一抹の不安に襲われましたので。この件については、村上春樹さんも言及していたことを思い出しました。
 しかし、Dainさんは、いい記事を書いてらっしゃいますね。私も見習って、いい記事を書いていきたいと思います。
 それでは、またの記事を楽しみに待っています。

投稿: 小林円児 | 2007.06.06 23:48

>> 小林円児 さん

村上春樹さんも言及していたのですか…
これは、有名なJokeなのかもしれませんね

投稿: Dain | 2007.06.08 06:28

えーっと、このブログは検索欄は設置されないのでしょうか?

投稿: もん | 2007.06.09 13:55

>> もんさん

google先生に、

"検索したい語" site:http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/

と訊いてみては如何

投稿: Dain | 2007.06.09 23:02

Dainさん
google先生に聞くときのsite:を知らない人も多いんですよ。
(知ってはいても億劫だったりしますし)
自分が検索窓を追加したときのことをもう少し詳しく書いてみました。ご参考までに。
http://bookmark.tea-nifty.com/books/2007/03/post_9b72.html

投稿: ほんのしおり | 2007.06.23 01:27

>> ほんのしおりさん

情報ありがとうございます。
サイト内検索窓は、考えたことがあります
「いかんともしがたい」さんのやつは使えますよね

検索窓よりも必要性を感じているのが、「目次」です
紹介本一覧(できればジャンル分けしたもの)があれば、利便性が高まるなーと思いつつ、メンドくさいので放置しています

投稿: Dain | 2007.06.23 22:40

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