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「どんがらがん」は妙ちきりんなスゴ本

どんがらがん けったいな短編集、読むと不思議な気分になれる16編。ただし逸品だらけ、しかも、人によってイチオシが違ってくるという奇妙な作品集。

 … とはいっても展開が「あさっての方向。」だったり、読み手を韜晦するような難解なストーリーではない。むしろ、悲劇的なラストなのに思わずクスッと笑ってしまったり、日常的な会話から始まって「そこまで行くか!」と叫んでしまうほどトンでもない話へ転がっていったり。

 ミステリ、SF、ファンタジーのいずれの枠にも当てはまらない。実際、ヒューゴー賞、アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞、世界幻想文学大賞の全てを短編で獲っているのは、あとにも先にもデイヴィッドスンしかないとのこと。

 最初の印象は、「残酷なO.ヘンリー」、「ユーモラスなレイ・ブラッドベリ」あるいは「ペダンティックなティプトリーJr.」だったが、進めるにつれ、そのスゴさに魅了されてくる。短編の名手だね、この人。収録作にある、

  • 「物は証言できない」(EQMM短編小悦コンテスト第一席受賞)
  • 「さもなくば海は牡蠣でいっぱいに」(ヒューゴー賞最優秀短編部門受賞)
  • 「ラホール駐屯地での出来事」(MWA賞最優秀短編部門受賞)

 などは、スゴ本ハンターなら要チェックの「賞」だろう。わたしのイチオシは冒頭の「ゴーレム」、出だしからオチまでの巧妙な展開と、絶妙な会話(重要!)、珍妙なプロットと読者との共有感のバランス具合、全てが完全な短編小説(perfect story)、良い小説の見本みたいなもの。ちなみに、「完璧な短編小説」、ミステリなら「妖魔の森の家」(ディクスン・カー)、文学なら「満願」(太宰治)が挙がる。

 ストーリーには一切触れない。いったいぜんたい、何の話なのかいぶかしげに頁を繰るのが読者の「特権」なんだから、惹かれた方は予備知識を排して手にしてみて欲しい。「ゴーレム」なら10頁、立ち読みできるゾ。

* * *

 本書を知ったのは殊能将之氏のblog[参照]、氏の著書「ハサミ男」は予備知識ゼロで読み始め、ラストで心底ビックリさせられたなぁ… やっぱり面白い本書いてる人は、面白い本読んでるねッ。

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