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子供に「どうして勉強しなきゃいけないの?」ときかれたら、何と答えるか?

 元ネタよりも、結城さんの回答[参考]に動かされて書く。なぜなら、この回答は、自分の子がいるかどうかによって変わってくるから。そして、実際にわが子からこの質問をぶつけられたことがあるから。

 もしも、わたしが親でなかったら、「どこかの生意気な中学生の質問」として受け止め、韜晦するか洒落っ気の効いた「回答」をひねり出すだろう。相手が「わかった気」になってくれればしめたもの。

 あるいは質問者の年齢に応じて、開高健/デカルト/ガルシア・マルケスを引いて、それぞれ「悩んだら"風に訊け"」「350年前の名答」「二次方程式の解法を自力で編み出した人」といった説教臭い話をして煙たがられるかもしれない。

 しかし、わたしは父親であり、わが子は「小生意気」にすらなっていない無垢な目で問うてきたのよ、「どうして勉強するの?」ってね。

 汗ったね。

 そのときわたしは、PMBOKガイドを前に呻吟してたので、子どもにとっては「べんきょうしてる」と見えたんだろう。だから、「オトナになっても勉強するのは、どうして?」と読み替えた。そしてこう答えた ――

 ―― パパの仕事は、みんなで一緒に大きなものを作りあげることなんだけど、なかなか上手くできなくってね。みんな頑張っているんだけど、途中で勝手なことを言い出す人や、頼んだ仕事が間に合わない人、材料が足りなくなったりとか、いろんなことが起きるの。

 ―― そこで上手くいくやりかたを探してるの。もちろんパパも自分で考えて試してきたんだけど、昔、誰かが同じ事で悩んだことがあるなら、それが参考になるかなー、と思っているわけ。

 ―― もちろん、そのままマネはできない。だって、同じモノを同じ人で作るわけじゃないから。それでも役に立つんだ。「こうするといいよ」だけでなく「こうしちゃダメだよ」も書いてあるから。

 先人の知恵を「まねび」、わが身で実践せよ、ということを伝えたかったのだが、いかんせんヘタクソなわたしの説明のおかげで、子どもの頭に「?」が並んでいる。

 嫁さんが後をひきとり、「毒キノコ」のたとえで伝えてくれる。曰く、

  「どくキノコがどうして"どく"か分かるのは、食べてお腹をこわした人がいるから」
  「その人に教えてもらえば、あなたが食べなくてもいいでしょ」
  「その人が本を書けば、あなたが読めばわかるでしょ」

  「パパはね、どれが"どく"なのか、教えてもらってるの」

 いやいや、PMBOKガイドにベニテンクダケのことは書いてないと思うぞ …それでも納得顔の子ども、嫁さんに感謝。

 そうした文献を吸収するために、読み書き計算ができるようになれとか、ガッコは解答のある問題に取り組むが、会社は正解なんてない課題がくるんだよ、とか、いかにも親父らしいことを言いたくなる、

…が、飲み込む。思い返すと、「勉強しろ」なんて言われたことがなかったっけ。「好きなことを一生懸命やれ」とはしつこく言われてたが。

 この言葉を、今度は、自分の子に向かって言えるのだろうか?

 「どこかの生意気なガキ」にはいくらでも言えることが、自分の子どもになると、とたんに保守的になるのは、世の習い? 親のサガ? あるいは、わたしが臆病なのか?

 子を持つ身にとってみれば、冒頭の質問は、むしろ自分が試されている気分になる

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コメント

「毒キノコ」の例は秀逸(ありがたく頂きますパクッ)
賢い人は他人の失敗から学ぶ、って方式ですよね。

投稿: t.masuda | 2007.01.23 06:48

あらゆる知識のベースを蓄えることによって、新たな発想を生み出すために必要なんじゃないですかね。
もちろん、最終的に役に立たない知識というのも山ほどあるとは思いますが。
でも勉強すること自体も脳の活性化にも繋がるでしょうし、結果的に人類を賢くしてゆく・・・のかな?
健康にも良かったりして。
ただ、仕事における勉強はだいぶ別な感じですね。

投稿: いんすぴ | 2007.01.23 22:40

>> t.masuda さん

 そうです、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」を、勉強におきかえたつもりです。あるいは、「人生とは"準備"だ」と喝破した井原隆一とか。いずれにせよ、セッキョー臭いですね。やっぱり嫁さんのたとえが秀逸。


>> いんすぴ さん

 ううむ、たしかにご指摘の通りだと思います。「新たな発想」を生み出すためには、「新たでない=既存の発想」が何であるかを予め知っておく必要がありますから。

 それでも、ガッコでやった勉強と、いま仕事の必要性に追われてやっている勉強との違いが見出せません。本質的に異なるものなのかもしれませんが、やってるわたしが、どちらも面白がって勉強してきたので(どうすれば効率よく○○できるのか? を、わが身を持って実験する)。

 ただ、この「面白がり」を、わたしの子どもに伝えるのは難しいかも…

投稿: Dain | 2007.01.24 00:37

いつも拝見させていただいています。
下記の記事の中の回答でこんなのがあります。
http://www.nikkei.co.jp/kansai/elderly/35511.html
「その問いそのものの無意味さをいつか君に気づかせてくれる役に立つだろう」この回答は小さな子供には分かってもらえないと思いますので今回の件には当てはまらないかも知れません、でもこの回答が一番すっきりします、ただ子供は???でしょうけどねw

投稿: 瀬野 | 2007.01.24 13:46


なぜ役に立たないことを勉強しなければならないのか (2004-03-03)
http://simple-u.jp/pd200403.html#2004-03-03

-憂鬱なプログラマによるオブジェクト指向な日々-
http://simple-u.jp/


投稿: | 2007.01.24 22:10

>> 瀬野 さん

 教えていただき、ありがとうございます。読んだ記憶が…

 このテの質問と回答に出くわすたびに思うのですが、質問者を「子ども」にしているだけで、本当に知りたいのは、回答者(もしくは、この設問を振った人)自身ではないか? ということです。「子どもからの質問」に答える、という形をとることで、自己主張をしたいだけじゃん、と思っています。

 なぜなら、本当に自分の子どもからそんな質問をされたときは、「そんなのあたりまえ」「いいから○○しなさい」になるから。

  > でもこの回答が一番すっきりします、ただ子供は???でしょうけどねw

 は、その通りだと思います。瀬野 さんのこの一行が、「このテの質問をする人と答える人」の本質を言い当てていると思います。


>> "  "さん

 教えていただき、ありがとうございます。これも、読んだ記憶が…

 でもって、いつもいつもいつも思うのですが、このテの回答で優れたもの・ナットクできるもの・スマートなものは、「質問者は子どもじゃなくて、アンタでしょ?」というツッコミを入れたくなります。つまり、回答者が自分で"自分を"納得させるための論理が展開されていて、うわあ凄いなぁとは思うのですが、実際に自分の子にそう答えられるか、と考えると、とても疑問に思えてきます。

投稿: Dain | 2007.01.25 00:00

はじめまして。
「開高健」というキーワードで検索をしたら、たどり着きました。
勝手ながらトラックバックさせていただいたのですが、
英文ばかりでなにやらスパムみたくなってしまったので、
お詫びいたします。不適切なら削除してくださいませ。

この毒キノコの例えはとても分かりやすいですね。
おそらく「勉強する」の意味を、
自分の中に消化しきっているように感じました。
この手の質問への答え方・接し方で、
その人の消化具合って見えるような気がします。
ひょっとしたら子供も感じ取っているかもしれませんよね。
私はもうすぐ子供を持つ身になるので、
子供からのなぜなぜ攻撃が楽しみな反面、
かなり苦戦しそうな気がしています。

投稿: ubiquitous_music | 2007.02.18 23:20

>> ubiquitous_music さん

 開高健の「風に訊け」は今でも読みます。ずいぶん影響を受けました。

 翻ってこのテの質問について。借りモノの回答を振りまわす親は、結局、いないんじゃぁないかと。子どもと真剣に向き合うときの「応え」は、朝ナマ的な詭弁の応酬にはならないんじゃぁないかと思っています。

投稿: Dain | 2007.02.20 00:07

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