« 2006年12月10日 - 2006年12月16日 | トップページ | 2006年12月24日 - 2006年12月30日 »

「マルドゥック・ヴェロシティ」はスゴ本

 「ターミネーター」観たことある? 最初の奴だ、シュワちゃんが悪玉の奴。あのターミネーターの『視界』を覚えてる? 赤外線カメラの映像をベースに、重要物はロックオンされ、ナレーションが文字列で表示される。あのシュワちゃんビジョンを『読む』ような錯覚にとらわれた── そんな独特な文体。

 結論── とことん堪能した。前作の「マルドゥック・スクランブル」同等、スゴ本なり。ギブスンを意識したサイバーパンクアニメを『読む』ようなカンジ。人によると、「攻殻機動隊」や「マトリックス」を思い出すかも。わたしの場合、洗練されていない主人公の泥臭い動き方と、表紙絵がどう見てもシュワちゃんなので、「ターミネーター」(T1のやつ)のイメージがついてまわってしょうがなかった。

 この手のストーリーやキャラは散々アニメで"消費"したくせに、小説というカタチで読まされると、ものすごく新鮮に見える。たとえば、バトルシーンはこんな風――

 左手袋の一部を手錠に変身──ナタリアの背後に回る。
「手を腰の後ろに」
 素直に応じた。「ニコラスから聞いたわ。あんた、壁をあるくんですって?」
 手錠をはめて拘束した。「立つんだ。ここから出たらすぐに外す」
 立たない。その姿勢のまま、手錠を鳴らしながら身をよじって、こちらを見た。「私もそういう特技を持っている人を知ってるわ」
 その瞳の奥に、光──確信、挑戦、警告。
《戦意の臭いだ!》ウフコックの悲鳴のような無線通信。
 頭上──斜め上。カサカサと何かが小さな音を立てる。
 ボイルドは重力の壁を展開させながら飛び退いた。
 バスルーム──天井付近の陰から、巨大な赤いゴキブリが飛び出し、長い金属の手を突き出してきた。義手──五本の指の先から伸びる注射針──ボイルドの胸へ。
 機会の腕に重力を叩きつけがなら身をひねってかわす──壁に針が刺さる。折れる。
「おかあああああさん!」ゴキブリやろうの絶叫。
 右手の拳銃を振りかざして跳躍──重力──部屋の壁に向かって落下。
 膝をついて着地。真っ赤なゴキブリが猛スピードで天井を走って廊下から飛び出す──まるで発射された弾丸のような速度──追いかけてくる。「おかあああああさん!」

 主人公ボイルドは、自分で「下」を決められる。つまり、重力を自在に操ることができる── はいそこの人どうぞ~、「エコーズACT3」ですね、正解!そのパートナー、ウフコックはしゃべるネズミ。通常は手袋の形でパートナーと一体化しており、どんな武器にでも変形できる──はいそこの人~、「ミギー」ですか、ウフコックは拳銃にも変形できるケド、まぁ正解。

 以降、新手のスタンド使いがたんまり出てくるけれど、奴らの特殊能力がスゴいのではない。それをストーリーに組み込もうとする仕掛けが面白い。本来、軍事技術を流用した特殊技能は、社会にとって危険なもの。その管理・運用を法律的にバックアップする"マルドゥック-09"(オーナイン、と読む。009を意識?)をめぐる確執が面白い。エアカーが普通の未来社会でありながら労働組合でゴト師が跋扈する階級社会でもある。

 ダークサイドもちゃんと書いている。嗜虐性快楽(?)も行き着くところまで行っており、子どもに麻薬を与えてハイになったところで右手を散弾銃で吹き飛ばす―― 子どもは分かってなくて「気持ちいいよ、気持ちいいよ」と悦びながら死んでゆく… そういうスナッフを見てマスターベーションする、といった陰惨な嗜好も描かれている。

 じゃぁ異能バトルSFなのかというと、ちゃんとミステリにもなっているところが面白い。次から次へのバトルシーンを夢中になって読んでいると、後半のどんでん返しにあっと驚くだろう。いや、主人公が前作でどういう運命をたどるかは、読んだ方は知ってるから、余計に興味深い(前作では最強の敵役として出てくる)。「ヴェロシティ」を最後まで読んだあとは、あらためて「マルドゥック・スクランブル」を再読したくなる仕掛けもほどこしてある

 そこ至るまでに主人公ボイルドが見た虚無は、あまりにも深い。

マルドゥック・ヴェロシティ1マルドゥック・ヴェロシティ2マルドゥック・ヴェロシティ3

 前作である「マルドゥック・スクランブル」もスゴ本。時系列だと「ヴェロシティ」→「スクランブル」なんだが、最も楽しめる読み順は「スクランブル」→「ヴェロシティ」

 「マルドゥック・スクランブル」の主人公はバロット。死線を超えて甦った彼女は驚異的な空間認識力を得る。何にでも変化できる万能兵器ウフコックを使い、正確無比な射撃で「敵」を仕留めてゆく。陶酔感をまとった圧倒的な力の行使は「マトリックス」や「リベリオン」を髣髴とさせる(筆者はその前に書いたという)。いや、たとえ観ていたとしても弾丸で弾丸を弾き飛ばして軌跡を変えたり、突きこんでくるナイフの切っ先に合わせて剣で突くなんて、まず書けない(思いつかない)。

 物語の主軸は「自分の価値=有用性をいかに示すか」にある。激しい戦闘の描写に、このテーマも霞みがちだが、バロットも、ウフコックも、「敵」となるボイルドやシェルでさえ、自己の価値を見出そうとする…飛び交う弾丸や、血漿や脳髄の中に。

 バロット自身の「有用性」は「商品としての少女」から始まった。モノとしての性。部分としてのフェティシズム。そして、彼女の過去に娼婦以外の「有用性」を探した男のおぞましい話、さらにマルドゥック-09の証として生きのびることがウフコックのための「有用性」、最期は"そこに居ること"に自分の価値を見出す。これは実存の物語でもある。人は道具ではない。兵器として最強究極の「道具」である彼女がそこにたどり着くまでの、長い長い話とも読める。

マルドゥック・スクランブル1マルドゥック・スクランブル2マルドゥック・スクランブル3

 アニメ公式サイトは[ここ]GONZOの仕事だが、CVが林原めぐみなので期待高し。「ヴィジュアルテロリズム」だそうな。もう一年も待ちぼうけを食らわされている… ま、気長に待ちましょ。「スクランブル」も「ヴェロシティ」も3巻本とボリュームがあるので、アニメを入り口にするというテもあり。2006.12.23追記:GONZOがこの仕事を降りたらしい…

| | コメント (5) | トラックバック (3)

PMP試験対策 2.3.2 「計画」でやっていること(スコープ)

 ここでは、「計画」でやっていることを説明する。

――――――――――――――――――――――――――――――――

■「計画」でやっていること(スコープ)Keikaku

 計画プロセス群の最初にコレがきている理由を、まず考えて欲しい。

 そもそも、PMPなんて目指そうとしているのなら、失敗プロジェクトに酷い目に遭ったこともあるだろう。そして、そんな人なら、どうしてそのプロジェクトが失敗したかについて、ハッキリと言えることもあるだろう… 筆頭なのが、「何を作ろうとしているのかハッキリしないまま、プロジェクトが進められた」ではないだろうか。

 プロジェクトが迷走するようになってから、次のようなものを決めようとしても手遅れだ。そして、次のようなことを決めずにプロジェクトを開始するシニアマネージャがいかに多いことか…

  • プロジェクトの目標。結局のところ、何を達成したら「プロジェクトは成功した」と言えるのか
  • プロジェクトが生成するべきプロダクト、サービスといった成果物の仕様・特性
  • プロジェクトに対する要求事項(契約、標準、仕様)と、その優先順位
  • プロジェクトの境界。どこまでがプロジェクトに含まれ、どこからがプロジェクトの範囲外となるのか
  • プロジェクトの最終的なアウトプットと、そこへ至るまでの補助的な成果物
  • 成果物受入れ基準、つまり完成したモノ・サービスを受け入れるプロセスと、その基準を定義したもの
  • プロジェクトの制約条件や前提条件。選択肢を制限するような具体的な制約条件、例えば予算やサービス開始の日付

 これ以外にも、プロジェクト組織、初期段階で判明したリスク、スケジュールのマイルストーン、資金、見積もったコスト、プロジェクトそのものが準拠するべき仕様書、コンフィギュレーションマネジメントと変更管理のレベル… といったものを、計画段階で洗い出して記録しておく必要があるという── つまり、これらがプロジェクトスコープ記述書に記載されることだという。

5.1 スコープ計画

 プロジェクトスコープマネジメント計画書を作成する。プロジェクトスコープマネジメント計画書とは、どのようにプロジェクトスコープを定義し、WBSを作成し、変更をコントロールし、検証するのかを記述した文章のこと。スコープの定義とマネジメントは、プロジェクト全体に影響を及ぼす。

5.2 スコープ定義

 ここでプロジェクトスコープ記述書を作成する。プロジェクトスコープ記述書には、プロジェクトの要素成果物や、要素成果物を生成するために必要な作業を記述する。暫定版をもとに、前提条件や制約条件を踏まえ、専門家の判断を入れて作成する。具体的には↑のリストで挙げた事柄が記述される。

5.3 WBS作成

 ここでWBSを作成する。WBSとはWork Breakdown Stractureの略のこと。プロジェクトでするべき作業が、プロジェクトで達成する目標→プロジェクト全体の大枠→各フェーズのフレームワーク→具体的な作業と、段階的に構造化・細分化されている。最下層はワークパッケージと呼ばれ、80時間程度の作業まで分けられる(1人の勤務時間×10日間ぐらいの作業量)

 WBSには一意の識別子(WBSコード)が割当てられ、管理単位となる。また、WBSの作業内容を詳細に記述した文書をWBS辞書と呼び、WBSコード、作業範囲記述書、担当組織、マイルストーンが盛り込まれる。

――――――――――――――――――――――――――――――――
PMP試験対策【まとめ】

| | コメント (0) | トラックバック (0)

PMP試験対策 2.3.1 「計画」の目的

 ここでは、「計画」の目的を説明する。

――――――――――――――――――――――――――――――――

■「計画」の目的Keikaku

 プロジェクトマネジメント計画書を作成することが目的。段取り8割、なんだ単純じゃん、と言う莫れ、ここをちゃんとやらない場合、プロジェクトの失敗確率は→100%となる。エイブラハム・リンカーンの「木を切り倒すのに6時間もらえるなら、私は最初の4時間を斧を研ぐことに費やしたい」を思い出す。

 PMI は計画プロセスを非常に重視している。現実は、「先行き不透明だから計画なんてぶっちゃけありえない」なのだが、計画プロセス群を繰り返しまわし、フィードバック・ループをまわしたり、ローリング・ウェーブにより段階的に詳細化することで精度を高めよ、という。ベースラインが決まっていないと、どれぐらい予実が乖離しているかすら気づけない。

4.3 プロジェクトマネジメント計画書作成

 では、プロジェクトマネジメント計画書とは何か。プロジェクトマネジメント計画書とは、どのように作業を実行するかを記述したもので、以下のものを指す。

  • スコープマネジメント計画書
  • スケジュールマネジメント計画書
  • コストマネジメント計画書
  • 品質マネジメント計画書
  • 要因マネジメント計画書
  • コミュニケーションマネジメント計画書
  • リスクマネジメント計画書
  • 調達マネジメント計画書

 それぞれの知識エリアと一致している。こいつに「プロジェクトスコープ計画書」と「プロジェクト憲章」を加えると、主要なプロジェクト3大文書となる。

 ちょっと図を見て欲しい。

 計画プロセス郡の中の一番はじめに「プロジェクトマネジメント計画書作成」がある。で、下のほうへいくと、スコープ、タイム、コスト、リスク、品質、コミュニケーション、人的資源、調達、と各知識エリアごとに計画プロセスが続き、おのおので各々のマネジメント計画書を作成する。ん、おかしくないか?

 スコープ、タイム、コスト、リスク… のマネジメント計画書を合わせて、「プロジェクトマネジメント計画書」ができ上がるはずなのに、計画プロセスの最初にあるのはヘンじゃないか? ── その指摘はとても正しい。

 実はこれ、2回目以降のことを言っている。つまり、初回は各知識エリアのプロセスを回さずに、組織のプロセス資産などを用いてマネジメント計画書を作り、各知識エリアの計画プロセスに入る、そして計画プロセスを繰り返しまわして行くことで肉付けを行っていくというわけ。「プロジェクトマネジメント計画書」は1回つくったらそれでオシマイではなく、繰り返すことにより進化させていく

 何をプロジェクトマネジメントの計画書として扱うかは、以下のとおり。

  • どのプロジェクトマネジメントプロセスを行うか、決める
  • 決めた各プロセスを、どの程度まで実行するか、決める
  • プロセスを実行する際に使うツールと技法を盛り込む
  • プロジェクト目標を達成させるための作業の実行方法を決める
  • 変更を監視し、コントロールする方法を検討し、決める
  • コンフィギュレーションマネジメントの実施方法を決める
  • ベースラインを決める(スケジュール、コスト、品質、パフォーマンス測定)
  • ベースラインの一貫性を維持するための方法を決める
  • ステークホルダー間のコミュニケーションのためのニーズ・技法を決める
  • プロジェクトライフサイクルを決める
  • 未決課題や未決定項目を解決するためにどうマネジメントしていくか、決める
  • マイルストーンを洗い出し、リスト化する
  • いつごろ、何(人、もの、技術、カネ、資材)が必要になるかかを判断し、資源カレンダーを作成する

――――――――――――――――――――――――――――――――
PMP試験対策【まとめ】

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2006年12月10日 - 2006年12月16日 | トップページ | 2006年12月24日 - 2006年12月30日 »