劇薬小説【まとめ】
はてな「読後感サイアクの小説を教えてください」で教えていただいたものを、読んできた。質問[ここ]からピックアップしている。過去のエントリ「劇薬小説を探せ!」を元ネタにして、これまで読んできた劇薬小説をまとめてみる。
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劇薬小説とは
読了して後味の悪い思いをした小説を指す。読んだことを激しく後悔するような、いやあぁぁぁな気分にさせてくれる本。下らなくて情けなくなる「壁投げ本」ではない。また、マンガを含めると莫大になるので、対象外とする(ちなみに劇薬マンガNo.1は日野日出志「地獄の子守唄」)。
エロだったりグロかったり、救いがなかったり
大の大人なのに怖くて夜に読めなかったり
読了してヘコんだり、生きる気力が奪われたり
生理的にクるものに、おもわずマジ嘔吐したり
その後、人生のトラウマと化したり
小説はしょせん絵空事。リアルでない物語に実人生を侵食されるほどヤワじゃないと思っているし、相当読みこんできている自負もある。だからたいていの「オススメ」はたいしたものじゃない。ただの「出来のよい」ホラーや「救われないラストの」ミステリなら山ほどある。はてなの住民は「普通」で「お上品」な方が多いような気が。
「爽やかな感動が得られます」クソクラエ。本を読んで感動するのは、実人生で感動するための訓練のためじゃろう。おまいらリアルで感動できないくせに小説に感動を求めるんじゃねェ!それはウソんこの感動だ。感動のシミュレートだ。
ハラ減ってメシがうまい→感動。女はやっぱり美しい→感動。セックスはすばらしい→感動。くたびれて眠る→感動。感動できない未熟な人が、小説を読んで感動したフリをしているんだろ。マスターベーションと同じなり。
人間やってて毎日感動しているんだから、たまには感情をネガティブにドライブしないと、釣り合いが取れない。ホラ、アイスクリームの後に熱い緑茶が飲みたくなったり、恋愛映画を見た後はスプラッタで口直しが必要だったりするだろ。
けれども人間をやめるわけにはいかないので、やめたつもりになってみるぞジョジョオオオォォォーーーーーッ!!っつーわけで、「これは!」というものをチョイスした。
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2005.8時点でのランキング
最悪の読後感は、
1.隣の家の少女(ジャック・ケッチャム)
2.ぼくはお城の王様だ(スーザン・ヒル)
3.砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない(桜庭一樹)
4.蝿の王(ウィリアム・ゴールディング)
となっていた…
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ワースト3のサイアクっぷりは以下のとおり(【注意!】激しくネタバレだけなでなく、ショッキングなことも書いてあるので、承知したうえで反転表示してねッ)
「隣の家の少女」は、虐待されるガールフレンドを助けられなかった男の子の話。両親を交通事故で亡くした姉妹を引き取った女が折檻する。そのエスカレートっぷりはわたしの限界を超えている。女は姉妹を地下室に監禁し、強がる姉を剥く。そして、自分の息子に「おまえ童貞だろ、ファックしてやりな」とけしかける。さらには××××ワードを糸で腹に縫い付ける場面はじゅうぶん嘔吐に値する。
救われないのは、主人公が少年(子どもでないが、無力)というところ。姉のほうに淡い恋心を抱き、なんとかしようと足掻くのだが、しょせん子ども。己の無力さを思い知る。ラスト1ページで意趣返しはかなうのだが、そんなことをしても何も救われない。
「ぼくはお城の王様だ」は、「強い立場」の子どもが「弱い立場」の子どもをイジメる話。読みどころは、誰もおかしくないこと。イジメられている子の母や、イジメっ子の父が偽善的に描かれていればまだ救いはある。しかし、誰かを悪者のように描いていない。ただ、ほんの少しだけ子どもから目を離していただけ(だと思いたい)。イジメっ子自身も悪者のように描いていない。イジメ慣れしていない子がイジメに走ると、陰惨なやつになる典型。
誰も悪くないなどとは言わないが、誰かのせいにして読者に納得させること許さない。最終的に自殺にまで追い込まれる理由は、憎しみだ。イジメっ子が憎い、分かってくれない母も憎い、だが最もやりきれないのは、どこにも持って行き場のない憎悪を抱いてしまった自分自身。そのあまりの禍々しさにおののくシーンがある。誰にも打ち明けることもできず、独りで立ち向かうこともできず、ただ泣くしかない。普通の小説なら、誰かが流れを変えるきっかけをくれるのだが、ない。知らずに期待して読むと酷い目に遭う。
「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」は、友達がバラバラにされて積まれているのを、女の子が見つけるまでの話。ラストでどうなるかは最初のページに書いてある。理不尽なセカイに無力なワタシ。オトナになるためには、子どもを生きのびなければならない。
着地点が分かっていて、そこへの過程を綿密にたどるかと思いきや、そうではない。なぜそんなことになってしまったのかは説明されていない。「百合小説の傑作」という誰かの誉め言葉と表紙の萌え絵に吸い寄せられたのが運の尽き。予備知識ゼロで読んだ人は酷いショックを受けるかもしれない(例えば「君が望む永遠」を予備知識ゼロでプレイするとか)。
ああ、そういえばわたしもそうだった無力で壊れやすい子どもだった。しかし、残虐なイジメに出くわすこともなく、己の憎悪に打ちひしがれることもなく、狂った親に殺されることもなかった。
以上、「最悪の読後感を味わわせてくれる小説」より引用した。こいつを肴にはてなでオススメいただいたものを読んだ結果がこれだ↓
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「はてな」でのオススメ劇薬小説
■殺戮の「野獣館」(リチャード・レイモン)
続きはここ→[参照]
■D-ブリッジ・テープ(沙藤一樹)
続きはここ→[参照]
■完璧な犠牲者(クリスティーン・マクガイア)
続きはここ→[参照]
■閉鎖病棟(パトリック・マグラア)
続きはここ→[参照]
■自由自殺法(戸梶 圭太)
続きはここ→[参照]
■溝鼠(新堂冬樹)
続きはここ→[参照]
■アクアリウムの夜(稲生平太郎)
続きはここ→[参照]
■我らが影の声(ジョナサン・キャロル)
続きはここ→[参照]
★悦楽園(皆川博子)
続きはここ→[参照]
■盤上の敵(北村薫)
続きはここ→[参照]
★暗い森の少女(ジョン・ソール)
続きはここ→[参照]
■きみとぼくの壊れた世界(西尾維新)
続きはここ→[参照]
■妖魔の森の家(ディクスン・カー)
続きはここ→[参照]
■贈る物語 Terror(宮部みゆき編)
続きはここ→[参照]
■ずっとお城で暮らしてる(シャーリイ・ジャクソン)
続きはここ→[参照]
■たたり(シャーリイ・ジャクソン)
続きはここ→[参照]
■告白(町田康)
続きはここ→[参照]
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劇薬小説ランキング
現在こうなっている
1.児童性愛者(ヤコブ・ビリング)
2.隣の家の少女(ジャック・ケッチャム)
3.獣舎のスキャット(皆川博子)
4.暗い森の少女(ジョン・ソール)
5.ぼくはお城の王様だ(スーザン・ヒル)
6.砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない(桜庭一樹)
7.蝿の王(ウィリアム・ゴールディング)
で、ランキングトップ(ワースト?)はこれ
★児童性愛者(ヤコブ・ビリング)
続きはここ→[参照]
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関連エントリ
この企画の二番煎じ「読まなきゃよかった物語を教えて下さい。ネタバレ推奨」
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「はてな」でオススメいただいたその他の劇薬本
- 記号を喰う魔女(浦賀和宏):壁投げ本。オススメしてくれた人に悪いが
- 岬(中上健次):<未読>
- 死者の奢り・飼育(大江健三郎):<未読>
- 姉飼(遠藤徹):壁投げ本らしい。読まない
- 黄金色の祈り(西沢保彦):くだらない話だったorz
- 夏の滴(桐生祐狩):とんでもない話。後半で筆力がみるみる減っており作者が不憫なり。これは編集者の罪
- 神様ゲーム(麻耶雄嵩):壁投げ本らしい。読まない
- 夜の記憶(T.H.クック):<未読>
- 悪いうさぎ(若竹七海):<未読>
- グルーム(ジャン・ヴォートラン):<未読>
- 雪の死神(ブリジット・オベール):orzらしいのでやめておく
- 不思議な少年(マーク・トウェイン):たしかに厭世的になる
- リカ(五十嵐貴久):壁投げ本。穂村愛美の方が恐ろしい
- 鬱(花村万月):<未読>
- クリスマス・テロル(佐藤友哉):壁投げ本らしい。読まない
- 人獣細工(小林泰三):オススメした人に悪いが、くだらない
- 恐怖夜話(ガストン・ルルー):<未読>
- 夏の葬列(山川方夫):国語の教科書として読んだ人は激しくお気の毒というしか
- 小説大逆事件(佐木隆三):<未読>
- 異形の愛(キャサリン・ダン):畸形たちの「ホテル・ニューハンプシャー」(J.アーヴィング)
- ロウフィールド館の惨劇(ルース・レンデル):<未読>
- ZOO(乙一):激しく期待→激しく失望
- 異形博覧会(井上雅彦):ソコソコ期待→失望
- わが愛しき娘たちよ(コニー ウィリス):ひっかからなかった
- ある晴れた日に(ドーン・パウェル):ひっかからなかった
- 問題外科(筒井康隆):<未読>
- クリスマスに少女は還る(キャロル・オコンネル):<未読>
- チョコレート・ウォー(ロバート・コーミア):<未読>
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これから読む劇薬小説
- 骨餓身峠死人葛(野坂昭如)
- 問題外科(筒井康隆)
- 地下室の手記(ドストエフスキー)
- ロウフィールド館の惨劇(ルース・レンデル)
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