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ツンデレ小説ベスト

   1. 春琴抄(谷崎潤一郎)
   2. きみとぼくの壊れた世界(西尾 維新)
   3. 涼宮ハルヒの憂鬱(谷川 流)

 「春琴抄」は日本文学屈指のツンデレ。昨今のブームに便乗した作品と比較しても、最高のツンデレ(ツンデレスト)だと断言できる。というのも、ツン→デレの彼我を超えるために彼がしたことは、とても常人では真似のできないことだから。

 抜き差しならぬ関係が露見しても素っ気なく否定する場面なんて萌える。小説の悦びは、読み手の想像力にはたらきかけることにある。書いてない部分を妄想を逞しく補完するトレーニング本としてもGood!谷崎潤一郎やりおる!

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きみとぼくの壊れた世界

 「きみとぼくの壊れた世界」もスゴさは負けてない。ツンデレな妹と、ツンデレな同級生が出てくる。それぞれツンは普通だが、デレの鬼気迫る壊れっぷりを堪能すべし…てかこれこそが本作のメインディッシュ。

 ツンデレ妹なんだけど、主人公も(表面上は)距離をおいた態度を取る。妹の気持ちが危険水域に達し、決壊する瞬間の描写がスゴい。まさに「狂う」というコトバがぴったり。一線をこえてしまう兄妹ってこんなのだろうか…おもわず妄想。

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 「涼宮ハルヒの憂鬱」は今が旬のツンデレ、と言われている。確かにアニメ第1話は徹頭徹尾唖然とさせられた。未読の方を完璧に無視した展開はあっぱれといえる。
涼宮ハルヒの憂鬱

 しかし、小説に目を転ずると、ハルヒがデレデレする場面ってあったか? ポニーテールが似合うからと、無理矢理ポニーにしてくるとこ? 奇妙な洋館で二人きりになったとき、唐突に「有希ばかり見てるでしょ」と問い詰めるところ? (それぞれ「憂鬱」「動揺」)

 既刊分は読破したが、ずーーーーっと「ツン」ばかりで、1冊につき数行だけ「デレか?」という描写あり。これはハルヒの「デレ」を探すゲームブックなのかもしれない.

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 さて、例によって「はてな」の有識者に訊いてみよう→あなたの「ツンデレ小説ベスト」は何ですか?

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田中芳樹の作品は、読む順番があるらしい

 はてな「徹夜小説」[参照]で田中芳樹作品を勧められた。やっぱり「銀英から読むのかな?」と、うっかり嫁さんに口走ったのが運の尽き、

おバカーっ!

と一喝された。「どーしてウチの旦那はおバカなのっ」とぷりぷりする嫁さんをなだめてすかして聞き出した、田中芳樹作品の傾向と対策をまとめた。

【傾向】無駄に長い

 仰々しく文を飾る傾向がある。動作の一つ一つに練った形容詞を連ねることにより、「見せ場」を強調する。S.キングを彷彿とさせるが、ジャンルがぜんぜん違うので指摘する奴皆無。

 我慢できず「で、結局どうなるの?」を連発するならば、読む資格無し。まさにこの冗長さを楽しめないのであれば、早々に立ち去るべし。

⇒⇒⇒【対策】見せ場までの「間合い」を見切れ

 完結済みの1巻モノを読みきることで、冗長さの加減を計るべし。イベントからイベントまでの書き手の間合いが分かっていれば、他の超長大河小説もおのずと知れる。

【傾向】登場人物が多い

 とにかく登場人物が多い。たかが数頁で命運が尽きるような端役まで名前がある。「どこの翻訳ですか?」と言いたくなるほど埋め尽くされた人物紹介欄にゲンナリ。読んでる途中で、誰が誰だか分からなくなる悪寒。

⇒⇒⇒【対策】メインキャラだけ見てればOK

 端役の場合、登場した次の章でイベントが起き、たいてい死ぬ。以降「史実」として扱われるので無問題。登場人物の多さに比べ、メインキャラの数は非常に少ないため、それだけを追えばよい。名前は裏表紙などの紹介文に書いてあるので一目瞭然。

 結局、誰が死んで誰が生き残るかの話に尽きる。魅力的なキャラを容赦なく殺していくのが本領。極端な話、登場と同時に死亡フラグが立っているのもアリ。生き残った者に目配りする読み方。これは中編の作品を読んで推し量るべし。

【傾向】どこかで読んだ話なのですが…

 「えーと、どこの呂布ですか?」パクリと言ってはいけない。あくまで「おまーじゅ」と表現する。でないと石つぶてを喰らう。あるいは磔刑に処せられる。

⇒⇒⇒【対策】「おまーじゅ」を楽しむ

 完全にオリジンな作品なぞない。何かは誰かのパクリだし。むしろ、平凡なストーリーを非凡に仕立てようとする努力を見守ってあげる度量が欲しい。群雄割拠+権謀術数を描くと、アレと似たり寄ったりになるから、という主張も一理ある。それが宇宙なのか似非中世なのかが違うだけ。

【傾向】"自称"田中芳樹ファンは大長編を勧めてくる

 いきなり大長編を勧めるのは、「ボクはこんなに長い小説を読んでるんだよ」という自慢の裏返し。「銀英」しか読んでない"自称"田中芳樹マニア。長編でなくとも魅力的な作品はある。とっかかりで中編を勧め、「これ読んで面白かったなら、長いやつに手を出してみれば」と紹介するのが吉。

⇒⇒⇒【対策】田中芳樹作品を読む順番

 完結していること。「続きはお楽しみ」を楽しみに待てるのは、慣れた読み手。初心者なら、一度はまとまった話を通しで読んで雰囲気を味わうべし。

 ある程度のボリュームがあること。いくら短めとはいえ、彼の作品の良さはある程度の時間幅を持った群雄ドラマ。短編ではその魅力が伝わらない。

 これらを考慮した「読む順」田中芳樹リストは以下の通りだそうな。
マヴァール年代記
 最初に読むのは、

 「マヴァール年代記

 これ読んで面白かったら、「完結した」作品群を漁ると良いそうだ。

 「銀河英雄伝説」(正伝のみを追うように)

 「アルスラーン戦記」(第一部のみ読む)

 「創竜伝」は、まだ読まない。完結してから手を出す

 んで、「マヴァール年代記」を読了。非常に面白く読ませてもらったが、吉川英治の「三国志」と司馬遼太郎「項羽と劉邦」あたりがチラチラ思い出されてヤになる。この辺りの歴史モノが未読の方は大いに楽しめるぞ。

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