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「アート・オブ・プロジェクトマネジメント」読書感想文(その8)

アート・オブ・プロジェクトマネジメント 本書に書いてあることは本質的なものばかり。自分で気づいて実現できているものは「何をあたりまえな」と感じるかもしれない。そうでないものは、「分かっちゃいるけど、できていない」と思うだろう。

 ここでは、わたしにとって苦手な「分かっちゃいるけど、できていない」コミュニケーションと人間関係について述べた9章、10章の感想を書く。

■歩き回るマネジメント

 仕事ができる人は雑談が上手い、と言われるが、わたしがそれを納得するのにずいぶん時間がかかった、大損だと思う。技術力があるとか、プレゼンが上手だとか、確かに大切なものはあるけれど、イザというとき頼りになる人は、必ずといっていいほど雑談が上手い。プロジェクトがトラブルやプレッシャーにさらされるとき、肩書が無意味になるとき、皆の中心にいる人は、最も長く全員と雑談した人であるはず。その人がPMでないならば、PMは最も大切な仕事 ―― コミュニケーションを怠っていることになる。

 本書ではトム・ピーターズ「エクセレント・リーダー」にあるMBWAが紹介されている。MBWAとは、Management By Walking Around 、すなわち、歩き回るマネジメントのこと。これは優れたマネージャがもつ資質の一つだと語られている。普段からメンバと円滑なコミュニケーションを図り人間関係を築くことによって、人や情報に対する投資を行う。うまくいっていることと、うまくいっていないことの両方を知ることができる。

 わたしはこれができていない。閉鎖的というわけではい。あいさつ+αだけで、後は仕事の話に入ってしまう。雑談に"興じている"レベルになると時間の無駄だと感じ始める。そんなヒマあるなら仕事に戻りたくなる(←本当はこれが間違っているのだが…)。だからといって、趣味全開で「名雪ってさぁ…」と語るほどカミングアウトしていないジレンマ。

 まぁ、そこまでさらけ出す必要はないけれど、自分の「」を意識して出るようにしとかないと。」の中に入っている限り、まともなコミュニケーションはできていないことを常に肝に銘じておこう

■コミュニケーションにおける銀の弾丸

 「銀の弾丸」は、ある。それは、次の質問だ→「あなたがベストを尽くせるようにするには、私はどんな支援をしたらいいだろうか?」、これこそどんなピンチのときにも使える質問だ。

 メンバーにベストを尽くしてもらうために、PMはさまざまな働きかけを行う。叱咤激励したり、意欲をかき立てたり、障害を排除したり、目標を思い起こさせたり… しかし、人をコントロールすることは、かなり難しい。だから優れたPMは、自分にできること、すなわち、メンバーとの関係をコントロールしようとするわけだ。

 そのための強力な質問が「目標をあなたが達成するために、私がすべきことを教えて欲しい」になる。著者は、この質問によって次の良いことが起きるといっている。

  1. あなたの話しかけている相手が、現在のプロジェクトでベストを尽くせるかどうかを見極めることができます。また、その障害となるものがあるかどうかも知ることができるはずです
  2. 担当者に対し、自らのパフォーマンスに対する評価と、自らがプロジェクトに対して貢献できることを洗い出すためのフレームワークを与えることになります
  3. 作業品質を改善する上で、双方ができることについての議論が可能になります。「ベストを尽くす」という観点から議論のフレームワークを定めることで、担当者に対し、非難されていると感じさせたり、自らの仕事が十分でないと感じさせたりすることを避けることができます

 「がんばれ」は危険な言葉。なぜなら「おまえは頑張っていない」という意味が裏側にあるから。だから、「がんばれ」や「ベストを尽くせ」の代わりに、「そのために"私は"どうすればいい?」で始まる会話がより建設的になる。このパターンはわたしもよく使っているが、もうちょっとヒネっている。

  • 「○○の不具合の解析は、誰がやったら一番ラク?」と、一番分かっている人に訊く
  • 「今からお客さんとこへ交渉に行くんだけど、どこまで詰めたら、○○の見積もりができる?」
  • 「手詰まりなこの問題を、わたしのネゴで○○と△△は動かせる。それ以外に誰(どの技術・部署・チーム)に働きかけたら、あなたの作業が進むだろうか?」

■目からウロコ!→「優れた電子メールを誉める」

 うんこメールがいかに時間の無駄になるかは、あらためて説明するまでもないだろう。

 わたしの場合、うんこメールの from からフィルタリングしてゴミ箱へ直行させている。つまり、そいつのメールは開くどころか、Inbox に入れる価値すらない。その馬鹿は、自分の愚かさを指摘されること無く、せっせとうんこを送りつけている。

 簡潔・端的・明解なメールを書くためのハウツーは沢山ある。本書も多聞に漏れず「良いメールとは」のTips を例つきで紹介している。Tips は(メールの書き方を探したことがある人なら)聞いたことがあるものばかりなので、さらりと流せばよい…が、「優れたメールを誉める」は激しく納得した。

 それは、まずいメールをくさすのではなく、優れたメールを誉めること(返信でね)。PMの最重要仕事はコミュニケーションなので、メンバーの誰よりもメールのやり取りが必要とされるはず。だから、メンバーのメールの質を向上させることが、PMの生産性に直結してくる。しかも、くさすのでなく、誉めることで事態を改善するのだ。

 うんこを送りつけてくる奴に「キミのメールはうんこだよ」と言っても絶対に理解できないだろう。メールは人となりが表れる。本人が自分をふり返ろうとしない限り、メールの質は絶対に向上しないから。

 これは本書を読んで即、実践している。簡単だ、自分が「分かりやすい」「タイムリーだ」「貴重でありがたい」などとプラスに感じたメールに対し、感謝の気持ちを「ありがとう」にプラスアルファして返信する。すぐに効果は見えないだろうが、必ずあるはず。

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Dainさんのところ。このエントリに書いてあることが素晴らしすぎて、本の内容が良いのか、Dainさんの文章の内容が良いのかの区別がつかないところは問題。 http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2006/10/8_4da4.html 「あなたがベストを尽くせるようにするには、私はどんな... [続きを読む]

受信: 2006.10.30 12:28

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