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「ローマ人の物語」を10倍楽しく読む方法:「カエサルを撃て」は強姦率100%

カエサルを撃て 塩野七生のローマは確かに面白いが、イイオトコに目がないという欠点(?)もある。ハンニバルであれスキピオであれ、イイオトコが出てくると、いたく贔屓して書いてくる。2000年も前の男に入れ揚げているのはこっけいだけど、そんなこと言おうものなら、「生きてる・オトコに・飽きたところよ!」と返されそう(古っ)。

 だから、カエサルはとてつもなく贔屓されているんだろーなーと容易に想像できる。というのも、「ガリア戦記」を読む限り、非情にストイック&鋼の意志が感じ取れるから。こんなイイオトコを塩婆はスルーするはずがない。必ずや美辞麗句を連ねてこの天才を書いてくるだろう。マンガ描けるなら溢れんばかりに百合や薔薇の花なんかを添えてくるに違いない。

 その結果、辟易するのは目に見えているので、予め「カエサルを撃て」(佐藤賢一)で中和する→結果:これはこれでウンザリできた。情けない中年男の悲哀に押しつぶされるカエサルが描かれている。小事にウジウジし、保守的で、ごまかしとへつらいで自身を糊塗しまくっている。「ガリア戦記」を読んだ方なら耐えがたいほどの落差を見るだろう。塩婆が読んだなら卒倒するに違いないダメオヤジぶり。

── 紀元前五十二年、美しくも残忍な若者ウェルキンゲトリクスは混沌とするガリア諸族を纏め上げ、侵略を続けるローマに牙を剥いた。対するローマ総督カエサルはポンペイウスへの劣等感に苛まれていた… ガリア王とローマの英雄が繰り広げる熾烈な戦いの果てに、二人は何を見たのか ──

 そんな私利私欲・コンプレックスの塊のようなカエサルが、なぜ覇道を成したかというと、実は… というトコが物語の肝なんだろう。ひょっとするとカエサルは「撃たれる」ことで、一度死んで生まれかわったのかもしれない

 小説好きの間で「サトケンにハズレなし」と言い交わされているらしい。サトケン、即ち佐藤賢一の作品はどれも面白いという意味なんだが、わたしにとって本作がサトケンの初読みになる。

 面白かったか? と問われれば yes なんだけど… ガリア王とローマの英雄の二大ヒーローが死力を尽くして闘うのは確かに面白いが、二人とも独白しすぎ。煩悶と独り言が延々と続くのは、碇シンジ君みたいでイヤ(←それが狙いともいえるが)。読み手がダレてくる頃合いを見計らって、強姦と虐殺シーンを織り交ぜるのは2パターン目で見抜いた。ちなみに和姦は一切ない。つまり、強姦率100%なので、美女が出てきたら犯られるものだと合点して読むべし

 もったいないなーと思ったのは、戦争の場面。戦闘シーンは残虐非道に素晴らしく書けているのに、用兵の妙というか、戦術の噛みあいがなくて残念だった。戦略レベルになるとほとんど見当たらない。両雄とも思いつきのような発想で軍を動かしている。これは、地図を準備せずに執筆したんだろうなぁ…

 あ、そうそう。ツンデレラー/ツンデレスキーは、ガリア王が妻に迎えるエポナ(14歳)に注目すること。古典的なツンデレが堪能できますゾ(結局犯られるワケなんだが…)

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コメント

初めて書き込みさせて頂きます。
佐藤さんの本は、『剣闘士スパルタクス』を50ページくらいまで読んだ記憶が・・・・。
高校時代の若りし日の私は、夢枕並の戦闘描写を期待して読んだために、途中で飽きてしまってたなぁ。
強姦率100%でツンデレが出るなら読んでみようかと思います。

投稿: GGGGG | 2006.09.15 22:03

> GGGGG さま

 うーん… ダレてくると、読み手の惹くように陵辱 or 残虐で出てくるので、添え物と思ったほうがいいかも。戦争やら陰謀抜きで、純粋にツンデレ陵辱を楽しみたいなら… 団鬼六「花と蛇 」なんかが超オススメっす

投稿: Dain | 2006.09.16 01:54

いまDainさんの影響を受けて『ローマ人の物語』シリーズを読み始めたところです。文庫本の長い前書きですでにとりこになりつつあります。
佐藤賢一は昔一冊だけ手に取ったのですが、どうもドンシャリ系の音がして1/4くらい読んだところで飽きてしまいました。

投稿: ほんのしおり | 2006.09.16 03:04

> ほんのしおり さま

 おお、「ローマ人」に取りかかったのですね。長い長いローマ人の話なので、気長に読むのがいいのかもしれません。三国志・銀河英雄伝説といった戦記ものを面白いと思うなら、「ハンニバル戦記」のトリコになるでしょう。
佐藤賢一著作は、↓でオススメされた「傭兵ピエール」が楽しみです。
http://q.hatena.ne.jp/1141226898

投稿: Dain | 2006.09.17 07:45

佐藤賢一唯一の外れは「カポネ」ですね。
他はすべて面白く読みましたが。

投稿: ITL | 2006.09.22 13:42

> ITL さま

 彼の著作の中で「カエサルを撃て」がどれぐらいの位置なのかイマイチ分かっていないわたしですが、ふつうに面白く読めました。飛行機などでの移動中に夢中になって読みふけるのに最適ですね。

 このレベルの作品の量産家なのか、もっとスゴい本をいくつか書いているのか、まだ見えません。「傭兵ピエール」の他に「王妃の離婚」(←嫁さんのオススメ)あたりで判断したいです。


投稿: Dain | 2006.09.22 23:36

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