欠陥上司が部下を殺す
上司に恵まれなかったら「オー人事」は古いか… 今じゃ上司次第で部下が死ぬ。冒頭、冗談ぬきの事例が紹介される。「むごい」というしかない。仕事を続けるのにソコまでしなきゃならんのか、と言いたくなる。だけど、追いつめられた本人はそこまで考えがおよばない。
「心の病」が増加しているという。成果主義への移行、派遣社員・正社員の責務差、IT偏重の業務、組織のフラット化による若年管理職… など、要因はいくらでも思いつく。ストレス社会は今に始まったことではない。にもかかわらず、特に最近、急上昇している原因は上司にある、と筆者は断ずる。「こんな上司が部下を追いつめる」は、部下を生かすも殺すも上司次第という。これは同意。しかし、そろそろ課長クラスを担うようになるバブル入社組をヤリ玉に上げるのはカワイソス(´・ω・`)
「こんな上司」とあるが、どんな上司が部下を追いつめるのだろうか?
- 部下は使い棄て、育てるつもりがない
- 保身的で自己分析ができず他人のせいにする
- 窮地に追い込まれている部下をサポートしない
- 仕事の目的や構想を語らず、作業のみを与える
- 独断的で部下の意見に耳を貸さない
- 目線が下げられず部下の気持ちを想像できない
- サークルのノリで外れた部下を仲間外れにする
- 困っている部下をサポートしない。質問に答えない
- 叱りベタ・怒鳴り散らす、叱れない・見て見ぬフリ
- 部下の特性を考えず、一律ノルマを課して数字管理
んー、どの世代にも「こんな上司」はいるような。
ほんとうに、こんな上司が増えているのだろうか? そうは思えない。ただ、心の病を抱える社員が増えていることは事実。そして、上司・部下限らず増えているのも、事実。著者は課長クラスに「問題アリ」と烙印を押しているが、課長は課長で押しつぶされている現実はきれいに除かれている。
昔は、仕事そのものよりも、部下のケアに心を砕いていた上司が多かったのではないか。そして今は、仕事をこなすだけで精一杯で、そんなゆとりがなくなったのかもしれぬ。今の上司をヤリ玉に上げるより、会社のあり方にメスを入れるべきじゃないかなー、などと思ったり。
犯人探しは著者と意見を異にするが、部下のメンタル面に気を配るべきなのが上司だ、という点においては、大きく頷ける。上司の「気づき」がたいせつ。部下から相談を持ちかけられたとき、上司はひたすら傾聴に徹せよ、と言う。激しく同意。
その際、絶対に口にしてはいけないセリフ5は以下のとおり。
- がんばれ
- 逃げちゃダメだ
- もう一度、考え直してみないか
- もう少し、続けてみないか
- マイナス思考や弱気はやめよう

心の問題は、自分の問題ではない。プライバシーや世間体や気恥ずかしさから、「自分の問題」として囲わないこと。「自己管理は社会人の常識」は二日酔いの顔に言っていいセリフだが、自分に向けるとき限りなく残酷な桎梏になる。だから、もう一度言う、「心の問題は、自分の問題ではない」って。

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