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ツンデレ小説ベスト【まとめ】

 はてな「あなたのツンデレ小説ベストは何ですか?」[参照]でいただいた回答のまとめ。はてな住民の皆さま、大変参考にさせていただきました、ありがとうございます。

  1.春琴抄(谷崎潤一郎)の、春琴
  2.ベルガリアード物語(デイヴィッド・エディングス)の、セ・ネドラ
  3.涼宮ハルヒの憂鬱(谷川 流)の、ハルヒ
  4.西の善き魔女(荻原規子)のフィリエル(♀)とルーン(♂)
  5.きみとぼくの壊れた世界(西尾 維新)の、櫃内夜月
  6.白痴(ドストエフスキー)の、ナスターシャ・フィリポヴナ
  7.真紅のカーテン(ジュール・バルベー・ドールヴィイ)の、アルベルト
  8.椿姫(デュマ・フィス)の、ヴィオレッタ
  9.虞美人草(夏目漱石)の、藤尾
  10.二進法の犬(花村萬月)の、倫子

 わたしの記憶の最深部にいるツンデレは、モンスリー。未来少年コナンの全編とおしてキッツいのが、ラストの結婚式で頬染めて「バカねっ」とつぶやく。"ツンデレ"が発見されるずっと以前、"萌え"がまだ bud しか意味を持たなかった時代だ。

 …で、ここで足を踏み外すと、壮大なツンデレ史になってしまう。それは「ツンデレ大全」あたりで研究していただくとして、ここでは小説に出てくるスゴいツンデレをまとめてみよう。ただし、ラノベは不勉強のため、きちんと評価できていない。ご興味ある方は有識者のエントリ「このツンデレなライトノベルがすごい!」[参照]を参考にしていただきたい。

【第1位】日本文学史上最強のツンデレは、春琴

 さすが谷崎潤一郎はタダモンじゃない!「陰影礼賛」は高校生まで、オトナは「春琴抄」で萌えよ。こいつをエロスや嗜虐といった枠で語るのは国文科のエラい人に任せて、春琴をツンデレとしてみよう。すると、最近の使い古されたストーリー「ツンデレに振り回される主人公」から、「ツンデレにわが身を捧げる」という新展開を見出すことができる。好いたあの人のために■■を■■なんて、絶対できねぇ…が、気持ちは痛いほど伝わる。「恋は盲目」なんて軽々しく口にできなくなる。

【第2位】ファンタジー最強のツンデレは、セ・ネドラ

 王女+金持ち+ニンフェットと、ツンデレ資格を十分に備えている。それだけでない、彼に八つ当たりして後悔したり、久しぶりに会えても「べべべつにアンタのことなんか何とも思っちゃいないわ!」と真っ赤になったり、ツンデレラーの渇きをしっかりと癒してくれる(←表現は脳内補完しているので注意)。本書「ベルガリアード物語」はドラクエとFFを足して2倍にしたようなスゴいファンタジーなのだが、いかんせん長大な物語。ともすると散漫になりがちな話をピリッと締めてくれるのがこのツンデレ。

涼宮ハルヒの憂鬱
【第3位】今が旬のツンデレは、涼宮ハルヒでまちがいない

 アニメが始まってからというもの、目が離せない。彼女をDQNっ娘と断ずるのは簡単だが「やべぇこれタイプだよ」と呟いた男の数は星の数。ただし、ハルヒの「デレ」はカケラ程度だから、これをツンデレ小説とするは間違っているかもしれない…しかし、みくるちゃんを見よ、デレはそこにある。長門を見よ、巻が進むにつれ反応動作が大きくなっていくのが分かる。そして圧殺されたデレはついに暴走し時空を歪め、「別人の長門」の話へ…そう、真のツンデレは、有希でまちがいない。

西の善き魔女
【第4位】ツンデレが女の子属性だと誰が決めた? 男子でツンデレだっていいじゃない

 …で白眉は、「西の善き魔女」なり。そもそも「西の善き魔女」は乙女小説のため、ツンデレな男の子が出てくる。ツンデレ男子といえばシャオラン君を思い出すかもしれないが、相手はふんわりしちゃいない。本書では女の子もツンデレなのだ。♂「なんだよ!」、♀「ナニヨ!」、♂♀「ふーんだ!」の会話は、まさに"逆"キックオフ状態。特筆すべきは、女学園編。男子禁制乙女の園といえば、リリアン女学園、聖ミカエル学園、ガルデローベ学園が名高いが、本書のトーラス女学校も覚えておくべきだろう。ここでくりひろげられる乙女の陰謀の丁丁発止も面白いが、ツンデレ男子が女装潜入するトコは男も萌えるゾ。

きみとぼくの壊れた世界
【第5位】「きみとぼくの壊れた世界」はツンデレではなく「ヤンデレ」と呼ぶらしい

 ヤンデレとは「病んだツンデレ」、即ち最初は優等生的なキャラが、惚れるあまりおかしな行動をとることを指す。うーむ…マナマナ? qあwせdrftgyふじこlp …あぶないあぶない、あの記憶が蘇りそうになった。監禁調教までいかないにせよ、本書の妹キャラはスゴい。最初は萌えキャラで登場するので気を許してるうちに一転!鬼気迫るデレを見せつけられるハメに。「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」の場面でトリハダが立てるべし。

【第6位~第7位】「ツンデレ=男女の駆け引きとしての冷淡な態度」説

 ロマンスが語られるのならこの公式が成り立つ。最初は素っ気ないフリをしていたのは、実は想い心を隠すためでした、というやつ。男女というよりも、人と人との駆け引き。「白痴」では、自分を買うために準備してきた札束を暖炉に投げ込むところがスゴい。自尊心と低俗な現実との板ばさみでギリギリと悶え苦しむトコは圧巻なり。短編だが「真紅のカーテン」(悪魔のような女たち所収)も負けてはいない。「これはツンデレが書きたくて書きたくて、このお話を作ったんとちゃう?」と言いたくなるぐらいの冷淡ぶり。しかもデレる一瞬がスゴい。ぎゅーっと手を握ってくるんだけど、読んでるこっちの心臓がドキドキしてきたよ。手つなぎで。さらにオワリは突然やってくる。夜中に窓から放り出されるかのような終わり方。読後は「で?」と呟くだろうが、作者は強烈なツンデレが書けたのでオチなんてどうでもいいのかもしれない。

【第8位~第10位】「ツンデレ=いじっぱり」説

 戦略としてのツンデレではなく、無意識のうちにそういった態度を取る。わがままだとか、気位が高いとか、いじっぱりとも言われたり。「虞美人草」藤尾の場合「我意と虚栄をつらぬくためには全てを犠牲にして悔ゆることを知らぬ女」と評される。要するに素直じゃないんだ。それが物語の進行に伴い、自分の態度を振り返り→気持ちに気づく←この描写を書くか読み手の想像に任せるかは別として、劇中に転換点があるのが共通点。燃料が無いところで萌えるのは上級者なので、萌えを求めて手にしないように念を押しておく…実はもうひとつ、強烈な共通点があるのだが、激しくネタバレ→命がけのツンデレ。意地を張るのも命がけ

二進法の犬椿姫ゼロの使い魔

未読リスト
 ・ゼロの使い魔(ヤマグチノボル)の、ルイズ
 ・アンの愛情(モンゴメリ)の、アン・シャーリー
 ・佳人(石川 淳)の、ユラ
 ・笑傲江湖(金庸)の、儀琳
 ・白鳥異伝(荻原規子)の、象子
 ・邪宗門(高橋和巳)の、行徳阿礼

 赤毛のアンは3巻目でようやくツンデレが完成されるとのこと。少なくとも「ゼロの使い魔」は激しく期待しながら、「赤毛のアン」は全読を覚悟して、「佳人」は別の意味で楽しみにしながら、読むべ。

参考URL
 ・ライトノベル以外でツンデレ少女が出てくる小説を教えてください[参照]
 ・あなたのツンデレ小説ベストは何ですか?[参照]
 ・ツンデレ小説ベスト[参照]

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メガネっ娘とキスするための3ステップ

   1. メガネをはずす
   2. キスをする
   3. メガネをかける

 …が答え。この質問は、単純なことを複雑な方法でしていないかのテスト。「メガネっ娘が落ちてないか探す」から始めたアナタ、キスまでの道のりは遠いぞ。この発想は、「キリンを冷蔵庫に入れる」などが有名だね。IT屋なら「ソフトウェア開発をシンプルにする考え方のコツ」[参照]の方がピンとくるかも。

 「メガネっ娘から『メガネ』を外したら、『っ娘』しか残らないよ」というツッコミへの回答は、「少女セクト2」のおまけ4コマを読むべし。ラストで感動が待っている(本編がスゴいんだけど、レビューは別の機会に)。

 酒席でよく使うテは、「わたしは、なぜメガネからコンタクトにしたのか?」の話。

 なぜメガネからコンタクトにしたのか、理由は二つ。

     「ひとつめの理由は、ラーメン食べるとき曇って不便だから」

     「ふたつめの理由は、キスのときに邪魔だから」

んで、皆がアホーとかツッコむのを待って、

     「…と彼女に言ったら、ビンタ喰らったはずみでメガネが壊れたから」

でサゲる。現在メガネ派なら「以前コンタクトにしたことがあるんだけど…」で始めればいいし、彼女不在をアピールするなら「元カノ」に替えておくと吉。

 メガネ男子の場合、キスをするのに人知れず苦労する。もったいぶって外すとタイミングがズレるし、急いで外すとがっついているようで興ざめ。どことなくコンドーム装着に似ているのが一興。SmaStation企画のキス講座[ここ]を参考にシミュレーションを繰り返し、実践に臨んで欲しい。

 起きてもいない問題に頭を悩ませて行動しないよりも、シンプルに考えてアクションを起こそう。春は恋の季節。嫁彼女もちは、嫁彼女に恋をしよう。春に恋をしなくなったら、いつ恋をするつもりなんだ?

ばっちゃが言ってた、考えるな、感じろって。

っつーわけで、裸眼視力両目とも 1.5の嫁のために伊達メガネを買いに行くのでした。これで「べべべつにアンタのために掛けるわけじゃないんだからねッ」と言ってもらおう、ひっぱたかれること覚悟で、てへ。

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大学新入生に薦める101冊

 良いブックガイド。このテの奴はかなり警戒して読んでるが、嫌味たらしい選本・紹介は少なかった。

 …というのも、新入生に「教養本として」薦める場合、教官は小難しい古典を挙げるのがふつう。難しい本を絶賛することで読書人としての鼻を高くしたいのだろうか?

 しかしこれは違う。テーマを掲げ、古典を排し、大学(ここでは広島大学総合科学部)における教養的教育の知的水準とアウトラインを示すためのブックリスト。難しい本は「難しいよ」と明示するだけでなく、それを読みこなすための準備本まで紹介してくれる。

 テーマは4つ。どれも重厚だけど、新書から大著まで取り揃えている。

  1. 時代を超える基本教養
  2. 人間の記録
  3. 越境する知
  4. 現代の重要問題

 どこから始めてもいいし、どれを掘り下げても、根はつながっている。ただ、大人数の共著なので、レベルが低い「どくしょかんそうぶん」が混じっているのが難。紹介されてる本がかわいそう。

 オモロイのは、難波紘二教授のレビュー!青臭く、ツッコミやすく、隙だらけの論旨がいい味出してる。いい本を沢山読んでて、コレを読むならコレも読め、と本の横のつながりを惜しげも無く教えてくれる。少しgoogleったら、この教授、こうばしいネット歴を持つようで、二度楽しませてもらった。

 その一方、リストに無い本が非常に気になる。ゲーテを外してもドストエフスキーを入れてないのはイヤ~ん、ドーキンスあるのにベイトソンが無いのはナゼじゃぁぁぁ!そもそもピンチョン入れろよ!なんて吼えながら読んだ。

 本書を読んでて読みたくなったリストを掲げる。軽いのも重いのも、楽しみ~

  安土往還記(辻邦生)大学新入生に薦める101冊
  知的複眼思考法(苅谷剛彦)
  新幹線をつくった男(高橋団吉)
  君たちはどう生きるか(吉野源三郎)
  ラッセル幸福論(ラッセル)
  オリエンタリズム(サイード)
  部分と全体(ハイゼンベルグ)
  ライシャワーの日本史(ライシャワー)
  ゲーデル・エッシャー・バッハ(ダグラス・R・ホフスタッター)

 あ、あと最後の第5章「本の買い方選び方」が素晴らしい。このblogを読んでるアナタなら、自分のスタイルを確立しているだろうが、大学新入生の時点でこの方法を知っていると知らないとでは、大きく差がつくだろう。例えば、

  ・本の情報の入手方法
  ・ベストセラー情報のウソ
  ・本の探し方・選び方・買い方
  ・図書館・古本屋・ネットアーカイブの利用方法

などがコンパクトにまとまっている。大学入りたてのちほさんにオススメしたい章なり。

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女の言う「あなたは何も分かっていない」の正体

彼女もちの諸君!春だ!別れの季節だ。

 女ってぇ奴ぁ年がら年中情緒不安定だといわれるが、長年付き合った彼女が別れ話を切り出してくるのは春と相場が決まっている。振り返ってみ給え、彼女が別れるとか言い出すのは、たいていゴールデンウィーク前だったろ。

 これには理由がある。春は学校職場が変わる、生活環境が変わる、心機一転、ついでにオトコも変えておこうという発想だ。五月病の厄落としともいう。例えば、学生時代の彼女が、新社会人になって職場の「オトナのオトコ」を発見して、学生気分の抜けない彼に愛想をつかすなんて話、聞かないか?

 で、(途中をはしょって)修羅場。ここでは、ヒートアップしたとき女が言ってくる最終通告「あなたは何も分かっていない」という問いかけについて、その戦略と対策について書く

「あなたは何も分かっていない」の本当の意味

 これを字義どおりに受け取ってはいけない。これは彼女の戦略なのだ。意識/無意識にかかわらず、女の男に対する巧妙な攻撃手段なんだ。それに気づかないまま墓穴を掘る男がなんと多いことか。

 このセリフは女→女には使わないことを指摘しておきたい。使っても無駄だからだ(そのことは女性同士なら分かりきっている)。ドラマでも小説でもいい、このセリフは必ず女→男の方向で使われる。そして、陳腐ドラマだと「そんなことない!」と返され、抱きしめられるか暗転。

 しかし現実は違う。女がこのセリフを使うとき、男は何と答えても負けなのだ。質問に是と言っても否と答えても、彼女はこう返すだろう。「何も分かっていないから、そんなことが言えるのよ」と。そして「どうしてそんなことが言えるのよ」とたたみかける。是と答えても否と答えても、理由を問われる。そしてその理由の正しさを判断するのは、彼女だ。あなたは自分の答えの正しさを証明できない。たとえ説明したとしても、その説明を吟味するのが彼女なのだから。

 つまり、彼女の問いかけにあなたが答えようとした瞬間、あなたは負けるのだ。

なぜ女は「あなたは何も分かっていない」と言うのか

 想像してほしい、このセリフにたどり着く前までのウンザリするほどの丁々発止を。彼女の立場からみると、脅しもスカシも通用せず、ロジカルな説得もできないから、そんなセリフを吐いているんだ。

 リクツが通らないとき、感情に訴える。最終兵器「涙」の一歩手前だ。つまり、「あなたは何も分かっていない」の裏側に「あなたのことがもう分からない」が潜んでいる。

 論理の応酬では勝てない。でもやり込めたい、そのとき彼女はこの戦法を取る。「あなたは何も分かっていない」から始まる、一見論理的に見える質疑応答も、裏を返せばこんなもの。論理的には男の方が上のため、せめて感情では優位に立って譲歩を引き出そう、という思いがそうさせているのだ。

 だからこのセリフは「質問」のように受け取ってはいけない。それこそ彼女の思うツボだ。この問いかけには、ちゃんと解法がある。断っておくが「正解」ではない。たとえ正解を告げたとしても、それが「正解」と判断するのが彼女なのだから、常に彼女の分のフリーハンドはあると覚悟しておいたほうがいい。

「あなたは何も分かっていない」への解法

 ふたつの解法を紹介する。ひとつめは「質問に質問」。

 質問に対し、確認以外の質問を返すのは、愚かでマヌケがすることだ。それが分かっているからマトモな頭の持ち主なら、まずしない。

 しかし、承知の上で質問を返す。曰く「なんでそんなことを言うんだ? オレが何をしたというんだ?」 ってね。すると、今度は彼女が何かを返さなきゃならなくなる。彼女は是・否のいずれかを待っているから面食らうだろう。で、譲歩する→「オレは悪くない、というつもりはない。それでもガマンできないことは言ってくれ。お互いさまだろ」。

 もうひとつは、「いきなり最終解」。

 そもそもムリヤリ通したい事情があって、男をロジカルに説得できないからそんなことを言ってくるわけ。だからこちらは、そんな問いかけなんざ無視して、いきなり「彼女が望む返答」を持ってくるわけだ。「上京して可能性を試したい? どうぞどうぞバイバイ」「別れたい? んじゃそうしようか」ってね。

 是否の返答そのものを攻撃しようと待ち構えている彼女にとって、これはびっくりするだろう。いきなり結論をぶち上げられると、とまどいながら「ちょ、ちょっと待ってよ!」と返すしかなくなる。その後に、是なり否なりの返答をすればよい。

 ポイントは、さっき述べた結論と、是否の返答がロジカルにつながっていること。「どうして『好きにしな』なんて言ったのかというと… [ここ] …オマエが分かっていない、なんていうからなんだよ」の[ここ]を埋めること。そうすることで、彼女の感情→→→自分の答え(是/否)がつながる。外れた議論が戻ってくる。さらに、彼女の言葉(あなたは分かっていない)を理由に使うことで、彼女は譲歩を勝ち取った気になるだろう。

*

 会話が迷走し、お互い感情的になるとき、最初に立ち戻ろう。

    you vs me

ではなく、

    problem vs us(you and me)

の構造に持っていく。話の主導権を取ることが目的なのでなく、お互いの望むようにするにはどうしたらよいか? という話に戻すわけだ(彼女の感情も考慮してね)。話は一歩も進んでいないが、最終通牒→破局はここで回避できる。

 ロジカルに議論を持っていけば勝負は見えてる。正論でグウの音も出させないようにすることも可能だ。しかし、男はケンカに勝って勝負に負けることにならないよう、見えざる譲歩をしつつ会話を進めなければならない。特にヒートアップしそうなときは、ね。

 ばっちゃが言ってた、「正しさ」の最終判断は相手に任せるぐらいのゆとりが要るんだって。

 健闘を祈る。

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出会いが欲しけりゃココに行け

 独身男性諸君、春だ!出会いの季節だ!狩りの季節だ!

 男ってぇ奴は年がら年中発情期であるにもかかわらず、狩場が開放されているのは春と相場が決まっている。振り返ってみ給え、出会いの全ては4月に集中していることに。つまり独身彼女無しにとってみれば、今が決戦期なのだ。

 にもかかわらず懐手のまま徒に時を過ごし、モテナイ不遇をかこつのは、箸を片手に生け簀の周りをうろうろするようなもの。マウスを捨て、街に出よ。

 学校職場の隣のコにほんのり思いを懸けられたり、通勤通学の曲がり角でぶつかったあのコに一目ぼれされちゃったり…することはぶっちゃけはっちゃけありえない。4月だけはエロゲ思考からログアウトするように。

 出会いゼロは悲しいだけでなく金銭的な危険性も孕む。テレクラで変な宗教や壷に引っかかる前に、社怪人であるオッサンがご紹介。

 あー、断っておくが、狩場の情報提供まで。そこから先、どうきっかけをつかんで発展させるかは、個々の経験と技量に依拠する。キャラとハートがおおまかカバーすることはない。

初級

 献血に行け。献血ルームにゃカワイイ子が単独でわんさといるぞ。女の子って血が足りなさそうに見えるが、ありゃ偏見。毎月流すのとは別に、ありあまっているのが真実。嘘だと思うなら、休日の繁華街の献血ルームに行ってミソ。♂:♀=1:9という現実を見るがいい。

 重要なのは、♀が単独で居ること。女の子ってーのは、たいてい外へ出かけるときグループで行動しがちだが、狩られることを想定してのこと。しかし献血のときは違う。

 攻略ポイントは平日の午後を狙うこと。ガッコ・カイシャさぼって遊びにきたはいいけれど、なんとなく後ろめたい気分を償おうとするのか、独りでやってくる場合が多い。検査の待ち時間や、終わっても(体を休めるため)しばらくボーっとさせられるから、出会いのチャンスは十分。例えばSHIBU SUN有楽町献血ルームといった繁華街の献血ルームが狙い目。ただし、一期一会の心構えで。「次もココで」会うことはないと思ってアプローチすること。

中級

 歯医者に行け。女の子がたくさんいるぞ。え? いない? それは場所を間違えている。総合病院の口腔外科ではない。街の歯科医院だ。電話帳で調べて、院長もしくは代表者が女性の名前のトコに行け。できれば予約の前に下見して、明るい感じの入りやすそうな歯医者を選ぶべし。

 するとあら不思議、若い女の子がこれでもかというぐらいいるぞ。ほとんどが歯科衛生士。ハタチ過ぎのねーちゃんに口の中に手ぇ突っ込まれてガギガギギュィーン犯られるなんて、どんなイメクラでもたちうちできない。

 ただ覚悟しておかなければならないことがある。それは口の中を見せるってこと。口の中を見せるってのは、それまでの食生活や生活習慣を丸裸にされるのと同義。初めての女の前でパンツ下ろすことよりも恥ずかしいことかもしれない。

 一度ですまないので、何度も通いつめることになる。デンタルケアについてまじめに質問することから、きっかけを作ろう。待合室も有効。通院する曜日・時間帯を絞り込むことにより、通院仲間を増やそう→きっかけにつながる。

上級

 未成年は使えない技。場所は繁華街の風俗エリア近辺の居酒屋。チェーン店が良い。時間帯は17:30~19:30がねらい目。そこで張っていると、たいてい一人か、せいぜい二人連れの女のコがやってくる。簡単な腹ごしらえして出陣の準備をする風俗嬢たちだ。

 月水金といった飛び日でも時間帯は一定のため、張っていれば必ず会える。顔見知りになると、彼女たちから「営業」されるかもしれないが、それでよければ付いていくまでのこと。ヤなら場外戦に持ち込めばよい。

 普通、彼女たちと「おつきあい」するためには、客としてサービスを受けることを繰り返し、馴染みになった後、同伴出勤の栄誉(?)に浴し、メニューにないテイクアウトをする…といったステップを踏む。

 しかし、最初から場外の飲み屋で顔なじみとなることにより、一切の手続きを無視した交際が可能となる。4月は新入生、新入社員とともに、新人風俗嬢が入ってくる時期でもある… まぁ、深い仲になることを目指すよりも、良き飲み仲間を見つけるつもりでいる方が、存外うまくいくかもしれない。健闘を祈る。

超上級

 危険でもあるので、シロートにはオススメしない。

 繁華街に行くと、キャッチセールスに捕まる。英会話の教材だとかラッセンのリトグラフとか、あれだ。営業は若い女性が担当している場合が多く、単身男性をピンポイントで狙ってくる。上京ほやほやの男が若い女性に声をかけられ、「オレってモテる?」と分裂勘違いするのは、あながち彼のみ責めるなかれ。

 何も知らないフリをして、セールスレディ(?)についていく。「会場」に付くと、レディは別の担当(女性)に引き継いで、ふたたび営業に行くだろう。彼女もノルマがあるのだ。「会場」はコーヒーなど飲み放題で、何人か集まった時点で説明が始まる。中身は売りつけたい品物によりイロイロだが、いずれも彼女らの「熱気」がスゴい。のぼせないように気をつけて。

 説明は1時間半~2時間程度。グループ→個別説明に移行する場合もあるが、共通しているのは、「この場で決定させる」こと。延々とトークを流し込むことで、一種の集団催眠に陥らせ、「買う」に至る。いったん「会場」を出たら引き戻すのは至難の業。それが分かっているから彼女らは必死だ。

 こちらの持札は2枚。「ここでは決められない」と「トモダチに相談」だ。つまり、決めるために友人と相談したいと言い逃れ、その友人がこれに興味があると言う。彼女らには持ち時間がある。その時間以内にアタリがつかなければ、次のターゲットの応対をしなければならない。将棋の指し切りと同じ。制限時間いっぱいまで会話を楽しもう。

 実は、これはできるだけ時間を引き延ばしたもの勝ちなんだ。彼女らにしてみれば、たっぷり時間をかけたにもかかわらず空振りは避けたい。また、このカモのトモダチから芋づる式に獲得したい、という相反する要求から、「場外説明」になる場合もありうる。楽しく会話して終了~ってのもアリだし、場合によっては枕営業もありだろう(生保の枕営業なんてメじゃない)。

 しかし、一歩間違えると恐いお兄さんのご登場。そうならないようにギリギリの交渉をする。制限時間内で自分の要求をどこまで出し、相手の要求をどこまで聞き、どうやって合意を作り上げていくか…ネゴシエーションの訓練としても面白い。

 肉を切らせて骨を絶て。まぁ、シロートはテレクラにでも行ってなさいってこった。

*

 以上、いっぷう変わった狩場の紹介はこんなもの。あくまで「紹介」であって、そこでどんなきっかけをつかむかは己が技量による。ばっちゃが言ってた、モテる技術は無償(ただ)じゃないって
モテる技術
 健闘を祈る。

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ツンデレ小説ベスト

   1. 春琴抄(谷崎潤一郎)
   2. きみとぼくの壊れた世界(西尾 維新)
   3. 涼宮ハルヒの憂鬱(谷川 流)

 「春琴抄」は日本文学屈指のツンデレ。昨今のブームに便乗した作品と比較しても、最高のツンデレ(ツンデレスト)だと断言できる。というのも、ツン→デレの彼我を超えるために彼がしたことは、とても常人では真似のできないことだから。

 抜き差しならぬ関係が露見しても素っ気なく否定する場面なんて萌える。小説の悦びは、読み手の想像力にはたらきかけることにある。書いてない部分を妄想を逞しく補完するトレーニング本としてもGood!谷崎潤一郎やりおる!

*
きみとぼくの壊れた世界

 「きみとぼくの壊れた世界」もスゴさは負けてない。ツンデレな妹と、ツンデレな同級生が出てくる。それぞれツンは普通だが、デレの鬼気迫る壊れっぷりを堪能すべし…てかこれこそが本作のメインディッシュ。

 ツンデレ妹なんだけど、主人公も(表面上は)距離をおいた態度を取る。妹の気持ちが危険水域に達し、決壊する瞬間の描写がスゴい。まさに「狂う」というコトバがぴったり。一線をこえてしまう兄妹ってこんなのだろうか…おもわず妄想。

*

 「涼宮ハルヒの憂鬱」は今が旬のツンデレ、と言われている。確かにアニメ第1話は徹頭徹尾唖然とさせられた。未読の方を完璧に無視した展開はあっぱれといえる。
涼宮ハルヒの憂鬱

 しかし、小説に目を転ずると、ハルヒがデレデレする場面ってあったか? ポニーテールが似合うからと、無理矢理ポニーにしてくるとこ? 奇妙な洋館で二人きりになったとき、唐突に「有希ばかり見てるでしょ」と問い詰めるところ? (それぞれ「憂鬱」「動揺」)

 既刊分は読破したが、ずーーーーっと「ツン」ばかりで、1冊につき数行だけ「デレか?」という描写あり。これはハルヒの「デレ」を探すゲームブックなのかもしれない.

*

 さて、例によって「はてな」の有識者に訊いてみよう→あなたの「ツンデレ小説ベスト」は何ですか?

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田中芳樹の作品は、読む順番があるらしい

 はてな「徹夜小説」[参照]で田中芳樹作品を勧められた。やっぱり「銀英から読むのかな?」と、うっかり嫁さんに口走ったのが運の尽き、

おバカーっ!

と一喝された。「どーしてウチの旦那はおバカなのっ」とぷりぷりする嫁さんをなだめてすかして聞き出した、田中芳樹作品の傾向と対策をまとめた。

【傾向】無駄に長い

 仰々しく文を飾る傾向がある。動作の一つ一つに練った形容詞を連ねることにより、「見せ場」を強調する。S.キングを彷彿とさせるが、ジャンルがぜんぜん違うので指摘する奴皆無。

 我慢できず「で、結局どうなるの?」を連発するならば、読む資格無し。まさにこの冗長さを楽しめないのであれば、早々に立ち去るべし。

⇒⇒⇒【対策】見せ場までの「間合い」を見切れ

 完結済みの1巻モノを読みきることで、冗長さの加減を計るべし。イベントからイベントまでの書き手の間合いが分かっていれば、他の超長大河小説もおのずと知れる。

【傾向】登場人物が多い

 とにかく登場人物が多い。たかが数頁で命運が尽きるような端役まで名前がある。「どこの翻訳ですか?」と言いたくなるほど埋め尽くされた人物紹介欄にゲンナリ。読んでる途中で、誰が誰だか分からなくなる悪寒。

⇒⇒⇒【対策】メインキャラだけ見てればOK

 端役の場合、登場した次の章でイベントが起き、たいてい死ぬ。以降「史実」として扱われるので無問題。登場人物の多さに比べ、メインキャラの数は非常に少ないため、それだけを追えばよい。名前は裏表紙などの紹介文に書いてあるので一目瞭然。

 結局、誰が死んで誰が生き残るかの話に尽きる。魅力的なキャラを容赦なく殺していくのが本領。極端な話、登場と同時に死亡フラグが立っているのもアリ。生き残った者に目配りする読み方。これは中編の作品を読んで推し量るべし。

【傾向】どこかで読んだ話なのですが…

 「えーと、どこの呂布ですか?」パクリと言ってはいけない。あくまで「おまーじゅ」と表現する。でないと石つぶてを喰らう。あるいは磔刑に処せられる。

⇒⇒⇒【対策】「おまーじゅ」を楽しむ

 完全にオリジンな作品なぞない。何かは誰かのパクリだし。むしろ、平凡なストーリーを非凡に仕立てようとする努力を見守ってあげる度量が欲しい。群雄割拠+権謀術数を描くと、アレと似たり寄ったりになるから、という主張も一理ある。それが宇宙なのか似非中世なのかが違うだけ。

【傾向】"自称"田中芳樹ファンは大長編を勧めてくる

 いきなり大長編を勧めるのは、「ボクはこんなに長い小説を読んでるんだよ」という自慢の裏返し。「銀英」しか読んでない"自称"田中芳樹マニア。長編でなくとも魅力的な作品はある。とっかかりで中編を勧め、「これ読んで面白かったなら、長いやつに手を出してみれば」と紹介するのが吉。

⇒⇒⇒【対策】田中芳樹作品を読む順番

 完結していること。「続きはお楽しみ」を楽しみに待てるのは、慣れた読み手。初心者なら、一度はまとまった話を通しで読んで雰囲気を味わうべし。

 ある程度のボリュームがあること。いくら短めとはいえ、彼の作品の良さはある程度の時間幅を持った群雄ドラマ。短編ではその魅力が伝わらない。

 これらを考慮した「読む順」田中芳樹リストは以下の通りだそうな。
マヴァール年代記
 最初に読むのは、

 「マヴァール年代記

 これ読んで面白かったら、「完結した」作品群を漁ると良いそうだ。

 「銀河英雄伝説」(正伝のみを追うように)

 「アルスラーン戦記」(第一部のみ読む)

 「創竜伝」は、まだ読まない。完結してから手を出す

 んで、「マヴァール年代記」を読了。非常に面白く読ませてもらったが、吉川英治の「三国志」と司馬遼太郎「項羽と劉邦」あたりがチラチラ思い出されてヤになる。この辺りの歴史モノが未読の方は大いに楽しめるぞ。

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大聖堂

 今年のNo.1スゴ本。面白い小説とはこれだ。前知識は邪魔。
 心して、徹夜せよ。

大聖堂(上)大聖堂(中)大聖堂(下)

…だが語りたくてしかたない。ちょっとだけ。

カンタンに紹介すると、こうなる。

   波瀾万丈

   気宇壮大

   質実剛健

   ああ無常

 イメージわかない?じゃあ裏表紙の紹介を引用。

 いつかこの手で大聖堂を建てたい――果てしない夢を抱き、放浪を続ける建築職人のトム。やがて彼は、キングズブリッジ修道院分院長のフィリップと出会う。かつて隆盛を誇ったその大聖堂は、大掛かりな修復を必要としていた。折りしも、国王が逝去し、内乱の危機が!十二世紀のイングランドを舞台に、幾多の人々が華麗に織りなす波瀾万丈、壮大な物語

宣伝に偽りなし。レビューをぐだぐだ書いてる奴(わたし含む)はスッ飛ばして、さっさと読むべし。

 まだわかない?じゃぁ今年読んだどのスゴ本と比較しているかを考えてみよう。「徹夜小説を探せ!」の企画でも輝いている三冊。

   西の善き魔女

   ベルガリアード物語

   ダ・ヴィンチ・コード

 どれも珠玉。どれも開いたら最後、無類の面白さを保証する。でもこれは、それを上回るんだぜ。最近読んだ100冊の中で一番面白い。こんなレビューなんざ放っておいて、さっさと読むべし!

 まだコない?ううむ、じゃぁちゃんとレビューしよう。これはヒューマンドラマとして超一級だが、著者のメッセージ(と回答)が含まれている小説でもある。それは、

   なぜ大聖堂を建てるのか

に尽きる。人が人と扱われない中世、飢饉と餓死と戦争が隣り合わせの時代。迷妄と蒙昧と暴力と策略が渦巻いていたとき、なぜ Cathedral なんて代物を建てようと考えたか、という問い。

 これを宗教の視点で切るのはたやすい。なぜなら、主語を「神が」にすれば事足りるから(実際、"ファーザー"フィリップがやっている。『全ては神の御心のままに』)。

 しかし、それ以外の理由を挙げると、それこそ無限に出てくる…でも括れば一言で済む。それは「欲望」だ。権力欲、支配欲、愛欲、性欲、意欲、我欲、禁欲、強欲、財欲、色欲、食欲、邪欲、情欲、大欲、知識欲、貪欲、肉欲…ありとあらゆる「欲望」を具現化したものが大聖堂だ。神の場と「欲望」… 一見矛盾した取り合わせだが、読めば納得する。究極の大聖堂を描く、しかも「大聖堂をなぜ建てるのか?」という疑問に応える形で書こうとすると、とてつもない人間劇場になる。それが本書。

 こんなに大上段に構えなくとも、棟梁トムは考える、「美しいものを、つくりたいから」と。

 トムの描いた身廊は高い。おそろしく高い。大聖堂は人びとの感動を喚びさます建造物でなければならないのだ。その大きさによって畏怖を感じさせ、その高さによって、見る人の眼を天にむかって引き上げるのである。人びとが大聖堂にやってくる理由のひとつは、世の中にこれほど大きい建物がほかにないからである。大聖堂に行かないとしたら、その人は自分の住んでいる家と大差ない大きさの建物しか見ずに人生を送ることになりかねない。

 巨大な建造物を目の当たりにするとき、わたしの毛穴は開く。巨(おお)いなる存在に畏怖を感ずるよう刷りこまれているようだ。本書は毛穴開きっぱなし。ぞくぞくしながら読んだ。大聖堂の荘厳さだけでなく、そいつをとりまく人生模様にタメ息をつき、ドキドキハラハラワクワクテカテカ(wktk)してほしい。全ての伏線に無駄がなく、全てのエピソードはピタっパシっと嵌る。キモチイイ

 ラストは電車の中だった、感動のあまり立っていられなかった。

 ま、だまされたと思って、読んでみ。

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チェルノブイリ旅行記―――オオカミの大地

 以前ご紹介した「チェルノブイリ旅行記」の続編、「オオカミの大地」を読んだ。

 「チェルノブイリ旅行記」は、あの場所を駆け抜けた女性ライダーの記録。美人だぜ[証拠]

 廃墟がブームらしいが、この地上での究極の廃墟はチェルノブイリを中心とした閉鎖領域(Confiscated/Closed Zone)だろう。A.タルコフスキー監督「ストーカー」の"ゾーン"そのまんまの光景。

 廃棄された軍用トラック、ヘリコプター、船舶…そして建造物。全ての建物のドアというドア、窓という窓は開かれている。なぜなら放射能はホコリに溜まるから。ドアや窓を開放することで、放射塵を吹きさらし、自然に帰すことができる。

 地球規模の希釈。

 その場所を、彼女は再び訪れる。再びどころか、何度も。

 原子炉から45km離れたヴィルチャでは、ガイガーカウンターは109mRを示している。危険ではないらしいが、吸い込んだ放射塵は分からない。ホコリは地面に吸収され、土地そのものが放射能を帯びている。呪われた土地だ。

 …というのも、地図からは地名も道路も抹消されているからだ。旅のドライバーがうっかり迷いこまないようにとの配慮らしい。

 ある特定の廃屋や廃ビルの「写真集」ではない。バイクに乗って延々と走っても走っても、遺棄された光景が続く。連綿とつながる写真"群"を見ていると、核戦争後の風景はきっとこんなんだろうな、と思えてくる、オオカミが支配する大地。

本家
  Ghost Town
  Land of the Wolves

邦訳サイト
  エレナのチェルノブイリへのバイク旅
  訳者さん、お疲れさまです。教えていただき、ありがとうございます。

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子どもに死を教える三冊

 良い機会があった。遠い親戚が亡くなったのだ。

 「良い」なんて不謹慎だけど、このご時世に大往生だから感謝しないと。家族総出で葬式に行く。テレビなどに任せず死の教育をやってきたつもりだが、百聞一見、葬式こそ最高の現場だ。

 子どもに伝えたいたった一つのことは、以下に尽きる。

あんたまだ生きてるでしょ だから、しっかり生きて、それから死になさい

 しっかり生きてないと、ちゃんと死ぬことすらままならない…このメッセージをそのまま言っても分からない。まず、自分の「生」を大切にさせる。できるようになれば、家族の、ひいては他人の「生」へも目配りができるようになる。

 自己であれ他者であれ、「生」を大切にできるようになれば、それを支える「生活」も大切にするだろうし、「生」を生み出す「性」も同様に扱えるようになる(はずだ)。

 生の反対は死でない。しかし、死について考えることは生きる本質(文字通りの "quality of life")を高めることにつながると信じている。よく死ぬことを目指す行動は「よく生きる」ことそのものだという真理は、ミサトさん以前に「葉隠」で学んだ。

 で、葬式。大往生を遂げているので、遺された家族が悲嘆に暮れる…なんてことはなく、むしろ「故人はにぎやかなのが好きなので、大いに騒いで見送ってやってください」と挨拶される始末。

 好都合なので、コトの次第をいちいち説明してやる。どうせ黙っててもうるさく訊いてくるだろうし、「起こしてあげるよ」などと死体にイタズラしかねない。

    「ほら、おじいちゃんを見て」

    「おじいちゃんがお亡くなりになったんだよ」

    「お亡くなりになったから、もう会えなくなるんだよ」

    「おじいちゃんが焼かれて、きれいなお骨になったんだよ」

    「ほら、いただきますと同じ手をして、サヨナラのあいさつをしよう」

 死者が「いなくなる」ことが分かったようだ。帰りがけに子どもがこう言った

「おそうしきというのは、みんなでおわかれかいをすることなのね」

そのとおり、お葬式は生きている人にとって必要な「お別れ会」なんだ。

 「死」を嘆いたり悼んだり意味付けをするのは、生者たちの都合であり、「死」そのものはただ在る普遍的なものに過ぎない→だから、「死」を自分のものにするためには、死の意味付けを生きている「わたし」が「いま」、「ここで」するべき… 遅くともわたしが死ぬまでには、ここまで伝えたい。

「死」を教える三冊
ミッフィーのおばあちゃん
 以下、死の教育(death education)として読んでおきたい(と、勝手に思ってる)絵本を挙げる。申し添えておくと、「葉っぱのフレディ」は含まれない。あれは、オトナのための死の教育本だから。

 まず、ミッフィーを推す。おなじみの愛らしいキャラクターはいかにも幼児向けだが、ここでは「ミッフィーのおばあちゃん」だ。ミッフィーが大好きだったおばあちゃんが死んでしまう話。

 良いな、と思うのは、できるだけ宗教色を削ぎ落としているところ。「死」とは単にソコにある(もしくはわたしたちの中に在る)もので、宗教でデコレートするもんじゃない。ブルーナはいつもの暖色で描き、ミッフィーは悲しみながらもおばあちゃんの死を受容する。

 さらに、「おばあちゃんはココロの中に生きている」だの「おばあちゃんは天国に逝った」といった、教え諭しが無いところが良い。本書はシリーズの中に埋もれるようにしてある。生活が続き、死があり、また人生が続く。だから、これだけ読み聞かせても無意味。"Life goes on" は、このコトバを使わずに理解(わか)ってもらおう。
100万回生きたねこ
 次は、定番中の定番「100万回生きたねこ」。知らないオトナが読むと涙が止まらなくなるかもしれない破壊力を持つ。最も取り扱いに注意すべき絵本。

 「死者を定義するのは生者」そのままの話。悪読みをしても許されるのなら、「悼まれない死者の人生は存在しないも同然」とも置き換えられる…こんなヒネクレた読み方はせずとも、せいぜい「近しい人の死」をシミュレートしてくれ。

 最後は、「わすれられないおくりもの」。子どもに「死」を教える最終目標は、

自分の死を覚悟する

こと。子どもが、自分の死を考えぬいて、自分の生を決めて欲しいから。

 もっと端的に言うと、「人生は有限で、これを忘れちゃいけない」こと。人生なんてあっという間で、すぐに寿命だよ。のんびりでもあくせくでも、好きに生きればいいが、これだけは忘れちゃいけない。
わすれられないおくりもの
 本書は「教え諭し」がぷんぷん臭うが、それでも読み手は「自分が死んだらどうなるのだろう?」と問い掛けるはずだ。明確に考えなくとも、その種を植え付けることになる。で、具体的に死を考えるようになる中学ぐらいになって、この話を思い出すだろう。

子どもが「死って何なの?」 と訊いてきたらこう答えるつもり

 わが子は幼い。今はただ聞き、受け入れるだけ。しかし、もう少ししたら、「死って何? 」「死ぬとどうなるの? 」と果敢に質問してくるはず。そのときは「辞書で読みを調べて」と教えるつもり。

セイ、ショウ、シャウ、あり、い、い・かす、い・きながら、い・き、い・きる、い・く、い・ける、う、うぶ、う・まる、う・まれながら、う・まれる、お、お・う、お・き、お・ふ、き、すすむ、たか、なま、なり、なる、のう、のり、は・える、は・やす、は・ゆ、ふ、ぶ、ふゆ、み、よ

あらゆる漢字の中で、読み方が最も多いのは、「生」
たった一つの読みしかないのが、「死」

 最後に。このエントリを書いたのは、「しあわせは日々のなか」で「西の魔女が死んだ」のあるエピソードを思い出したから[参照]。柊ちほさん、ありがとうございます。考えるきっかけをいただいて、感謝しています。

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