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ウォーターフォールはこう使え(その4)

決めるべき2つの日どり

 二つ目の戦略。それは「日どり」だ。「あいまいな仕様」が"今は"決まってないことを顧客自身の口から言ってもらった後は、何月何日までに仕様凍結するかプロジェクト全体のスケジュールの中で顧客と決める。「仕様の再確認」ができていない以上、そいつができる日はいつなのかを決める。

 こいつを最初に決める。ここを過ぎると挽回が不可能とうい点「ポイント・オブ・ノーリターン」を"今"決める。ここまでギッチリ動機づけしておけば、仕様凍結の最大の脅威「先送り」を回避できる。

 あるいは、こっちの方がもっと重要なのだが、「仕様凍結を先送りしている事実」を共有できる。極端な話、仕様が凍結されていないのが問題なのではない。仕様が凍結されていないことが公になっていないまま、先へ進んでいるほうが深刻なり。

 表向きは仕様は固まっているはずなので、顧客からは口頭や電話だけで「指示」がくる。当然、仕様書は書き直さないので、仕様変更ではないと判断される。あいまい仕様に対し、顧客へ問い合わせする度に「固まっているはずの仕様」がずんずん膨らんでくるので、いつしか訊かなくなる。んで、代わりに「自分で考えて」実装するわけだ。

 問い合わせる度に「口頭での」仕様が膨らむ
 →確認する代わりにSE/PGが自分で明確化・実装する
 →"こんなの作れって言ってない"と罵倒される

 この悪循環をモトから絶つわけだ。つまり、「現在仕様は凍結されておらず、○月○日に確定する」と顧客を巻き込んで宣言する。(その1)で書いた「peak に到達する日」を顧客にもコミットしてもらう。スパイラルでもOK、「その日」までに何回くり返すかだけの話。

 その一方で、もう一つの日どりを密かに決めておく。もう一つの日を知っているのはPMとシニアマネージャだけで良いが、必ず決めておく。

 その日とは、「最悪の事態に陥った場合、納期延期を申し入れる日」のこと。プロジェクトにとって重要な日は納期ではない。納期に間に合うように努力と工夫を重ねるのだから、間に合って当然。大事なのは、そうならないことが分かったとき、いつまでがギリギリといえるのか? ということ。

 プロジェクトが燃えさかってくると、「その日」のことが脳裏にちらつき始める。納期より手前であることは分かっているのだが、それが1週間前なのか、1ヶ月前なのかが見当がつかない。だから火事場で顧客とハラの探りあいなんて阿呆なことをしだす奴が出てくる。

 こいつを回避するために、最初に決めておく→「ダメなときお客さんにゴメンナサイを言う日」。そうすることで肝も据わるだろうし、火事場になったとき、「その日」に向かって、今度は回避・低減・転嫁するためにすべきことに準備できる。

 顧客だってそうだ。なんだかヤバそうだぞと見ていると、ギリギリになって「結局できそうもありません、どうしたらよいですか?」と来られても困る。ダメになったことに言いたいことは沢山あるだろうが、ダメならどうする? を考えて来いと。「ゴメンで済んだら警察いらない」はガキの使いやあらへんで。

 だから、いざとなったら、「その日」に向かって準備ができるよう、「その日」を決めておくんだ。ダメになりそうな要素は見えているもの、見えないものと沢山あり、プロジェクトの最初から準備しておくことは難しい。しかし、「すべきこと」が洗い出され、プロジェクト・ベースラインがあれば、「その日」を決めることは比較的たやすい。

twoday

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決戦は月曜日

 戦略は2つある。「仕様の再確認」と「2つの日どり」だ。どちらにも共通するのは、ゴールまでの作業スケジュールを逆算した"日"、すなわち時間を味方にしているところだ。

 ほとんどのSE/PG/PMにとって、時間は脅威以外のなにものでもない。なぜなら、プロジェクト終盤になると、カレンダーを片手に顧客やシニアマネージャーが迫ってくるから。窮すれば鈍す。「時間」や「スケジュール」とは、"追い詰められるもの"というイメージが強いんじゃなかろうか。

 ところが、開始直後では、むしろ「時間」は味方になる。「今、決めておかないとゴールできません」と最初に宣言しておくことで、時間の刃を顧客のシリに突きつける。もちろん"現時点で決まっていない"ことは顧客自身の口から言わせておく。

 この戦略が可能たらしめているのは、「すべきこと」が洗い出されており、かつ、その行程と peak (=マイルストーン)が見えているから。「何故、いま決めておかないとできないのか」と顧客は必ず切り返す。そのときこそ、「すべきことの結果」(=成果物)とマイルストーン一覧を示すとき。「成果物」と「マイルストーン」はこうやってオープンにして、顧客を巻き込む。最初にだ。

 おわかりいただけたと思うが、決戦地はプロジェクト開始直後なり。"決戦は金曜日"ではない。夢を真実にしたいんなら、最初に全力を尽くすべし。にもかかわらず、序盤を部下に任せっきりで、終わりのほうになって火事場になると大声と体力勝負で、いかにもリーダーシップしてまっせというPMがなんと多いことか。

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