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少子化=親が減っている

 子連れで里帰り。じたばた動く赤んぼを背中や腹にくくり付けて混んだ電車に乗る。優先席に優雅に座る50代とおぼしきオバサマ3人が赤んぼにちょっかいかけてくる。

      「まあカワイイ」

      「ほんと、お人形さんみたい」

 ええと、わたしは立ちで構いませんが、せめて嫁は座らせたいんですけど…

      「ちょっと触ってもいいかしら?」

 ええ、いいですが、せめて嫁は…

 手荷物から察するに、歌舞伎座からの帰りだろう。オバサマたちはあれこれ赤んぼをいじった後、優雅に降りていった。嫁を座らせ、赤んぼを降ろし、一息ついたところでの会話。

     私 「あのオバチャンズは何だったんだろう?」

     嫁 『親やったことがないんじゃない?

     私 「!」

     嫁 『親の苦労をしないままトシだけとったんじゃない?

 なるほど。少子化少子化とやかましいが、ああいうオトナが増えているんだなー。

 こんなどうしようもないわたしでも、少しはマシなオトナをやれているのは、子どものおかげ。「思いやり」だの「感謝のきもち」といったコトバにするとペラペラなんだけど、自分のコンピテンシーとなっている正の要素は、すべて子育てを通じて得た。むかし親父が「女房・子どもを養って一人前」と言っていたが、このトシになってようやく同意できるようになった。

 少なくともわたしの場合、女房・子どものおかげでどれだけ人間が成長したことか… どんなに感謝してもし足りないぐらい

 子どもを育てるとき、老後に養ってもらおうという魂胆もないし、教育費やしつけが負担だとか文句垂れるつもりもない。夫婦やってて授かったのが子ども。大事に育てるのがあたりまえ。

 少子化の論点で、「高齢になっても子どもに面倒を見てもらえるメリット」だの「教育費が1000万円超」といった脅し文句がピンとこない。少子化少子化とやかましく叫んでいる輩は、子育てしたことがないんだろーなー、と思ってみたり(子どもがいない、ではない。自分で子どもを育てたことがない、という意味)。

 少子化とは、

  親の苦労を知らないオジサン、オバサンが増えていることと、
  親をやらないまま、オジイサン、オバアサンの年齢になる人が増えていること。

 お祖父さんでもお祖母さんでもない高齢者が増えていることのほうが、「人口減による経済効果」よりも心配。「キレやすい」「傍若無人」「自己中心的な」高齢者が増加しているのは、親業を通じた苦労が足りないからだと勝手に結論付けて酒呑んで寝ることとしよう。

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読んではいけない――人生を狂わせる毒書案内

 こういう挑発的なお題の典型は週間金曜日の「買ってはいけない」だろう。トンデモ論ながら思わず手にしてしまうインパクトがあった
毒書案内

 読んではいけない――「毒書案内」も似たようなものだとタカをくくって一読、期待を裏切ってもらって非常に嬉しい。「スゴ本」の企画「劇薬小説を探せ!」が好きな方なら超オススメ

 「読んではいけない」の真意は、読んだことによって取り返しのつかない事態になること。即ち、不用意にページを開くことによって、知らずに済んだ世界を"知って"しまうこと。あるいは、眠っていた感性が強制的に目覚めさせられ、さらには自分の拠って立つ基盤を切り崩されてしまう…そんな恐れがある本。

 もっとも、合う合わないは人それぞれなので、著者の口上どおりの「毒薬」効果があるかは分からない。それでも、少なくともわたしも激しく同意できるものをピックアップしてみる。また、本書に触発されて読む気になった未読リストも挙げておく。毒見役もやってみよう。

 追記。このblog、腐女子やオタ中年だけでなく、清純な女子高生やケも生えてない小坊も見てる。耐性ない奴は読むの禁止な。「ジコセキニン」でもやめとけ。

人生を狂わせる「毒薬効果」あり

カラマーゾフの兄弟(ドストエフスキー)
 特に「大審問官」がッ

砂の女(安部公房)
 読後、「日常」って何なんだろう? と自問し始めたらヤヴァイ

地獄の季節(ランボー)
 初めて読んだとき、ページが燃えるようだった
 「地上の糧」と双璧を成す

死の棘(島尾敏雄)
 イタイイタイ本。身に覚えの有る人は特に

芋虫(江戸川乱歩)
 「二十面相」でハマり、親の本棚から盗み読んでガクゼンという黄金パターン

来年のわたしの毒書リスト。毒見役は任された!

二十歳のエチュード(原口銃三)
 高野悦子「二十歳の原点」と同時読みしてみる

審判(カフカ)
 「城」と併せて読もうかと

死霊(埴谷雄高)
 ドストエフスキー「悪霊」と並べられるし(w

地下室の手記(ドストエフスキー)
 「劇薬小説」でも薦められたし

ツァラトストラ(ニーチェ)
 そういや未読だった

千年の愉楽(中上健次)
 やべ三部作「岬」「枯木灘」「地の果て 至上の時」も途中だ

われらの時代(大江健三郎)
 大江作品は「万延元年のフットボール」がリストトップだが、これを先に読もう
ロリータ

(谷崎潤一郎)
 高校のとき薦めてきた女子がいた(メガネ美女)。フラグ立ってたんだ…orz

ロリータ(ナボコフ)
 読むの忘れてた。若島正の新訳で読むか

幼女狩り(河野多恵子)
 「みいら採り猟奇譚」がリストトップだが、こいつを先に読もう

少なくともわたしには効果なし

人間失格(太宰治)
 定番だが毒効果は「トカトントン」の方が上(大マジ)

若きウェルテルの悩み(ゲーテ)
 人によるとそうなるかもしれん

不思議の国のアリス(ルイス・キャロル)
 日常から超常へ、不条理の日常化を楽しむ

ドグラ・マグラ(夢野久作)
 「読むと発狂する」という謳い文句だが、楽しく読めた
 (すでに発狂していた?)

マルテの手記(リルケ)
 教養本としてありがたく読了

わが闘争(アドルフ・ヒトラー)
 「優生学のあたりは興味深く読んだ」なんていったら不謹慎なんだが…

野火(大岡昇平)
 読んだ当時は「人肉食」のテーマを読み漁っていたのでインパクト薄め

北回帰線(ヘンリー・ミラー)
 「南」と併せても「ふーん」

眼球譚(バタイユ)
 「読者に嫌悪を嘔吐を催させる」という謳い文句だが…

家畜人ヤプー(沼正三)
 「面白いSF」じゃぁダメ?

* * *

 「毒書案内」の著者はトーダイ教授でフランス文化の専門家でいらっしゃる故、どうしてもフランスの書に偏りがち。本人も"あとがき"で白状しているのだが、どうせならフランス書院の森山塔あたりを混ぜて欲しかった。バランスを取る意味でも、教授が未読であろう作品をピックアップしてみる。

花と蛇(団鬼六)
 さすがに内臓ファックはないけれど、苦痛と糞尿のエロスの極地なり。
 やってみたくなる。しかも「上手くいくかも」と思える時点で毒入り

隣の家の少女(ジャック・ケッチャム)
 自分の子どもが壊れるまで何をやってもいいかが分かる
 「オンリーチャイルド」と併せ読むと効果絶大

ハックルベリ・フィンの冒険(マーク・トウェイン)
 なぜか厭世観でいっぱいになる。なぜかは再読して確かめてみる

 ヤバい小説は、ぜひとも「どくいり きけん」と明記して欲しい。清純な女子高生や毛も生えていないような子どもがうっかり読まないように。

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