« 2005年7月31日 - 2005年8月6日 | トップページ | 2005年8月14日 - 2005年8月20日 »

ヘンタイ小説「溝鼠」

 ずばり変態小説。「ヘンタイがでてきて読後感サイアク」との触れ込みで読んだが、勧めてくれた方は団鬼六を読んでないな。「溝鼠」をヘンタイというならば「花と蛇」をどうぞ。ヘンタイ萌えできますぞ。グロを抜いたらフランス書院にすら負ける。ただし、「そういうの」を身構えずに読んだ方はかわいそうかも。肛虐や飲尿が普通にあるし(笑 

 そのヘンタイを象徴する場面を引用する。鷹場は主人公(ヘンタイ)、八木はその部下(ヘンタイ)。

 彼女がトイレに籠っていた時間は約十分。恐らく、大便。八木もそう思ったに違いない。

 鷹場は瞼と口を閉じ、ありったけの肺活量を駆使して鼻から空気を吸い込んだ。麻薬犬さながらに嗅覚を研ぎ澄ました。鼻粘膜を刺激する微かな異臭───彼女の排泄物の残り香。

 感激で、肌が粟立った。八木との醜いバトルを制した甲斐があった。彼女が便座に座り、眉間にシワを寄せた姿を妄想し、しごきだす───

 放課後タテ笛をなめるレベルを凌駕してるが、根はいっしょ。気持ちが分からないでもないと言ったらわたしもヘンタイだなorz

 このヘンタイ主人公は、現代版「恨みはらします」=復讐代行を生業としている。復讐とはいっても嫌がらせに毛が生えたようなもので、コロシは無い。そのくせ彼は自分をドブネズミと貶め、悪いことをやるのに一生懸命自分を納得させ、動機付けようとする。いじらしい。悪党になりきれない小悪党といったところか(ちなみに、このテのケッサクは「Mr.クイン」。ヘンタイは無いが、おもろいゾ)

 一方、どうにも合点がいかないのがヤクザ屋。歌舞伎町で風俗+ギャンブルで手広くシノいでいるヤクザの親玉がでてくるんだが、ヘンだ。そんな人は、1億2億のカネで動かない。シノギも立派な事業なので運転資金として必要なら分かるが、経営は順調だし。それが眼の色を変えて現金を追っかけまわすのだから、コメディにしか見えない。

 また、父と子の確執が周囲を巻き込んで大バトルを繰り広げる構図は「カラマーゾフの兄弟」を思い出してしまったが、これはドストエフスキー御大に極めて失礼なり。「カラマーゾフの兄弟」の方がものすごく面白いぞ。

 最後に。ストーリーは単調。騙し騙されドンデン返しを狙っているのは、よーく分かるが、分かりすぎ。展開がミエミエなので、導入部を読んで頭に浮かんだ起伏をなぞるだけ。ドンデンを狙って読むならやめておく方が吉。エロを期待するならフランス書院を、ヘンタイ萌えを望むなら団鬼六を、父子の大バトルを読みたいなら「カラマーゾフの兄弟」を、推す。言い換えると、これらが混ぜこぜになったお話ともいえる。わたしにとっては予定調和をセックス+バイオレンス+ヘンタイで埋めているだけ。

 んで、読後感は、「疲れた、このヒトの本はもう結構」

────────────
「劇薬小説を探せ!」に戻る

| | コメント (4) | トラックバック (1)

「アクアリウムの夜」を読みながら「それなんてエロゲ?」

 暗黒青春小説。読みながら幾度も「それなんてエロゲ?」という質問を独りごつ。しかし、(当然のことながら)濡れ場がないので期待して読んで壁投げしないように。

 文体がイヤらしい。まとい付くような書き方で、描写文が沢山あるにもかかわらず、実感がわかない。例えば、「激痛が走った」とあっても、まるで現実感がない。著者はどう痛いのかを想像して書くよりも、キャラを痛めつけるシーンだからそう書いているだけ。そうした意味でもテキスト系アドベンチャーゲームを彷彿とさせられた。

 ラノベで期待すべきことの一つにキャラ萌えがあるが、「メガネ/妹/ツインテール/どじっ娘」の全ての要素が欠けているトコが致命的…と書いたところで気がついた。初出が1990年だから仕方がないか。お姉さんちっくなキャラが2人も出てくるが、敵と化す

 ラストがどうなるかは中盤で分かったため、伏線がダルかった。ただし、学祭の演劇で高橋が落ちてくるシーンは、映画「キャリー」や「女優霊」を思い出してゾっとできた。ここの描写は秀逸なり。amazon「アクアリウムの夜」の紹介文を引用する。

 僕と高橋が見たのは、その水族館にあるはずのない、地下への階段だった。霊界ラジオから聴こえてくる謎めいたメッセージに導かれ、僕たちは現実と異界との間をさ迷い始める……。青春ホラー・ノベルの傑作登場!

で、読後感は… ダルい、またはもの憂い。

────────────
「劇薬小説を探せ!」に戻る

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2005年7月31日 - 2005年8月6日 | トップページ | 2005年8月14日 - 2005年8月20日 »