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遅効性のヤな感じを味わう「くじ」

 調子こいてネガティブな小説を読み漁っていると、自身の感情も暗黒化するところが面白い。いわば自分を使った実験やね。ン十年も味わっていなかった虚無感に押しつぶされるなんて、久しぶりすぎて懐かしさすら覚える。

 「劇薬小説を探せ!」で読後感サイアク小説探しにちょっと疲れたので、ホラー傑作アンソロジー「贈る物語 Terror」(宮部みゆき編集)で一休み。懐かしいものばかり。「猿の手」「獲物」 をガタガタしながら読んだのは小学生だったか、「幽霊ハント」「なぞ」で怖いというよりも不思議な気持ちにさせられたのは中学の頃だろうか。どうして「信号手」や「吉備津の釜」がないんだ!というツッコミをしても仕方がない。編者が宮部みゆき氏なので、趣味全開のアンソロジーなのだ。

 収録作品はどれもピカイチ。ホラー好きなら、知らないなんてぶっちゃけありえない。おまけにゲーマー宮部氏の面目躍如、ロープレとアンソロジーの見事な融合も楽しめる(人狼の章はゲームのために起こしたとしか思えない)。

 さらに、「人はなぜ怖い話をするのか?」への彼女の回答に深く頷くべし。「人は誰しも心に闇を…」論なんだが、このアンソロジーを順に最後まで読むと納得できる(特にラストに「パラダイス・モーテルにて」を持ってくるところがGood!)。彼女はこの問いに答えるために、この本を編んだのだろうって。

 はてなでのオススメは、これに収録されている「くじ」[参考]。かなり早い段階でオチが見えるので、ホラーとしてはたいしたことないのだが、これは遅効性の「ヤな感じ」がジワジワと追いかけてくる。昔からのならわしで、年に一度、村のみんなで「くじ」を引くというお話なのだが… この「くじ」が何に相当するか読み替えるだけでまるで別物に見えるのがコワい。


  • 「自分探し」しても何も見つからないことは薄々分かってたくせに、ついに現実と直面せざるを得なくなる40代フリーター
  • 「負け犬」という揶揄がシャレやネタじゃなくなってきた35才で独身で
  • あンたが何を言おうとも、有権者の代表が決める消費税17%

 読了(=着火)してからどこを向いてもこの構図に見えてくる。ポイントは「自分で選んだ」こと。選んだ結果がいかなるものであれ、選んだことには変わりはない。選ぶ方法や前提に文句を言っても、すでに「選んだ」事実は動かせない。ラストの一行は分かっていたが、その直前の叫びが他人事じゃない。

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受信: 2005.09.18 08:31

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