« 6色ハット発想法 | トップページ | 遅効性のヤな感じを味わう「くじ」 »

ブログの誘拐カタログ化について憂慮する

 いきなり結論から→書くなとヤボは言わないが、じゅうぶん注意して

 子どもの誘拐事件に対し、警察はどこから調べるか? 以下の順番でしらみつぶしに捜査する。営利なら時間との勝負。短時間に大量のリソースを投入し、犯人が「動く」前に網をできるだけ絞っておく。

 ・ 子の近親・親戚
 ・ 園、学校、塾など定期的に通う場所
 ・ 友だちや遊び場など子の生活圏

 では、なぜこの順番か? それはターゲット(子ども)に最も近いから。ターゲットに近いということは、行動パターンや特徴、周囲の状況がよく把握できるということ。子どもは犯人を知らないかもしれないが、少なくとも犯人は子どもを知っている。むしろ「子どもを一方的によく知っている」大人こそ、犯人として絶好のチャンス(!?)を有するとも言える。

 ターゲットがどの学校へ通い、何曜日に塾へ行くか(そして何時に帰るか)、一人で行動するのか友達と一緒が多いか、事前に調べ上げ、準備してから犯行におよぶ。だから上記の順にしらみつぶしに調べれば、いずれ犯人へ行き着く。それがどんなに大きな網だとしても、その中に必ずいるから。東京の犯人が大阪の子どもをさらったりは、しない。

 これをひっくり返したのがブログ。子の毎日を微に入り細にうがって書き込む親がいる。まるで観察日記のように毎日きちょうめんに書く親がいる(顔写真付き)。それはとても微笑ましく暖かい行動だと思う。人権厨房みたく「子どものプライバシーが…」と酸っぱいこと言うつもりはないが、軽率な記事(エントリ)があまりに多い。これからその子をさらおうとする輩にとって、大変有益な情報を提供してくれる。あるいは、どの子を誘拐しようかな? と吟味している輩には格好のカタログと化している。

 試みにgoogle先生に訊いてみるといい。「子育て」「育児」「ブログ」「トラックバック」「日記」をいくつか放り込むと、いくらでも採れる。育児の苦労話や喜びを語るだけでなく、子どもの行動を懇切丁寧に教えてくれる。さすがに個人情報そのものは転がっていないが、顔写真、行動パターン、行事、学校と簡単に拾える。

 誇らしい気持ちは分かる(わたしも親だ)。習い事のイベントや学校行事、家族旅行の全員写真をアップしたくなる気持ちも分かる。だが止めとけ、適当なところで。世の中、アナタのブログの来訪者のように善意の人ばかりならば何の脅威もないが、そんなわけないことを、アナタは痛いほど知っている、大人なんだから

─────────────────────────────

 じゃぁ禁止せよとか全部止めちまえといっているのではない。これだけ普及したものを引き絞るのはムリというもの。せめて自分でルールを作り、守ってほしい。アナタの子どもを守るために。以下、「ブログを活用する犯罪者」の視点でリスティングしてみた。参考にしてほしい。

1.日付をぼかす
 「9月9日、社会見学で海遊館に行きました」とある。「9月9日」「海遊館」「社会見学」でどの学校か分かる。学校そのものが公開している場合もあれば、同じ学校の先生が書いた記事が掛かるかもしれないし、昨年の生徒が書いた記事がヒットするかもしれない。検索のキーとして有効なのは、日付だ。だから「先日、社会見学で海遊館に行きました」が正解。

2.生年月日を書かない
 誕生日は個人情報。氏名や住所なら注意するだろうが、見落としがちなのがこれ。いまはいいが、大きくなればなる程クリティカルな個人情報と化す。ビジネスの芽の話。「赤ちゃん」「生まれました」というキーで子どもの誕生日を知り、一年後などに「お子さまの成長を記念して」とメールする商売もあり。書くときは気に留めないかもしれないが、1.と同様「先日」とするのが吉。

3.写真は1歳ぐらいまで
 人の顔はどんどん変わってゆくものだが、全体の特徴は1歳ぐらいで整う。「おもかげ」というやつやね。赤ちゃんの写真ならまだしも、特定できるぐらいに成長したら、露出はやめる。学校当局が行事の写真をアップする際、かなり気を使って個人が特定できないようにしている。その一方で無造作にわが子の卒業写真を曝している親もいる。

4.服装の写りこみに注意する
 同じ服の組み合わせは、個人を特定するキーとなる。あるいは他と異なる特別な服も同様で、なるべく避けるが吉。「特別なコトをするときは特別な服で」は、けだし名言だが、そうした写真は曝さない。

5.出す情報の組み合わせに注意する
 「だれ」はNGなことは分かるが、他の情報は組み合わせ次第によって特定が容易になるので注意が必要。ダメなのは×、同じ組み合わせで避けたいのを△、露出OKなのを○で示す。ようするに「何をどのようにやって、どう思ったか」に留めて、後は具体的に書かないこと。

   △ いつ(when)
   △ どこで(where)
   × だれが(who)
   ○ なにを(what)
   ○ なぜ(why)
   ○ どのように(how)

6.学校名、園名は書かない
 もちろん住んでいる場所を特定するための重要なキーとなるから。これらは時間が経つと個人情報と化す。自分には累を及ぼさないかもしれないが、同じ学校(園)の他の誰かへのキーとなる。「○月○日に××という行事」から学校名(園名)をたぐれる。あとは通学経路、学童、学校行事といもづる式に。

7.子どもの呼び名について
 ブログでの子どもの呼称に気を配る。下の名前そのままを書き込むことのないように。家庭で呼んでいるニックネームよりもむしろ、ネットに露出する専用の名前(ハンドルネーム)をつけてあげる。わたしの場合は「あゆ」と呼んでいるが、タイ焼きが好きだからそう呼んでいるだけだ(当然うちの子の方が可愛い)。

─────────────────────────────

 最後に。居ながらにして一方的に相手を知ることができ、かつ自分との接点はほとんど無いというブログの利点を充分に活用した犯罪者は、これから出るのか、まだ捕まっていないのかのいずれか。電子メールを利用した完全犯罪を描いた「Cの福音」という小説がある。すばらしい出来なのだが、その完全性は電子メールが一般化して崩れ去っている。このネタも小説化(=物語化)されれば、危機意識も高まるかもしれない。例えば、こんなふうに[参照]


|

« 6色ハット発想法 | トップページ | 遅効性のヤな感じを味わう「くじ」 »

コメント

Dainさん、こんにちは。

これは、なんていうか、目からウロコです。
お子さんの可愛い写真を載せているblogは時々見かけますね。あ~、可愛いですね~くらいにしか思ってませんでしたが、確かに、危険なことですね…。
誘拐カタログってなんじゃらほい?と思ってこの記事を訪れたのですが、なるほど言い得て妙ですね(怖)。

この記事、blogの注意事項(ココログで言えば「ココログのココロエ」)に載せるべきだと思いました。

投稿: Fozy | 2005.09.14 02:05

あ、Fozyさんお久しぶりです。
わが子かわいいは分かるのですが、ヤリ過ぎの親もいるのも事実。微笑ましい「子ども日記」に冷水をぶっかけるようで申し訳ないと思いつつも書きました。反発される方もいらっしゃるようで…
…こういうのって、犯罪が露見[*1] してからでないと、気付きにくいのかしらん

[*1] "発生"ではありません。既に起きているかもしれないから

投稿: Dain | 2005.09.14 09:02

タグふれから来ました。気になったのでここまでジャンプ…

私も同感です。
まだ未婚で子供もいませんが、「今日子供と○○に行った」など写真と記事が載ってる。
もし自分の近所だったらこの人知ってるかも?ってことになります。世間は狭いようにネットも狭いと思います。

何かあってから遅いです。
責任取ってくれるから子供の写真公表したりするんでしょうね。

もし私の友達や親類が私と一緒に写ったものをネットで公表してたりしたら間違いなく訴えます。見つける事が出来ればですが…

でもたまに見かけますよ。顔は映さずモザイク入れたりとか。
なるほど…さすが。って思いました。
どうせ子供の写真出すなら自分も一緒に載せればいいのに…って思いますね。

投稿: すもも | 2005.09.17 01:08

すももさん、コメントありがとうございます。

何気に書いたこの記事、賛同をいただく一方で反発も呼んでいるようです。「こっちの勝手でしょ」「不用意に疑心暗鬼を招く」とか。

すももさんのコメントに一つツッコミを。

  > 何かあってから遅いです。

とありますが、既に「何か」は起きています。誘拐事件は極端ですが、「画像」の加工販売程度ならあります。警察沙汰になっていないだけ。ソーシャルハッキング情報の売買は、私の調べでは見つけられませんでした。

投稿: Dain | 2005.09.17 22:24

始めましてm(__)m
知り合いのとこの、記事を読んで、気になり、コメントから拝見させていただきました。
そしてトラバさせていただきます。
かなり衝撃が走ったというか・・・・
怖くなりましたYoY

投稿: Milk | 2005.10.05 00:12

Milk さん、コメントありがとうございます
この記事の反響を見ると「わが子でだけではなく、家族知人についても同じ」という意見が見受けられます。確かにその通りですね。
ソーシャルハッキングで入手した情報の賞味期限は、1年から長くても2年程度。自分でルールを決めて、その範囲で書けば良いと思います。

投稿: Dain | 2005.10.05 09:19

はじめまして。ブログの作成基準を探していたら、このページに出会いました。私も、自分なりのブログポリシーを作ってみました。
このくらい厳しく書かないとわからない人はわからないけど、わかりたくない人は拒否的になるようですね。
もっとも結局は自己責任の世界。web作成からブログになってハードルが低くなった分、えっと思う内容も多くなってきましたね。

投稿: みゆひろパパ | 2005.10.07 05:41

初めまして。
育児サイトを運営しているいちままと申します。
今回、たまたまコチラのサイトにぶつかり色々考えさせられました・・・。
ちょっと、自サイトをもう1度見直そうかとか思っています。

サイトの特性からか、同じような育児日記をつけているお友達がたくさん見に来ていますので、私の日記で紹介させていただこうと思いました。
もし不都合有りましたら、ご連絡下さい。

投稿: いちまま | 2005.11.03 01:39

いちままさん、コメントありがとうございます。

 くりかえしになりますが、「書くな」と言っているわけではありません。

 この記事を読んで怖くなってblog止めてしまった人がいるようで、心苦しいような残念なような思いです。ネットを掲示板になぞらえるならば、そこに個人的な写真を貼り付けることはどういうことになる可能性があるのかを少しだけ想像してください、と言いたいのです。だから、自分でルールを決めて書きましょう、というのが結論("自己責任"の言葉通りですね)。

 このサイトの紹介はどんどんしちゃってください。

投稿: Dain | 2005.11.03 10:05

Dainさん、はじめまして。ブログ立ち上げ数日のあやめと
申します。子を持つ母として、記事をふむふむと深くうなづき
ながら読ませてもらいました。

子がいるいないに関わらず、意識しておくべきところなの
ですね…私事ですが、意識が低かったばっかりの失敗をしたばか
り…特に被害はないもののテンションがかなり下がります。
これからの意識改革のきっかけの記事として、参考にさせて
いただきます。

投稿: あやめ | 2007.07.25 17:22

>> あやめ さん

参考になってなによりです
何でもダメというわけではなく、自分で線引きをして予防できることはしておきましょうという意図が伝われば、嬉しいです


投稿: Dain | 2007.07.29 19:48

こんにちは!初めまして。
主人から薦められてこちらのブログの存在を知り、ブックマークして最近読者になりましたが、別件で検索していたところ、こちらの記事にヒット。嬉しくなって今更ですがコメントさせて頂きます。
私も育児ブログを書いているのですが、記事を読みながら自分のブログを見直してしまいました。

私のところでは最初気楽に始めたので、私は子どもも写真をそのままアップするつもりでいたのですが、主人の強い薦めで顔のみイラストでアップしています。
その他もクリア!!
ですが、記事をしっかり読み込めば、知り合いは私たち家族と気付くだろうな、と思うのです。
私の相互リンク先でも今までは普通に子どもの写真をアップしていたのを見直す動きが数件あり、考えさせられました。
参考になりました。ありがとうございました。

投稿: あおい | 2007.11.23 07:03

>> あおい さん

ありがとうございます。

あまり心配しすぎるのもアレですが、あまりにも無防備な親blogがあると、「もしわたしが幼児性愛者なら…」と妄想した次第です。だから、現実にそうした事件は(幸せなことに)見聞していません。

…知らないほうがよかった、という話もありますが。

投稿: Dain | 2007.11.23 23:39

はじめまして。検索ワードでこちらの記事へたどり着きました。
少なからず子供のことを書いていたので、とっても参考になりました。ありがとうございます。
「不特定多数の人に見られている」ということを頭において記事を書いて行きたいと強く思いました。まだ多くの無防備なblogが存在しているようですのでこちらの記事を紹介させてください。といってもアクセス数が少ないですから紹介になるかどうかわかりませんが、一人でも多くの人がネットは使い方によっては危ないということに気づいてくれればと思います。

投稿: kaduki | 2008.03.06 16:23

>> kadukiさん

こんな古い記事を掘り起こしていただいて恐縮です
フォロー記事は書いていませんが、無防備な親のblogの「利用客」は結構増えているようですね

投稿: Dain | 2008.03.07 01:09

はじめまして、SNSでブログを始めたばかりの者です。
昔聞いた話ですが、大リーグの選手の子供(家族だったか?)の写真は新聞には絶対に載せないそうです。
その理由がまさに誘拐の危険があるからだそうです。
有名人でなくても、個人を特定できる情報をブログであからさまに載せる事に私は憂慮しておりました。

こちらの記事は分かりやすく簡潔にまとまっておりましたのでリンクつきで紹介しました。
何か不都合がございましたら連絡をください。

投稿: evan | 2010.04.10 19:38

>>evanさん

紹介ありがとうございます、不都合はありません。個人がネットに公開する範囲は、その「個人」に限定するべきだと思っています。

投稿: Dain | 2010.04.11 09:09

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/18285/5855750

この記事へのトラックバック一覧です: ブログの誘拐カタログ化について憂慮する:

» 気をつけよう [ りぼん日記]
ブログの誘拐カタログ化について憂慮するタグフレお散歩していたらたまたまお見かけしたブログさんですが私もまったく同感なのでトラバさせていただきました。ネット散策してるとお子さんの写真をドーンとアップしている育児系のブログさんがたくさんあるのですがやっぱり顔....... [続きを読む]

受信: 2005.09.15 23:54

» ブログの誘拐カタログ化について憂慮する [話の種(´━`)]
ブログの誘拐カタログ化について憂慮する [続きを読む]

受信: 2005.09.18 08:33

» 世の中怖いことが多すぎる [*LOLOC*]
この日記を読んで怖くなった。。。 3年前からサイトをしてて、子どもたちの名前なんか実名で出してたし、写真も出してたし、住んでる県も出してた。。。 日記の内容も何があったかとか日付入りで書いてたし。。。 田舎だから誘拐なんてないだろうって少し思ってた。 でもいつ何があるかわからないし。。。 ログ残ってる日記今から読み返して、訂正しますわ。。。... [続きを読む]

受信: 2005.10.04 08:49

» 変えて行かねば・・・・ [新・ひなわ~るど]
いまさら遅いかもですが。。。。。 過去ログ・写真・名前などなど すべて変えて行く事に決めました。 今思うと、かなり怖い世の中・・・・ 誘拐カタログ これを読んでかなりゾ~~っとしてしまい・・・ いても立ってもいられません・・・ だってかわいいチビが誘拐...... [続きを読む]

受信: 2005.10.05 00:12

» このブログのポリシー [みゆ・ひろパパのブログ]
私は1996年からホームページ(webサイト)を作っていました。 infoweb、asahi-net、just-net、geocitiesなどです。全てを合わせれば10万ヒットくらいだったでしょうか。その際は、自分なりに画像アップの条件がありました。最初は気楽に作っていましたが、インターネットの普及とともに、訪問者数が増え、いい加減なことはできなくなりました。 このブログを始めて2週間。閲覧数も2000を超えました。自分の子どものことをアップしていますので、やはり自分なりの基準を持ってblogを作... [続きを読む]

受信: 2005.10.07 05:47

» ブログの容易性と危険性 [明るい鬱病人間のふらふら雑記帖]
今年の新語・流行語大賞にもトップテン入りした「ブログ(Blog)」。 無料で提供... [続きを読む]

受信: 2005.12.20 01:19

» ブログの容易性と危険性 [明るい鬱病人間のふらふら雑記帖]
今年の新語・流行語大賞にもトップテン入りした「ブログ(Blog)」。 無料で提供... [続きを読む]

受信: 2005.12.20 01:21

» いまや、mixiこそ誘拐カタログ? [It's a Good Day to Die]
 どの本か忘れてしまったけど、最近読んだ本で、mixiをはじめとしたSNSについ [続きを読む]

受信: 2007.08.04 06:27

» 「ブログのせいで子どもが誘拐された」――という事態を避けるためにブロガーが注意すべきこと [blogs.com]
ブログと一口に言っても論文のような専門的な話題を扱うものからニュースを羅列するもの、2chまとめなど様々ですが、やはり世間的にはブログ=日記という感覚で捉えている方が多いのではないかと思います。 しかし、いくら日記といってもブログは全世界に向けて公開されているわけですから、どこま...... [続きを読む]

受信: 2010.03.01 19:00

« 6色ハット発想法 | トップページ | 遅効性のヤな感じを味わう「くじ」 »