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「東大で教えた社会人学」と「東大で学んだ卒業論文の書き方」

 「東大で教えた社会人学―人生の設計篇」は、購入前に立ち読みするべし。さもないと「常識」を買わされたと憤慨するかもしれない。

 なぜなら、社会・会社での暗黙知をまとめてあるから。会社での泳法、所得控除、借金・ローンの方法など、フツーの人なら会社でイヤでも身につけていくものが、講義になっている不思議。確かに、学生時代から知っているのと知らないのとでは、大きな違いが生ずるかもしれない。例えば会社選び。就職ジャーナルや会社案内からでなく、四季報を読め!というアイディアは面白い。

 しかし、端々にただよう典型的な東大臭のこうばしさにはいただけない。選民としての自尊心からなのか、ステレオタイプなラベルを張って「だから○○はダメなんだ」→「だからキミたち(選ばれし者)は○○するべきなんだ」と展開される。例えば「文系・理系」「特急・鈍行」ラベルが未だ現役なのには驚かされる。東大臭とは加齢臭なのかもしれない。

 この講座を企画した畑村洋太郎氏は「失敗学」というとてもユニークな考え方を提唱している。その成果として、失敗事例を分析→データベース化している(失敗知識データベース)。彼が 「失敗した東大卒(理系)」を目の当たりにしてこの講義・本を思い立ったのかと想像したらちょっと笑えた。臭いさえ気にしなければ学生さんにとても役立つかと。

 この本のレビューを漁っていて、すばらしいサイトを見つけたのでご紹介。中田 亨氏の東大で学んだ卒業論文の書き方はとても役立つ。学生のみならず、仕事でレポートを書くときも使える。HowTo本は巷に数多にあれど、買う前にまずここを一読してみてはいかが。類書の大半は駆逐されるぞ。いくつか引用するので惹かれたら全文読むことを強くオススメする。もちろん「あとで読む」でも。


  • 題名:説明的なタイトルを付ける。例えば「人体計測装置の研究」では舌足らずであり、「赤外線平行投影法を用いた人体計測装置」とか、「海中でも使用可能な人体計測装置」などがよい
  • 要約:この研究が新聞記事になったなら・・・と、イメージしてまとめる
  • 結論:「要するに~~~だった」を書き、結論表を掲げる
  • 参考文献:足りないなと思う場合は、大型書店に行き、専門書の本棚を眺めてみることである。東京なら、八重洲ブックセンター(東京駅八重洲口)、神保町の書泉グランデ、池袋のジュンク堂、渋谷のブックファースト、渋谷の大盛堂、神保町の三省堂などである。必ず関連する本が見つかるはず
  • 謝辞:すぐ書く!実は非常によく読まれる部分

 「いい論文とは何か?」「ダメな論文を書く14の方法」や、推敲のやり方など、論文を書く上で必要十分な情報がまとめられている。小話「卒論の代書屋さん」は笑った。真実だから。「研究の心得」「研究と不正行為」は2回読んだ。凝るな。凝ったアイデアより素朴なアイデア。問題に突き当たったら、直接的で露骨な力技に走るよりも、問題の前提を洗い直す。問題を分解する。「AもBも行うもの」は得難いが、バラバラにできるなら簡単になる。いっそAなしでBは出来ないか。思考の惰性を無くすという箇所は何度も読むことになるだろう。

 末尾にブックガイドがあるがこれも良さげ。既読した本から察するに、良本が紹介されていることがわかる。わたしが知らないスゴ本がありそうな予感。

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