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金融再編残酷物語(日立の場合)

メガバンク再編・統合の場合、システム対応は「片寄せ方式」を採るのが常識。いわゆる日本的な「足して2で割る」やり方の最悪例は2002.4のみずほ銀行の大規模システム障害だろう。みずほフィナンシャルグループの中の人は

   第一勧業銀行(富士通)
   富士銀行(日本IBM)
   日本興業銀行(日立)

だった(カッコ内はシステムベンダー)。基幹系/勘定系に限らず深くビルトインされたシステム(っていうか"業務"そのもの)を奪られるということは、自社システムの「死」を意味する。激しい営業攻勢の結果、第一勧銀(富士通)への片寄せに決まるのだが、主導権争いで時間を空費している間、暫定的に三行の基幹系システムを残し、リレー接続でしのごうとした。結果はご存知のとおり。マスゴミ論調が、あたかもベンダーのエラーであるかのような物言いにアホらしくてコメントできなかったのはわたしだけではあるまい。

銀行の再編・統合はそのままシステムの覇権図を変えることになる。合従連衡にひきずられる形でその図は塗り変えられてきた。

統合後の名称練成元1練成元2片寄せ先(勝ち組ともいう)
東京三菱銀行三菱銀行(日本IBM)東京銀行(富士通)日本IBM
三井住友銀行住友銀行(NEC)さくら銀行(富士通)NEC
UFJ銀行三和銀行(日立)東海銀行(日立)日立

そして今回、「三菱東京(日本IBM) vs UFJ(日立)」の統合では片寄せ先は日本IBMになり、2007.12までに一本化する見込み。これで日立は四大メガバンクの勘定系システムから完全に脱落する。

UFJにどれだけ張っていたかは、次のとおり。

アウトソーシングの契約金額は10年間2500億円といわれている。受託と同時に日立キャピタルがUFJ銀行の勘定系システムを保有資産の名目で500億円で購入。さらに勘定系システムを開発してきた合弁会社をUFJ日立システムズに改組した。日立がここまで踏み込んだのは「UFJは最後の砦。何が何でも守り抜く」(日立コンピュータ部門元幹部)/選択2005.5より

銀行などのでかいシステムの場合、開発元が提供するシステムは情報サービス請負の形で契約する。つまり、納入するシステムはプログラムやサーバー/メインフレームの集合体という「モノ」ではなく、それらで実現できる業務サービスの価格がもらうべき値段というわけ(いわゆるシステムの値段が投入した人月の総合計とまったくもって一致しない理由はここにある)。

また、顧客・請負の両方にフェータルなシステムだと、リスクを丸出し(丸投げではない)するために共同で会社を作るのだが、このUFJ日立システムズに突っ込んだ2500億円+500億円の何割が戻るかは不明。ソフトウェア資産の場合、切り売りしたりパッケージ化するなんて、おいそれとできない。その費用がまた掛かるからだ。

「日本に銀行が多すぎる、2つで充分」某大臣がいったとかいわなかったとか。銀行再編イス取りゲームの敗者は、行員だけではない。トップセールスの失敗をモロに被るSE/PG/PMらの阿鼻叫喚が聞こえる。

この中から、悪のプログラマが誕生しないことを切に願う。

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ネタ元:情報誌選択5月号「UFJを失った日立製作所の衝撃」

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「私の知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」さんより。 色々と現実を考えさせられると共に、”選択”誌の記事を読んで見たくなったので。 Error: module is not defined. [続きを読む]

受信: 2005.05.12 12:36

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