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「ソフトウェア企業の競争戦略」読書感想文3

我が日本のプログラマはァァァァ世界一ィィィィィ(シュトロハイム風)の話。ここでは、そんな優秀なプログラマを抱える日本企業が、海外雄飛できない理由を書く。

バカな!? 自動車を代表とするメイド・イン・ジャパンは世界に通用するはずなのに、ソフトウェアビジネスでは例外なのか?

日本のソフトウェア企業が優れたアプリケーションプログラムを書いたり、極めて高度な統合システムを構築する技術・能力を有することは明白だろう。それは、メガバンク金融システムや新幹線の制御システム、テレビゲームに至るまで、さまざまな事例が証明している。

しかしこうしたシステムの多くは、特定の顧客専用に作られたものであり、設計上のイノベーションといえるようなものはほとんどない、と著者はいう。

日立、富士通、NEC、東芝、NTTのようなメジャーなソフトウェア企業は、主にハードウェアやサービスを販売するためにソフトウェアを書いているのであり、これはIBMが数十年にわたりたどってきた道にほかならない

太字化はワタシ。営々とやってきたことはIBMのものまね師[注1]なわけね。ぐぅの音も出ないまま「TRONなら…」とチラと考えたが、読み進むに従ってその未来が見えてきた(数ある未来の一つと思いたい)。著者は、日本では基礎研究や大学教育に対し充分な教育を行っていないと指摘する。コンピュータや情報システムに関して、貧弱な教育しか行ってこなかった結果、日本のソフトウェア企業は、従業員の大部分をOJTで教育していると指摘する。

その結果、ソフトウェア開発は主に製品製造過程での課題の一つとして扱われるようになった。いくつかの例外を除くと、筆者がよく知っている日本の大企業は、経験則、プロセス上の統制、いくばくかの資本、そしてマンパワーによって、大規模システムに取り組んできた。文字通りの「ソフトウェア・ファクトリー」なのである。

ソフトウェア・ファクトリーという製造方式は、標準化された設計パターンに従い、元の条件からはほとんど変更しないカスタムアプリケーションを複数バージョンや、その亜流を大量生産することに向いている。一言でいうと「製造業」やね。与えられた「コスト」「納期」「品質」の中で、コストをいかに削減し、納期をいかに短縮し、品質をいかに高めていくかを追求することが至上命題というワケ。

「そんなことアタリマエじゃねーか!」というツッコミ上等。ワタシ自身もそう思ったから。しかし、そこには「ビジネス」という観点が抜け落ちている。ビジネスというと語弊があるなら商売といいかえてもよい。次の例で考えてみよう。

【例題】サービス開始直前に機能の追加を要求する顧客がいる。当然のことながら当初の仕様書にないことを要求してくる。

【解答?】ビジネスとしての視点があるなら、その機能が(サービス開始直後に)無いことで、何ドルの損失があるのか、サービス開始に間に合うことで何ドルの利益をもたらすか、という問いかけをするだろう。そして、理不尽な要求(?)をする顧客もいくらいくらであると回答しようとするだろう。

日本でもちょっと商売っ気のあるSE・プログラマだとこんな話のもって行き方をするが、おそらく良くてプライオリティ付や裏取引、悪ければ感情論や根性論に陥る。仕様書にない要求を直前になって言い出す客がいるのは米国も日本も同じ。その対応の差がソフトウェア「ビジネス」とソフトウェア「ファクトリー」の差だ。

日本には、良いもの(優れたもの・効率よく・高品質なもの)を作ろうと心がけて仕事をするプログラマは沢山いる。しかし、儲かるものを作ろうと考えながら仕事をするプログラマは皆無だろう。「このプログラムで大もうけしてやろう」とニヤニヤしながらビルドする奴がいたらちょっと不気味だが、その数は米国の方がはるかに多いに違いない。

(つづく)

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[注1] 「ものまね師」を知らないよいこに説明しよう! 「ものまね師」とはファイナルファンタジーVのジョブ(職種)の一つ。転職はかなり大変だがものまね師は、前のキャラの動作をそっくり真似をする特殊技能「ものまね」を持つ。これが重宝するんだな…って、もう古典だねっ>FFV

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