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お台場には槍が二本、刺さっている。

お台場には槍が二本、刺さっている。
picture/yari2
(クリックで拡大)

これはその一本。エヴァンゲリオン初号機が投擲した槍に大きさも形状も似ているため、わたしは密かに『ロンギヌスの槍』と呼んでいる(ホントは、テレポートブリッジを吊り支えている柱なんだけど…)。

注目すべきは丸印のところ。ちょうど柄の先端部分。
よーく目を凝らすと『手すり』が見える。
(注:この画像では見えません)

まるで、そこに誰かが立つことを想定しているかのように。
あそこに、人が行けるのだろうか?

こんどお台場に行くことがあったら、ぜひ見上げて欲しい、ロンギヌスの槍を。
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容疑者の夜行列車(多和田葉子)

読むことの快楽。
現実との離剥感。
どこへ連れて行かれるか分からない感覚。

どこを切り取っても、そこだけでもちゃんと読めて、前後をあわせると一連の物語と化す。いい小説です。表現がいい…というか独創的…でも腑に落ちる言い回し。句点がいい…文がポキポキ折り取られていく感じが心地よい。

宇宙人がいっしょうけんめい日本語を覚えて、日本人よりも上手になったら、こんな突き抜けた文を書くのだろうか? 日本語を卒業してしまったような日本語。
どこを引用してもいいけれど、ここはしょっぱなを。この数行で惹きこまれました。

駅の様子がちょっとおかしい。ホームに人が嫌に少ないのである。それに、 駅員たちがそわそわとして、何か秘密でも隠しているようである。駅員をつか まえて、どうかしたんですか、と尋ねるのも妙であるから、黙って観察してい るしかない。駅全体が化けの皮をかぶっているのに、あなたはそれを剥がす ことができずにいる。
(第一章 パリへ)

この本は関心空間のリリカさん、びよょ~ん、さんのKeyWordで知りました。良い一冊に出会えて、幸せ。ありがとうございます。

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君が望む永遠(age)

ゼルダの伝説…授業サボってハマッた。ドラクエ…幾夜徹夜したことか。けれども、実生活をここまで蹂躙したゲームは、これが初めてです。

予備知識ゼロで始めました。

学園ラブコメかぁ、ケッ、さっさとクリアして売っちゃおう、なんて考えてました…ところが、延々とやってきたのが、実は『オープニング』であることが分かりました。
















そう、『えー被害者氏名確認...スズミヤハルカ。涼しいに御宮、遙...』で始まるオープニングです。ここからは鳥肌たちまくり。これがどういうゲームかに気づいてからは、怖くてたまらない。ネズミのようにぶるぶる震えながら進めました。『Kanon』の月宮あゆシナリオに大泣きした私にとっては、なんだか復讐されている気分でした。

さらに、これはテキスト『選択型』アドベンチャーゲームなんだな、と思い至っては、本気で止めようかと考えました。なぜなら、普通は『選ばれた方』の『選ばれた話』になるなる筈だけど、このゲームは逆だと直感したから。

これは、『選ばれなかった方』の『選ばれなかった話』、ですね。

たかがゲームの選択肢を選ぶのにここまで苦悩して、ぐちゃぐちゃになりました。全クリした人、尊敬します。私は、たぶん厨なんだと思うけれど、一つ一つの選択肢がすごく辛い。選べないんだけど、選ばないと先に進めない。みんな、よくクリアしたよなぁ、と感心しながら。

水月エンド、遙エンド、茜エンドと見ていって、『もうあとはサブキャラだろう?』とタカをくくっていたところ、マナマナエンドで炸裂しました…こ、こんなんアリ? S.King"Misery"も団鬼六『花と蛇』もフツーに読めましたが、コレは…
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私の中で、このゲームを封印しました。
全クリした人、尊敬します(2回目)。

  夜空に星が瞬くように

  通報しますた

  マヤウルのおくりものコピペ

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嘘つきアーニャの真っ赤な真実(米原万理)

『人間の器官には、ある条件の下では6倍にも膨張するものがあります。それは、なんという名称の器官で、また、その条件とはいかなるものでしょう』
(単行本P.195)

ここからの数頁だけでも、立ち読みでもいいから。爆笑請合います。

実はこれ、ネット・アネクドートとして知ってました…が、ナゾナゾ種明かしの後に、さらにオチがあるとは知らなかった。

この本は3部構成で、1960年代、著者が通っていたプラハ・ソビエト学校の友達の思い出と、そのン十年後、彼女たちに会いに行くお話です。時代が時代なだけに、『プラハの春』や『ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争』の話題も生々しく織り込まれています。

  リッツァの夢見た青空
  嘘つきアーニャの真っ赤な真実
  白い都のヤスミンカ

『白い都のヤスミンカ』が最も良かった。上の小話もここから引用しています。しかし、これは面白いだけの話ではありません。ヤスミンカに会いに行く途上、かなり際どい(かつ冷徹な)分析をしています。

(セルビア悪玉論という)一方的な情報操作のプロセスは今後丹念に検証されるべきだろうが、気になるのは、ユーゴ戦争の両主役の敵味方の露骨なほど明確な宗教的色分けが見て取れるということだ。EUでセルビア制裁に反対したのが東方正教を国教とするギリシアだけであることひとつ見てもそうだ。正教国ロシアが心情的にセルビア派ながらそれを強く打ち出せなかったのは、西側の対ロ支援打ち切りを恐れたからだ。そして現代世界の宗教地図を一目するならば、国際世論形成は圧倒的に正教よりもカトリック・プロテスタント連合に有利なことが瞭然とする。
(単行本P.245-246)

『戦争広告代理店』(高木徹)を思い出します。西側以外の情報『も』アクセスできる人から見ると、私のアンテナでは届きにくい事実が視えるのかも。

最後になってしまいましたが、こんないい本を紹介してくださり、とても感謝しています >関心空間のリリカさん。

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育母書(浜文子)

新米ママに『あなたのままで母を生きる』という言葉を贈ります。この素晴らしい言葉は、この本からいただきました。

冒頭に「赤ちゃん」という詩があります。最後の二行で泣きました。作者の『お母さんたち』への温かい思いやりにうたれました。

育児がいかに大変かは、身をもって知っています。でも、しょせん、パパの立場から。妊娠、出産を経て、子どもと24時間366日のママの目から見ると『やっぱり分かっていない、というか理解するのがムリ』らしい…

そんな自分に『まず第一に、妻を幸せにすることを考えなさい。妻が(母が)幸せでなければ、どうしてその子が幸せになれようか』と教えてくれたのはリンク先の『子どもへのまなざし』でした。表現こそ違えども、この本も同様の本質を述べています…それも母に対する温かなまなざしでもって。

反面、父親たちにはいささか距離を措いた書き方をしています。彼女自身、あとがきで述べているように、あんまりサポートが得られなかったようです。

ともあれ、子育てに戸惑う母親にとってホッとする一冊であることは確かです。


































パパたちは読まないほうが良いかも…

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千字文(周興嗣)

岩波文庫版を読みました。
四字一句の250句で成り、文字の重複はありません。およそ1500年前に編まれた「お習字」の手本。2ちゃんねるでいう『縦読み』をすると脚韻を踏み、八段で構成される「詩」とも読めます。中国に住む人々を理解するのにとても役立つでしょう。

finalventさんが簡潔かつ的確な評をしているので、引用します。

 > これ(千字文)が中国的な世界の基本的な教養の基礎コードになっている
 > というのが、とても、ある意味、怖いと思うのですよ。
 (極東ブログ 2004.01.19 教養について)

…実は、千字文そのものは難しすぎました。ただ、李という人の注釈がめっぽう面白かったため、本文そっちのけで李注ばかり夢中になって読みました。最も気に入った四句を挙げます。

 信使可覆
 器欲難量

   約束したことは、くりかえし守るようにし、
   自分の器量は他人には測りがたいように心がけよ
   (四七、四八)

 性静情逸
 心動神疲

   本性が落ち着いているときには、こころが穏やかで、
   心が動くときには、精神は疲れる。
   (九七、九八)

   心を動かして物を追うと、精神が疲れるのである
   (李注)

こんな宝のような一冊が800エンで手に入る国も珍しい。それと、これを紹介してくれたfinalventさんに感謝、感謝。

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2004/3/18追記
千字文全文を参照できます。Hnayumi さんの「漢詩を書く」より

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インテリジェンスを一匙(大森義夫)

インテリジェンスとは何か? 

それは、単なる「収集された情報」では無く、分析された競合情報に基づいた判断に資する推論のこと。

"intelligence"を辞書にあたると、「諜報」だの「情報機関」といったコトバが飛び出してきますが、『スパイ』と読み替えて思考停止していた私に喝を入れた記事が、これです。

筆者は元内閣情報調査室長。
日本独自のインテリジェンスの必要性を説き、その
  目的
  運営方法
  コントロール
  メンバーのトレーニング方法 etc...
を非常に具体的に示しています。

筆者の言うとおり『きれいに』組織できるとは思いにくいですが、そうしたニーズがあることは強く頷けます。

記事は雑誌『選択』に連載中(2004.3号が最終回)。
  三万人のための総合情報誌『選択』

…書籍化されにくいだろうなぁ…この話題。


○死語になりつつあるキャッチフレーズ、e-Japan革命は、i-Japanと名付けられていたかも…"intelligence-Japan"って、スパイ王国、ニッポンには良い名前かもな(w
  IT戦略の今後の在り方に関する専門調査会議事要旨(H14.11.28)


○世界最大・最強を誇る Central Intelligence Agency の事情。インテリジェンスは行政府の活動であり、立法・司法は介入せずといった話や、歴代を超えて今なお有効である大統領覚書が記されています。

インテリジェンスの本質だなぁ、と共感した箇所を引用。

   > インテリジェンスを作成するにあたっては、当然のこと
   > ながら非公然の情報収集活動を行う必要があるが、
   > その多くは公開情報(open source intelligence)に
   > もとづくものだとされている。

とっても同感。オープンソースを渉猟・検証した者のみがたどり着いた情報こそ、「ただしい」情報だと思う。
  米国におけるインテリジェンス活動の法的基盤(pdf)


○新ガイドラインではintelligenceを『情報』と訳している
  THE GUIDELINES FOR U.S.-JAPAN DEFENSE COOPERATION

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