« 2004年11月7日 - 2004年11月13日 | トップページ | 2004年11月21日 - 2004年11月27日 »

日本沈没

小松左京の傑作。これと「くだんのはは」は自信をもってオススメできる。

日本沈没」は、これまでに3回読んでいる。学生のとき初読、阪神淡路大震災の後に2回目、そして先ほど3回目を読了。読む度に、この国の繁栄は"かさぶたのような土地"の上に築かれていることがよく分かる。

かつてはパニック長編として読んでいた。30年前に書かれたものであるにもかかわらず、古びていないことに驚く。もちろん「やさぐれ」「ヒッピー」「ゲバ棒」といった風俗ネタは古式ゆかしいが、マグニチュード8.5の激震が東京を襲うディテールは見てきたように生々しい

しかし今回は、「日本とは何か?」「日本人とは何か?」と考えながら読まされるハメになった。日本という国土を喪っても日本・日本人はありえるか?という問い。地震学者、田所博士の口を借りて、著者はこう結論づけている。

日本人は、人間だけが日本人というわけではありません。日本人というものは…この四つの島、この自然、この山や川、この森や草や生き物、町や村や、先人の住み残した遺跡と一体なんです。日本人と、富士山や、日本アルプスや、利根川や、足摺岬は、同じものなんです。このデリケートな自然が…島が…破壊され、消えうせてしまえば…もう、日本人というものはなくなるのです…

言葉や文化といった「日本的なもの」がつきまとう。「日本が沈む」ことが明らかになり、船舶・航空による大移動が始まるわけだが、行った先でどうなるのか? 移民先でも「日本人」を続けるのか、続けられるのか?

「私たちは、ある国に住むのではない。ある国語に住むのだ。祖国とは、国語だ。それ以外の何ものでもない」という言葉がある。仏の哲学者シオランの言葉だ。まるでこれに相対するかのごとく、著者はある「老人」にこう言わせている。

生きのびたとしても、子孫は…苦労するじゃろうな…日本人であり続けようとしても、日本人であることをやめようとしても、これから先は、どちらにしても、日本の中だけでは、どうにもならない。外から規定される問題になるわけじゃからな…。"日本"というものを、いっそ無くしてしまえたら…日本人から日本を無くして、ただの人間にすることができたら、かえって問題は簡単じゃが、そうはいかんからな…。文化や言語は歴史的な"業"じゃからな…

大混乱の中でかなりの「日本人」が逃げ出し、日本が沈むところでこの物語は終わる。延々と読み続けてきた読者はそこで瞠目するはずだ。なぜなら、そこに「第一部・完」と書いてあるからだ。著者は第二部として「日本漂流」、つまり世界各地で生きのびる日本を喪った日本人たちの物語を書こうとしていたからだ。(ネタバレ注意、反転で表示)

--

| | コメント (2) | トラックバック (1)

PM magazineレビュー(辛口)

第1号を読んだ。がっかりした。ここには納期(いわゆる発売日)を守れなかったクレームがついているが、この記事では品質(いわゆる記事の内容)について書く。

まずレベル。目線が低い。日経○○といったオヤジ向け提灯雑誌よりも低い。IT業界向けの雑誌のつもりなら、RUPやナレッジをキーワードにするのは読者に失礼というもの。知ってるってばッ。プログラマやSEからPMを目指す人なら、UMLを用いたプロジェクトスコープ管理[例]や、XPをPMに適用するネタ[例]が新しいだろう…っつーか誰も試してないだろうな。ペアプロの「プロ」はもちろん programming だけど、project management に読み替えた「ペアプロジェクトマネジメント」なんて、これから流行りそうだな。やることは昔の徒弟制度の焼き直しだけれど、コトバとして目新しいから→[証拠] 2004/11/16現在でgoogleで1件のみ

次にターゲット。この雑誌を買ってもらうターゲットは「IT業界でPMな人、あるいは目指す人」のようだが、記事がターゲットに向いていない。PMIジャパンでは有名どころが書いているが、その記事がお粗末。「プロジェクトマネジメントとは何か」や「なぜプロジェクトが失敗するのか?」なんて、この雑誌わざわざ買う人なら、さんざん悩んでネットや書籍を渉猟しているよッ。シンクタンクが書いたような賢しいベキ論なんて読みたくもないナリ。同じ制約条件(TOC)のネタなら「デスマーチが起きる理由 - 3つの指標」を参考にしてみればいかが? 「テストを通っていないコードは、全て在庫である」とか「プロジェクトに人を手当てしても、企業のコストは変わらない」など、同じリクツなのに目からウロコになるだろう。「ザ・ゴール」よりも短いし(w

最後に。情報メディアにお金を出す理由はただ一つ、「その媒体でしか手に入らないから」に尽きる。上にあげたリンクは無料だが、この雑誌は1,680円必要だ。確かに興味深い記事もあった。たとえば「あなたはPMになりたいですか」や、「ソフト開発のムダとり」などは参考になった…が、立ち読みできたなら、買うまでもない情報ナリ… じゃぁどうして買ったのかって? amazonで買ったからなんだよおおぉぉoooo

…案の定というか、amazonのPM magazine 第1号にも似たような評が並んでる…

--

| | コメント (0) | トラックバック (0)

障害者をテーマにした絵本について、嫁と話し合ったこと

3歳の息子への試み。聴覚障害をテーマにした絵本「ぼくのだいじなあおいふね」を読み聞かせた。「耳が不自由」についてよく理解できなかったらしい。次に「さっちゃんのまほうのて」を読み聞かせる

幼稚園児のさっちゃんの左手は、生まれつき指がありません。それでも、さっちゃんはとても元気です。ある出来事が起きるまでは…

おままごと遊びで初めて「おかあさんの役」をしようとしたとき、友達が叫びます「指のないお母さんなんて変だよ」その時の彼女の哀しみ、怒り…うちに帰ってお母さんに聞きます「どうして さちこの手には指がないの? 小学生になったら指が生えてくるの?」

おかあさんは静かに答えます。

「いいえ、さちこの指は大きくなってもずっとそのままよ」

。。゜(゜´Д`゜)゜。ウァァァァン

読み聞かせにならないorz
それでもなんとか最後まで読んだ。息子はとまどっていた

- - - - - - - - - - - - - -

問題はここから。息子が寝付いた後、ジト目で見ていた嫁が口を開いた

「おかしいよ、これ」

   『なにが?』

続きを読む "障害者をテーマにした絵本について、嫁と話し合ったこと"

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2004年11月7日 - 2004年11月13日 | トップページ | 2004年11月21日 - 2004年11月27日 »