« KKDとは「根性根性ど根性」だと思っていた罠 | トップページ | リラックスを強要される子どもたち »

NTTが電話から撤退する日

先ずUSの話。堕ちたAT&Tの話。スタンダードプアーズは2004.8にAT&Tの格付けを「BB」、すなわち投機的要素が強いジャンクボンド扱いにした[参照]。引き下げの理由として「電話業界の構造的な変化がAT&Tの財務状態に長期的な影響を及ぼす」と指摘している。

携帯電話やインターネットの普及により、遅まきながら米国の通信業界では地殻変動が起きている。

AT&T分割でできたベビー・ベルの末裔たち(*1)は、家庭や会社に直接つながっている「ラストワンマイル」で顧客囲い込みに成功している。そして、傘下のネット事業や携帯でキャッシュを伸ばすビジネスモデルで業績を拡大させている。

一方、長距離通話に頼ってきたAT&Tはこの変動に取り残されている。新規顧客の受付停止に踏み切り、AT&Tは事実上、電話事業からの撤退宣言をしている

さらに、先日AT&Tが電話用設備の償却により大幅な赤字計上をしたばかり[参照]。この記事によると、撤退による更なる収益の悪化が予測されることから、コンシューマ向け電話サービスに関する設備の減価償却を前倒しで計上したという。

71億ドルの赤字。残された経営資源は企業向けデータ通信事業やIP電話に振り向けるという。

お次はUKの話。BTショック(BT's shock)と呼ばれている英最大手ブリティッシュ・テレコムの施策で、2006年から従来の電話網からIP網への移行を開始し、2008年までには大部分のユーザをIP網へ移行させ、電話のみならずコンテンツ配信も含めた情報サービスを包括的に提供しようという試みである(*2)。

でもって日本の話。設備負担金の廃止を宣言し、穏やかな形で固定電話事業から撤退しようとしているように見える。固定電話網からIP網への脱却は世の流れとはいえ、トラフィックの減少に収益モデルが追いついていないのが現状ナリ。RENAちゃんを練成しようとしているようだが、「高速・高価・高品質」の3高はISDNモデルの発想そのまんま。また、企業向けデータ通信事業はパイの奪い合いでありドラスティックな収益向上は望めない。

米国は日本の未来の姿だと断ずることは危険だが、NTT分離分割はAT&T分割を参考に行われた。AT&Tがどっちへ向かうのかは、NTTの試金石となるだろう。

--

*1:ベライゾン・コミュニケーションズ、SBCコミュニケーションズ、ベル・サウスなど
*2:ネタ元は雑誌「フォーサイト」2004.11月号

--

【蛇足】

10月25日昼、新潟県中越地震における各通信会社の対応をWebsiteでザッピングしてみた。NTT東日本、NTT西日本、NTTDocomoの三社のみが復旧状況や災害時サービス案内を行っていた。「みかか」の肩を持つわけではないが、料金だけで甲乙つけることと、「ライフライン」としての通信網は別物として考える必要がある

地震直後、そして現在もIP電話網は不通だろう。実は停電時でもアナログ電話が使える(NTTの交換局に非常用のバッテリーがあるため)。しかし、企業や集合住宅でIP電話化している場合、代表のアナログ回線しか使えなかったはず。また、輻輳対策としてのQoSは所詮プログラム。大規模な呼の集中をさばけていないだろう。マスゴミはこの問題を報じているだろうか? IP電話の問題点は別の機会に書くつもり。

|

« KKDとは「根性根性ど根性」だと思っていた罠 | トップページ | リラックスを強要される子どもたち »

コメント

>実は停電時でもアナログ電話が使える
実際遠隔収容装置が停電でダウンした。平常時想定は3時間だそうだが、呼が殺到して数十分も持たなかったようだ。
さらにたった8箇所の発動発電機の調達運用が夜までかかっているのだから、光集線率の高い大都会では相当な数のダウンが想定される。
固定電話だからといって特別なものでもないし、むしろ狭帯域だからすぐに輻輳するといった決定的な欠陥がある。

固定電話はもはやセカンドオプションである。
利用者減、トラフィック減で、これから誰が費用を負担するの?
という議論になればどこの国でも廃止に向けて動く。
オプションであるから故、光電話のような低廉さが歓迎される。

「NTTがメタル回線網による全国あまねくサービスから撤退する日」
という方が正しい解釈のようです。

投稿: NTTがメタル回線網による全国あまねくサービスから撤退する日 | 2007.07.21 01:40

ええと、ずいぶん昔のエントリへのコメントですが、7/16の新潟県中越沖地震に反応してでしょうか…

結論の解釈には激しく同意です。しかし、そこへ至る文に若干のツッコミが入ります。

 > 遠隔収容装置が停電でダウンした。平常時想定は3時間だそうだが、
 > 呼が殺到して数十分も持たなかったようだ。

GC収容の交換所なら3時間てことはないでしょう。蓄電池じゃなくって発電機がありますから。さらに、輻輳は致命的な欠陥というよりも、宿命だと割り切って優先電話を設けているのだと思います。激甚災害時、一般呼は持ちません。

ただ、文字通り「ライフライン」であったものを、別のものに代替しているにもかかわらず、そのアナウンスが小さく聞こえるので心配です。

投稿: Dain | 2007.07.21 23:25

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/18285/1773080

この記事へのトラックバック一覧です: NTTが電話から撤退する日:

« KKDとは「根性根性ど根性」だと思っていた罠 | トップページ | リラックスを強要される子どもたち »