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第9章:プロジェクト人的資源マネジメント(その2)

ここでは、プロジェクト人的資源マネジメントをまとめます。
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keywords
 ・人的資源マネジメントでプロジェクトマネージャがすべきこと
 ・責任分担マトリクス
 ・プロジェクトマネージャの権力

練習問題
次のシチュエーションのうち、キーとなる人物はどれか?

 ・チームメンバー(T)
 ・プロジェクトマネージャ(PM)
 ・スポンサー(SP)
 ・機能部門マネージャ(FM)
 ・シニアマネージャ(SM)

(反転で解答)

Q1:二人のチームメンバーの意見が対立している
A1:T:当事者どうしで解決させる

Q2:プロジェクト成果物に変更が発生した
A2:SM:プロジェクト成果物に変更が発生したということは、プロジェクト憲章を変更しなければならない。シニアマネージャだけがプロジェクト憲章を変更することができる

Q3:機能部門マネージャがあるチームメンバーにプロジェクトとは別の仕事をさせようとしている
A3:T:あれ?PMじゃないの?と思ったアナタはリアルでは正しいが、PMIイズムだと違う。PMからメンバーに充分な情報(ガントチャート、ネットワーク図、プロジェクト計画、リスク一覧)が伝わっていれば、メンバー個々の仕事量をコントロールするのはメンバーの役割。設問が「機能部門マネージャがあるメンバーをプロジェクトから引き抜いた」となっていれば、答えはPMとなる

Q4:プロジェクトマネージャが仕事を実行するのに充分な権威を与えられていない
A4:SM:シニアマネージャのみが、プロジェクト憲章を通じてプロジェクトマネージャに対し権威を与えることが出来る

Q5:プロジェクト完遂のための充分なリソースがない
A5:SM/FM:プロジェクトへのリソース管理はシニアマネージャと機能部門マネージャの仕事。プロジェクト内でのタスクに対するリソース割り当て管理はプロジェクトマネージャの仕事

Q6:メンバーはいつなにをすればよいか分かっていない
A6:PM:メンバー個々のレベルまでのタスク割り当て、見積もり、タスクの成果をまとめてプロジェクト計画へ合うようにすることは、プロジェクトマネージャの仕事

Q7:種々の手を尽くしたのだが、あるタスクにもっと時間をかけないと、プロジェクトの遅延が発生することが判明した
A7:SM:えっPMじゃないの?と思ったアナタはリアルでは正しい。「種々の手を尽くした」のはPM。それでもダメな場合は、プロジェクト憲章に書かれた完了日を変えざるを得ない。その場合はSMが当事者となる

Q8:プロジェクト完了日を遅らせないようにするためには、このタスクにもっと時間を割り当てる必要がある
A8:PM:時間とコスト、あるいは時間と品質のトレードオフで解決できる問題であり、手を尽くすことができるためPMのお仕事

Q9:チームメンバーは、このプロジェクトの責任者を知らない
A9:SM:誰がこのプロジェクトに責を負うのかを決めるのはSMの役割。責任のみならず、権限も同時に割り当てる

Q10:非現実的なスケジュール
A10:SM:狂っているとしか思えない納期は、確かに存在する。だが、その存在を許しているのはシニアマネージャに問題アリといえよう。なぜならプロジェクト憲章にサインするのはSMだから。ただしPMはそのスケジュールが非現実的であることを証明しなければならない

Q11:チームメンバーがタスクの優先順位についてもめている
A11:PM:ネットワーク図やクリティカルパスを用いて、かちあったどのタスクを優先するべきかを決めるのはPMのお仕事。プロジェクト間をまたがった場合はSMのお仕事

Q12:スケジュール遅れ
A12:PM:プロジェクトをスケジュール通りに転がすのはPMの責務の一つ。プロジェクトの実行フェーズではチームメンバーはそれぞれのタスクに専念する

Q13:プロジェクトの資金が底を尽いた
A13:SP:えええっと思ったアナタは正しい。プロジェクトの資金を提供するのがスポンサーの仕事だからごもっともといわれても、リアルでは手弁当という言葉があるくらいだからorz でもPMIイズムだとスポンサーのお仕事となる

Q14:リスクマネジメントにない新たな仕事がプロジェクトに追加され、これが金を食う
A14:SP:間違いなくPMにしわ寄せがくるのがリアルだが、PMIだと違うらしい。リスクマネジメントに無いということは、その仕事に予算が割り当てられてないということ。割り当てられていない仕事に金がかかるのであれば、その調達はスポンサーの仕事

人的資源マネジメントでプロジェクトマネージャがすべきこと
リアル見過ごされがちなプロジェクトマネージャの責務がある。以下の通り。これこそがプロジェクトマネージャの仕事だと思うんだが、マトモにやっているのを見たことがない(自分含む)。


  • チーム育成(p.114)。使える人材を育てるのもプロジェクトマネージャの仕事。プロジェクトマネージャが直接働きかけて良い人材を作り上げるといった記述はまったくない
  • 機能部門マネージャとの調整(p.113)。必要なときに適切な能力を持つ人材を提供してもらうべく、機能部門マネージャと調整する
  • 職務記述書を書く(p.112)。………(´∀` ;)? なんですかそれ。職務記述書とは、与えられた職務を遂行する際に必要となる能力、責任、権限、物理的環境、およびその他の特質について、その概要を職務ごとに記述した文書のこと。職位記述書とも呼ばれる(PMBOKより)。アタリマエなのだが、ヒトに仕事をやってもらうのであれば、どんな能力を必要とするかぐらいは把握してるんだよね~世のプロマネさん? なんて訊かれたらドキッとすること請け合い(自分含む)
  • 必要なトレーニング(p.112)。プロジェクトが必要とする能力を持っていない要員が任命された場合、プロジェクトの一部としてトレーニングを行い育成する。くり返す、育成はプロジェクトの一部。育てることも出来ないデキナイちゃん達を入れてはいけない。「人月の神話」を挙げなくても自明
  • 要員マネジメント計画書を書く(p.111)。いつ、どの形でプロジェクトチームへ人を投入するのか(あるいは引き上げるのか)を記述したもの。プロジェクト計画書の一部。ヒストグラム(p.112図9-3)を含む場合が多い。メンバーがどのような「役割」でそのプロジェクトにかかわるか分かる

責任分担マトリクス(p.111)
 スコープ定義で示されたタスク単位に、誰がどうかかわるのかを示したもの。例えば要件定義を行うのは誰と誰で、そのレビューをするのが誰なのかがわかる。p.111図9-2がそのものズバリ。

 タスク単位よりも工程単位に人割りした方が上手くいく場合が多い。なぜなら、タスク単位だと結局「デキル人へ仕事が集中する」から。工程レベルで分割すれば、作業内容の隔たりがあるため、有スキル者への集中が緩和できる

ハロー効果
 ビジネス基本用語集より。

halo effect、後光効果や威光効果ともいう。モノや人に対して、ある特徴的な一面に対する印象に幻惑され、その他の側面についても、みな同じように思い込んでしまうこと。特に人事考課を行う場合に、注意すべきことの1つとされる

もちょっと分かりよく言うと、「彼はプログラマとして優秀だ。だからプログラミングチームのリーダーとしても活躍するだろう」と考えてしまうところ。プログラマとしてのスキルと、リーダーとしてのスキルは異なるはずなのに、同一視しがちなところ。箴言名選手名監督にあらずを思い起こすべし

プロジェクトマネージャの権力
 プロジェクトマネージャって、責任はタイヘンでやりがいはあっても実入りが少なめな仕事。仕事の範囲を決め、タスクに落として、担当に割り当てて、進捗を管理し、ヤバめなら手を打ち、まとめて報告する… 実際に人事に口出しできるわけでもないし、予算があっても自由に使えるわけでもない(というか与えられた予算内でクリアしなければならない)…

 そんなプロジェクトマネージャに与えられた権限は以下の通り。あくまでもPMI観点から見たもの

  • フォーマル、形式的な権力。プロジェクトマネージャの役職や席次によって与えられたもの。「この仕事をしなさい、職務命令だからです」
  • 報酬。「このタスクをこなせたら、あのプロジェクトメンバーに参加できるよう働きかけるよ」
  • ペナルティ、罰。「この仕事を期限内にできなかったなら、来月のハワイでのチームミーティングには参加できないようになるぞ」
  • エキスパート。プロジェクトマネージャがスゴい人であることが前提。「このやり方でいこう、今度のプロジェクトマネージャはこの方式の世界的権威だからね」
  • コネ。権威者なり知識元なりへのコネクションの多寡。「社長賞ものだからこの仕事を優先するべきだ」

PMIイズムからすると、
ベストなのがエキスパートと報酬、最悪なのがペナルティ。フォーマル、報酬、ペナルティは、組織内でのプロジェクトマネージャの地位により変動。エキスパートのみ、自助努力で達成可能な権力といえる

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