第9章:プロジェクト人的資源マネジメント(その1)
ここでは、プロジェクト人的資源マネジメントをまとめます。
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・役割と責任分担
・プロジェクト・スポンサーの役割
・シニアマネージャの役割
・チームメンバーの役割
・ステークホルダーの役割
・機能部門マネージャの役割
役割と責任分担(p.110)
そのプロジェクトで誰が何をするかは、責任分担マトリクスで規定される。シニアマネージャ、プロジェクトマネージャ、スポンサー、チームメンバーなど、PMIイズムとリアルではほぼ同じといえる。しかし、経験だけで答えていると足元をすくわれる。ここは経験を生かしやすい最もカンタンな分野といわれている。確実に得点するために、おさらいする(その意外性に「な、なんだってー(AA略)」と叫びたくなるかも)
プロジェクト・スポンサーの役割(p.62,74,125,130)
プロジェクトに対し資金を供給する人。注意したいのは、「プロジェクト・スポンサー≠あなたの組織のスポンサー」という場合があること。あるいは「プロジェクト・スポンサー≠顧客」という場合があるということ。給料の多寡に直接影響を及ぼさないからといって、手を抜くことはないが、ボーナスに直結するなら自ずから目の色が変わってくるというもの。
- 顧客と伴に、プロジェクトの成果物を正式に受領する
- 顧客と伴に、マイルストーンや節目のイベント、納品日などを設定する
- プロジェクト憲章にはサインしない。それはシニアマネージャの仕事
- 顧客と伴にリスクの許容範囲を決める
シニアマネージャの役割
プロジェクトマネージャにとって組織上の上司にあたるのがシニアマネージャ。
より包括的にスポンサー、機能部門マネージャ、顧客、プロジェクトマネージャ
に対しマネジメントを行う。
- プロジェクト憲章を発行する/サインする。これにより、誰がプロジェクトマネージャなのか、何を目的としたプロジェクトなのかがハッキリする→「第5章:プロジェクトスコープマネジメント」のプロジェクト憲章を参照
- プロジェクト計画書を承認する←これ重要だが、やってない上司多し…てか自意識がない管理者多し
- 3つの制約条件(コスト、時間、品質)の優先順位を決める。3つ全部というのは子どもの戯言。「優先順位」とは言わない
- プロジェクト間の優先度を決める
- プロジェクトを「外側の影響」から守る。いわゆるノイズ。今あなたの頭に浮かんだもろもろがそれ。プロジェクトマネージャを始めとし、チームが仕事に専念できるよう手を尽くすのがシニアマネージャの最たる仕事なんちゃうと思う一方で、リアルだと「外部のノイズを持ち込む」のが自分の仕事だと思い込んでいる管理者多し、逝ってよし
チームメンバーの役割
計画フェーズでは主にWBSを作成するのを手伝い、実行フェーズではそれぞれのタスクを粛々とこなし、計画からのズレがないか目を光らせる役割がある。
- WBSを作る
- タスク間の依存関係を特定する
- コストと時間の見積もりをする
- 計画と実績のズレをみつける
ステークホルダーの役割(p.16,44,49,54,56,119,121)
「プロジェクトにかかわる人」を総称していうが、PMIイズムだとも少し広い意義となっている。ステークホルダーとは、
- プロジェクトの期間を通じ、情報が伝達される
- プロジェクト計画書が変更されたことが通知される
- プロジェクト憲章やスコープ定義書を作成する上での具体的な情報をもつ
- プロジェクト計画書の作成に参加する
- プロジェクトの変更報告を受ける
- スコープ定義の具体的な作業に参加する
- 制約条件を特定させる
- リスクマネジメントに参加する
- ステークホルダーとしての分析ができるレベルでの、プロジェクト情報を必要とする(曰く、その品質・スコープで商品・サービスとして成立するか? の問いに答えるために)
- リスクを共有する←これ重要。言い方を換えると、リスクを共有できない輩は「プロジェクトにかかわる人」ですらない。「あーあ、だから言ったのにー、オレ知らないもんねー」てな立場でチクチク言ってくる人がいる。PMBOKの観点だとその人はステークホルダーではないため、力いっぱい無視しても問題ないといえる。
機能部門マネージャの役割
調達部門、エンジニアリング部門、経理部門といった、○○部門のリソースを持つマネージャ。その部門のエキスパートとして、プロジェクトが必要とする側面から手助けをする。経理部は収支の面から、調達部は調達契約の面からプロジェクトをサポートする。リアルでは足を引っ張られる場合が多いがな(w
マトリクス型組織では、機能部門のリソースへのアクセスは、プロジェクトマネージャ、機能部門マネージャの両方からできる。プロジェクト型組織だとプロジェクトマネージャの方が直接的にリソースにアクセスできるし、機能型組織だとその逆だ。設問で特に指定の無い限りは、マトリクス型組織のことを言っている
- プロジェクトマネージャが必要とする特定の人材をプロジェクトへ供給する
- Go、Not-Go決定にかかわる
- プロジェクト計画書を承認する←これ重要だが、「自分は承認をしたんだ」という意識のない部門マネージャが多し。「サインしてくれと指示されたからしただけだ、こんなことになるとはしっかりやってもらわなければ…」って、アンタはサインしたんだよ、決定に加担したことを忘れてもらっては困る
プロジェクトマネージャの役割
プロジェクトマネジメントに対し責務を負う人。PMP試験に落ちる人はプロジェクトマネージャとはどんな役割なのか? という根幹の部分を押さえていない場合が多い。プロジェクトマネージャの権威はその組織型に依存する。プロジェクトマネージャとは、
- できるだけ初期の段階で指名される
- 必要な権威と説明責任を与えられるべき
- 非現実的なスコープ/品質/納期に対抗できる術を持つべき
- プロアクティブで(先見の明が)ある
- どうしてもその必要があるとき、「ノー」といえるべき
- プロジェクトの失敗について責任を負う
- プロジェクトについては責めを負うが、資源についてはその限りではない
- プロジェクト対象の技術のエキスパートである必要はない(充分条件であって必要条件ではない)
べき(must)に注意。「べき」にはそうあって欲しいという願望も含まれていて、リアルではそうでない場合が多い。仕事ができる人をプロジェクトマネージャにしがちなため、上記の役割を上手く果たせない場合が多い。その仕事の専門技術と、プロジェクトマネージャが必要とする技術は、別物であることに注意。「名選手名監督にあらず」についは、ピーターの法則を読まなくても皆さんわかってるはず。
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