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「ジャック・ケッチャムが好きだ」なんていうやつは頭がイカれてる

 「ジャック・ケッチャムが好きだ」なんていうやつは頭がイカれてる。残虐といよりも、悪夢でいてくれたならという願いを込めて読むしかない、常に最悪の形で裏切られるがな(w

 人が人に対してここまで非道になれるか? そんなわけない。ありゃ悪魔の仕業なんだよ、どんな精神でもありえない。そんなことを人に対してできるはずがない …とつぶやきながら半ば祈るような気持ちでページをめくる…どうなるか薄々予想できるのにな(w

 本を読んでいて涙に咽んだり憤りに拳を震わせたりはしたことはあった。しかし、吐いたことはなかった。今回は吐いたよ、八才の息子が何をされたかに気づいたときに。

 今回はコレを読んだ→「オンリー・チャイルド」 …きっかけは「コンクリート」。ここから監禁虐待の傑作「隣の家の少女」(soiree)つながりで食指が動いたから。これまで、

  隣の家の少女
  オフシーズン
  老人と犬
  地下室の箱

 …と読んできた。普通の人は読んではいけない。読むな、読むなかれ。それこそ心が壊れてしまう。いや、露悪ではない。そんなレベルではない。心の闇をホントに見せてくれる。苦痛というものがどういうものであるか充分すぎるほど分かる。だから私には読むのに時間がかかるんだ。一冊を読むのは1時間もあれば十分だが、読んだあと落ち込む。立ち直るのに何ヶ月もかかる。

 どれだけイカれているか引用してみよう。反転で表示します。



赤ちゃんの匂いが好きだという人もいる。


彼女は違う。


彼女にとって、赤ん坊の臭いは人の臭いではなかった。


立ち上がって水を流すと、赤ん坊が金切り声をあげた。


正真正銘の金切り声だった。


彼女は赤ん坊をあやし「お願いよ」とつぶやいた。「どうしたら泣き止んでくれるの?」赤ん坊はかまわず泣きつづけた。突然、一陣の熱い風が、彼女の身体の中を吹き抜けた。あたしが黙らせてあげる。


これ以上もう泣かせない。


彼女は便座シートを上げ、赤ん坊の足をわしづかみにし、逆さづりにした。本当にやるわよ。本気よ。あたしが悪いんじゃない。もうんざりなのよ。耳ざわりな金切り声も、乳首を吸われるのも、よだれもうんちもおしっこも、もうみんなうんざりなんだから。


彼女は、赤ん坊の頭を水の中につけた。


そして、そのまま動かなかった。


泡がぶくぶくと。


もがいている。


哀れなほど弱弱しい。

 それでも読み続ける。読むたびに読んだことを後悔しながら。だってジャック・ケッチャムが好きなんだもん
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コメント

Dainさん読了お疲れ様でした。
そ、そんなイカれてるだなんて…。
「通常の読書では得られない刺激が味わえる」とかくらいでいいじゃないですか…(笑)

でもお気に召したようで良かったです!W

私この作品で何が一番印象に残ってるかというと、裁判で弁護士とリディアの駆け引きシーンが「ああ、アメリカっぽいなあ」と思いました。
他はまあケッチャムなんで、だろうなという範囲でしたので(もっと色々期待してたかも)こういう心理戦も書ける人なんだなーと思ったものです。

とりあえずこの作品美形同士(?)なので、イメージとして読んでて楽しかった部分もありますので、一番のオススメだったりします。老人よりか若い美形の方がいいかなー…とか。

ケッチャム読むと何だか普通レベルのホラーとかには物足りなさを感じなくなってきませんか?
げに恐ろしきは人間なり、なんて。

投稿: miu | 2004.05.17 03:07

あ、miu さんこんにちはー
コメントありがとうございます

  >げに恐ろしきは人間なり

まさにそのその通り。

ケッチャム本よりも優れたホラーは確かにあります。エグ味があるのはクライブ・バーカー「血の本」シリーズ、おどろおどろしいのはラヴクラフト…

…でも、どんなに恐ろしくとも魑魅魍魎なんですよね…
悪霊だったりゾンビーだったり超能力者だったり。

んで、普通の(?)人間しか出てこないのがケッチャム。徹底的に人間に悪鬼のようなことをさせているのがケッチャム。だから好きなのかもしれません。

あ、オフシーズンのアレは「人間」と呼んでいいかどうかは不明(w

投稿: Dain | 2004.05.17 06:38

明けまして、おめでとうございます。
新年のテレビが、あまりにもつまらないので、ついついWEB探索に走ってしまいました(笑)
以前、「隣の家の少女を越える・・・」に書き込みさせていただいた、oyajidonです。
それにしても、Dainさんは、本当に境界の無い読書をされますね。
恐ろしいほどの読書量とお見受けしますが、ホントに人間ですか??
スカイネットか、イーグルアイに出てくるコンピュータじゃないでしょうね?(笑)
ところで、その後ケッチャムは「ロード・キル」を読み終わって、いささか食傷したので、小休止でフランスのグランジェという作家の「狼の帝国」という作品を読んでいました。
グランジェは初めてですが、「クリムゾン・リバー」とか本作とか、映画化された作品が多い作家みたいです。
内容は、フランスのノワール・ミステリらしくて残酷で救いの無いストーリーですが、国際麻薬組織が絡んだりしてスケールの大きい、いかにも映画向きのストーリーでした。
映画の方を先に見ていましたが、エンディングは随分違っています。
どっちが良いかは、賛否の分かれるところじゃないでしょうか?
最近読んだフランスミステリでは、「タルタロスの審問官」とか「七匹の蛾が鳴く」、「死者の部屋」の、フランク・ティリエという作家は、ケッチャムには程遠いですがけっこうスゴ系ですよ。
ランダムハウス文庫から出ている上2作は、カバーイラストだけでも、腐臭がしそうな出来だし(笑)
トンプスンベストは、自分では「おれの中の殺し屋」か「ゲッタウェイ」じゃないかと思っています。
特に「ゲッタウェイ」は、マックィーン主演の映画で見たイメージとあまりに違うエンディングや、トンプスンには珍しくお互い信用し切れずに煩悶する悪党夫婦という設定も、新鮮で面白かったですね。
キャラクターの印象が、どこかコーマック・マッカーシーの「血と暴力の国」の、札束を持って逃げる主人公に被ってしまいました。
ここまで書いて疲れたんで、マイケル・マーシャルは、また今度報告します(笑)
それじゃ、今年もちょくちょくお邪魔しますのでよろしくお願いします。

投稿: oyajidon | 2010.01.01 17:41

>>oyajidonさん

たくさんのオススメありがとうございます。「境界の無い読書」というよりもむしろ、「節操のない読書」なのでしょう、スゴ臭を嗅ぎつけては喰い散らかすように読みますから。

「タルタロスの審問官」は以前オススメされて手に取った記憶があります(が、数十ページで投げ出したはず)。闇から闇へのオチになるんじゃないかなーと予感して、そのときはもういいやと思ったのです。良い機会なので、リトライしてみますね。

トンプスン好きが高じて、ペーパーバックを読み漁ったことがありますが、"Getaway" "Killer inside me" も読んだはず……(ちゃんと覚えていないので自信なし)。ミステリ熱が出てきたら、邦訳を読みます。

年末年始のミステリ(?)は、「ブラッド・メリディアン」でした。「ミステリ」というカテゴリから逸脱するぐらいの巨大な作品ですが、スゴ本であることは確かです。併せてここもどうぞ↓
http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2010/01/post-c4db.html

投稿: Dain | 2010.01.02 04:29

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