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第6章:プロジェクトタイムマネジメント(その4)

ここでは、プロジェクトタイムマネジメントでのクリティカルパスについて、練習問題と解説を書きます。
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練習問題1
タスク見積もりは以下の通り。


  • タスク1はすぐにスタートできる。タスク1は3週間要する
  • タスク2はタスク1が終わってからスタートできる。タスク2は3週間要する
  • タスク3はタスク1が終わってからスタートできる。タスク3は6週間要する
  • タスク4はタスク2が終わってからスタートできる。タスク4は8週間要する
  • タスク5はタスク3とタスク4が終わってからスタートできる。タスク5は4週間要する

このとき、

  • 問1:クリティカルパスはどのパスか?
  • 問2:クリティカルパスでの期間は何週か?
  • 問3:タスク2のスラックを求めよ
  • 問4:タスク3のスラックを求めよ
  • 問5:最も長いスラックを持つパスはどのパスか?
  • 問6:もしもタスク3が10週間要する場合、プロジェクト全体にどのような影響があるか?
  • 問7:新たなタスク6が追加された。タスク6はタスク3が終わってからスタートでき、かつタスク5が始まる前に終わっていなければならない。タスク6は11週間要することが分かった。上司はプロジェクト全体に11週間分追加する必要があるという。ステークホルダーはプロジェクト全体に追加する期間はもっと短くて済むという。どっちが正しいか
  • 問8:問7の場合、プロジェクト全体に追加する期間は何週か?

TIME_1.gif

 もちろん本番は選択方式だけれど、理解してないのなら正解を得られない。そして、理解しているのならこれらは解けるし、少なくとも以下を読めば解けるようになるはず。そうでないなら私の説明が不十分ということ。

答1:パスは2つある。

  1→2→4→5のパス
  1→3→5のパス

この2つ。それぞのパスにかかる週数を合計してみる。

  1→2→4→5のパスは、3+3+8+4=18週
  1→3→5のパスは、3+6+4=13週

一番長くかかるパスがクリティカルパスだから、「1→2→4→5」のパスがクリティカルパス

答2:答1よりクリティカルパスの週数は、18週

答3:タスク2のスラックはゼロ。タスク2はクリティカルパス上にあるため、ゆとりもへったくれも無し。クリティカルパス上のタスクはどれ一つとして遅らせたり早めたりできないことに注意←ちょっと語弊があるなぁ。「クリティカルパス上のタスクが遅れるようなことがあるならば、それはプロジェクト全体の遅れにつながる、ということ」といえばしっくりくる

答4:タスク3のスラックは5週間。タスク3を最も早く始められるのは、タスク1が終わった直後、即ち4週目から。つまり、タスク3のES(Early Start Date)は4週目。一方、タスク3の開始をぎりぎりまで引き伸ばせるのは、9週目の最初まで。これは後ろから計算する。トータル18週のうち、タスク5は4週かかる。タスク5はタスク3が終わってからでないと開始できない。18週-(タスク3に必要な時間+タスク5必要な週)が、タスク3に着手してからどうしてもかかる時間といえる。18-(6+4)=10、18週から10週分逆算していくと、9週目からタスク3に着手する必要があることがわかる。つまり、タスク3のLS(Late Start Date)は9週目。スラックは LS-ES で求められるから、9-4=5(週)

答5:5週間。クリティカルパスである、1→2→4→5に必要な時間は18週間。1→3→5のパスは13週間(=3+6+4)かかる。18-13=5だから5週間。注意したいのは、答4とたまたま一致しただけで、求め方(と求められている理解)は全然別モノということ。問4で求められているのは、あるタスクに着目して、そのタスクのスラックを求めよであり、問5で求められているのは、(一番長いスラックを持つパスを探し出し)その長さを答えよ、ということ。だから問5に答えるためには、設問のパス数分、計算が必要。

答6:「影響なし」ッくー、言ってみたいねぇ、お客さんに。「その程度の変更ではスケジュールに影響はありません。そのように組んであります」って、かっちょええ(リアルはかなり違うけどなw)。タスク3を6→10週かかるとすると、パス1→3→5にかかる時間は17週間(=3+10+4)。クリティカルパスは18週。クリティカルパスにかかる時間より短いので、影響なし

答7:ステークホルダーが正しい。タスク6の追加により、パス1→3→5が1→3→6→5に変わった。従って、パス1→3→6→5にかかる時間は、24週間(=3+6+11+4)となり、このパスは最も長い時間を要するパス、即ちクリティカルパスとなった。最初は18週間だったのが24週間になったので、24-18=6週間の追加で済む

答8:6週間。Rita本でも指摘しているけれど、選択肢に平気でで「24週間」と出てくるので要注意。設問は追加する期間は何週か?とある。こんなんで落としたら泣くに泣けない。TOEICやセンター試験よりもイヤラシイ問題が、PMPナリ…

TIME_2.gif

練習問題2
タスク(先行するアクティビティ/期間見積もり)


  • スタート(-/0)
  • タスクD(スタート/4)
  • タスクA(スタート/6)
  • タスクF(D,A/7)
  • タスクE(D/8)
  • タスクG(F,E/5)
  • タスクB(F/5)
  • タスクH(G/7)
  • タスクC(H/8)
  • エンド(C,B/0)

時間単位は週

このとき、


  • 問1:クリティカルパス上の期間を求めよ
  • 問2:タスクBのスラックを求めよ
  • 問3:タスクEのスラックを求めよ
  • 問4:タスクDのスラックを求めよ

TIME_3.gif

 ちょいムズめだけど、これぐらいが標準(さっきのは易し目ともいう)。選択方式だが、キチンと計算して答えを出せるのなら、自信をもって選び取れるはず。

答1:全てのパスの期間を計算する。
  D→E→G→H→C=4+8+5+7+8=32
  D→F→G→H→C=4+7+5+7+8=31
  D→F→B=4+7+5=16
  A→F→G→H→C=33
  A→F→B=6+7+5=18
…んで、一番長い「A→F→G→H→C」の33週間がクリティカルパス上の期間

問2:タスクBは遅くとも33週目には終わっていればよいので、LF=33。また、タスクBが最も早く終えているのは、スタート→A→F→B の場合で 6+7+5=18 したがって、EF=18。LF-EF=33-18 によりタスクBのスラックは15週間。

問3:タスクEの後は、G→H→C と続いているため、遅くとも、トータル-(タスクG+タスクH+タスクC) には終わっていなければならない。従って33-(5+7+8)=13 がタスクEのLF。また、タスクEを最も早く終えているのは、スタート→D→E のパスのため、EF=4+8=12。LF-EF=1 週間がタスクEのスラックとなる。

問4:これはムズい。っつうか理解するのに一苦労したナリ。タスクDの後は、パスE→G→H→CとパスF→G→H→CとパスF→Bの3種類ある。確かにクリティカルパスはパス F→G→H→C だが、タスクDの後に限っていえば、一番期間がかかるのは、パスE→G→H→C ナリ。従って、遅くともパスE→G→H→Cの前にタスクDは終わらせておく必要がある。従ってタスクDのLF=33-(8+5+7+8)=5。一方、タスクDを最短で終わらせるのはスタート→Dのパスなので4週間。タスクDのEFは4。LF-EF=5-4=1週間がタスクDのスラックとなる。

練習問題3
こんどはAOA(Activity On Arrow)での問題。
タスク(期間見積もり)


  • スタート-A(3)
  • スタート-B(9)
  • A-C(3)
  • B-C(ダミー)
  • B-E(2)
  • C-D(2)
  • C-E(1)
  • E-エンド(4)
  • D-エンド(2)

(期間見積もりの単位は週)
TIME_4.gif

めんどいので「スタート-A」を「スタートA」、「A-C」を「AC」に略すね。上記の条件で、


  • 問1:クリティカルパスを求めよ
  • 問2:タスクCEが2週間に変更された場合のプロジェクト全体への影響は何か?
  • 問3タスクCDを始めるためにどのタスクが終わっていなければならないか?
  • 問4:2週間前倒ししなければならない場合、プロジェクトのフロートはあるか? クリティカルパスの変更はあるのか?

難しいというよりも、不親切な設問ナリ。洋物の問題はこんなんが多いねぇ…TOEICみたく、「英語力を試す」やつじゃなくって、「英語で○○を問う」やつは、そもそもその設問で、何を問おうとしているのかをこっちが考えてやらないと、絶対に解けない、っつうか答えにならない。

答1:全てのパスの期間を計算する。
  スタートA→AC→CD→Dエンド=3+3+2+2=10
  スタートA→AC→CE→Eエンド=3+3+1+4=11
  スタートB→BC→CE→Eエンド=9+0+1+4=14
  スタートB→BC→CD→Dエンド=9+0+2+2=13
  スタートB→BE→Eエンド=9+2+4=15
…んで、一番長いのは、「スタートB→BE→Eエンド」。注意すべきところは、ダミーパスの期間はゼロだけど、パスはちゃんとあるというところ。

答2:CEの長さが1→2週に変更された場合の影響は、パスの期間を計算することで判断できる。

  スタートA→AC→CE→Eエンド=3+3+2+4=12
  スタートB→BC→CE→Eエンド=9+0+2+4=15 ←着目!

一番長かった「スタートB→BE→Eエンド」のほかに、「スタートB→BC→CE→Eエンド」もクリティカルパスができてしまった… よって答えは、「クリティカルパス:スタートB→BC→CE→Eエンドが増えた」になる。

答3:タスクCEを始めるために終わらせるべきタスクは、スタートA、ACまでは分かると思うけど、スタートBも必要。ダミーパスBCに注目。なにも作業がない(時間はゼロ)が、依存関係にあるタスクを結ぶためのダミーパス。CEに至るまでには、スタートA→ACのラインと、スタートB→BCのラインがある。したがってスタートBも必要なタスクになる。

答4:ひっかけ問題…になるんやろな。最初に読んだときは、Ritaさんを小一時間問い詰めたくなったナリ。答えは-2。フロートとは、そのタスク(あるいはパス)に着目し、着手をぎりぎりまで遅らせることができる期間のこと。ただし、プロジェクト全体の完了日を遅らせてはダメよ …この定義に従うと、プロジェクトのフロートっつうのは無い(というよりもマイナスになる)。プロジェクトにかかる期間はクリティカルパス、遅らせることができないタスクが並んでいる。こいつを2週間前倒ししてくれということは、マイナス2週間分のゆとりがあるということ。ふざけるなって? 私もそう思う …が、この後に説明するクラッシングやファストトラッキングのテクニックを使うときに必要な数字となる。Ritaさんの説明で自分でも腑に落ちるものをまとめる(この知識エリアに関係なく、試験全体に通じる)

 用語の定義に忠実であれ。ここではフロートの定義だが、用語の意味にそぐわないシチュエーションになった場合、そのシチュエーションそのものが誤りであることを指摘する選択肢を選び取れ。この場合だと、プロジェクト完了日が6/1として、お客さんが「5/1にしてくれ」と言ってきたら、「では遅れは1ヶ月になります」としゃあしゃあと答えるのが正解(お客さん怒るけどね)。んで、後に出てくるクラッシングやファストトラッキングを使ってやりくりする…ってこと。

 プロジェクトマネージャは、必ずしも全ての課題を解決しなければならないというわけではない。リアルだと、「課題」と名のつくものならなんでもかんでも投げ込まれる。「逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ…」と自分を追い込んで鬱になるシンジくんもいる。けれど、それら全てを解決する必要は、無い。プロマネの責任でできること、プロマネのテクニック(PMBOKで定義するツールと技法)でできる範囲で、やればよい、ということ。設問に出てくる「問題」を解決しようとするあまり、PMBOKの範疇を出てしまったら、それは不正解となる。これは試験対策のつもりで書いているけれど、散っていった幾人かの先達たちを思い起こし、リアルでもそのとーりやのぉ、と遠い目をしてみる。

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コメント

お世話さまです。
このサイトを見ながら、PMBOKを読み返すのが日課になりました。やっと第6章の「その2」まできました。
そこで質問です。

練習問題2の問2の回答なんですが、「タスクBが最も早く終えているのは、スタート⇒A⇒F⇒B⇒の場合で6+7+5=18したがってEF=18。」と書かれていますが、タスクBが最も早く終えるのは、スタート⇒D⇒⇒B⇒の場合のような気がするのですが・・・
私の解釈のどこが間違っているか教えて頂けますか?

この週末で最後まで一気に読み上げたいと思っていますが、
どこまで進めるかなあ~。主婦兼二人の息子の母兼受験生の身なので、週末はヤボ用で忙しい・・・

投稿: SAWA | 2004.08.27 09:18

第6章「その2」と言うのは誤りで、「その4」でした。
よろしくお願いします。

投稿: SAWA | 2004.08.27 09:24

ご指摘ありがとうございます。
説明下手のせいで誤解を招いてしまいごめんなさいですorz

タスクBを始めるためにはタスクFが終わっている必要があります。また、タスクFを始めるためには、タスクAとDが終わっていなければなりません。

従ってタスクFは、タスクDだけ終わっていればOKではなく、タスクAも終わっている必要があります。

タスクDとタスクAは並行して進めることはできますが、タスクFに至るまで最短でも6週間(タスクAの期間)かかると理解してください。

「タスクBが最も早く終えているのは」という説明がマズかったです。言い換えると「タスクBまでを最短で終わらせようとしたとき、どれぐらいの期間がかかるか」と読み替えてください。それから、タスクAとタスクDを両方終わらせておかないと、タスクFを始められないことに着目してください。すると、

 タスクAの期間=6週間( >タスクDの期間)
    +
 タスクFの期間=7週間
    +
 タスクBの期間=5週間

そのため、タスクBを最も早く終えられる期間は18週となるわけです。

きちんと説明できていなくてすみません… 分かりにくいトコロがありましたらビシバシツッコミしてくださいませ。

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投稿: Dain | 2004.08.27 12:14

Dain さん
詳しい説明ありがとうございました。ようやく理解できました。
まだまだ先の道のりは長いなあ~。

投稿: SAWA | 2004.08.27 16:12

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