« お台場には槍が二本、刺さっている。 | トップページ | 子どもへのまなざし(佐々木正美) »

久しぶりに会った息子は大きくなっていた
もう三つになるのか

妻は顔を伏せていた
ちょっといってくるよ、と声だけかけて家を出た

だっこ、というので抱っこした
重たい
明日は腰痛だな

おかっぱの髪がさらさらという音が聞こえた
頬にあたってちょっとくすぐったい

そのままバスに乗った
坂を下った街まできた

海までいこうとバスを降りた
でこぼこした岩場を歩く

抱えている腕がしんどい
重たい

海はまだみえない
足場が不安定なまま歩く

ふと

子どもが泣いているのに気づいた
声を殺して泣いている
私の首に額を押し付けて
涙だけはらはらと頬をつたっている

どうしたの

声をかける、返事はない

さびしいの?

訊いてみる、返事はない

首をねじまげて顔をのぞきこむ

そして私は気づくのだ、その子は私の息子ではない
そこにあるのは、幼い頃の私の顔であることを。

--

|

« お台場には槍が二本、刺さっている。 | トップページ | 子どもへのまなざし(佐々木正美) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: :

« お台場には槍が二本、刺さっている。 | トップページ | 子どもへのまなざし(佐々木正美) »