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嘘つきアーニャの真っ赤な真実(米原万理)

『人間の器官には、ある条件の下では6倍にも膨張するものがあります。それは、なんという名称の器官で、また、その条件とはいかなるものでしょう』
(単行本P.195)

ここからの数頁だけでも、立ち読みでもいいから。爆笑請合います。

実はこれ、ネット・アネクドートとして知ってました…が、ナゾナゾ種明かしの後に、さらにオチがあるとは知らなかった。

この本は3部構成で、1960年代、著者が通っていたプラハ・ソビエト学校の友達の思い出と、そのン十年後、彼女たちに会いに行くお話です。時代が時代なだけに、『プラハの春』や『ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争』の話題も生々しく織り込まれています。

  リッツァの夢見た青空
  嘘つきアーニャの真っ赤な真実
  白い都のヤスミンカ

『白い都のヤスミンカ』が最も良かった。上の小話もここから引用しています。しかし、これは面白いだけの話ではありません。ヤスミンカに会いに行く途上、かなり際どい(かつ冷徹な)分析をしています。

(セルビア悪玉論という)一方的な情報操作のプロセスは今後丹念に検証されるべきだろうが、気になるのは、ユーゴ戦争の両主役の敵味方の露骨なほど明確な宗教的色分けが見て取れるということだ。EUでセルビア制裁に反対したのが東方正教を国教とするギリシアだけであることひとつ見てもそうだ。正教国ロシアが心情的にセルビア派ながらそれを強く打ち出せなかったのは、西側の対ロ支援打ち切りを恐れたからだ。そして現代世界の宗教地図を一目するならば、国際世論形成は圧倒的に正教よりもカトリック・プロテスタント連合に有利なことが瞭然とする。
(単行本P.245-246)

『戦争広告代理店』(高木徹)を思い出します。西側以外の情報『も』アクセスできる人から見ると、私のアンテナでは届きにくい事実が視えるのかも。

最後になってしまいましたが、こんないい本を紹介してくださり、とても感謝しています >関心空間のリリカさん。

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